20/10/21 【感想】ハヤテのごとく!(全52巻)

ハヤテのごとく!は高校時代にハマったマンガでした。
テスト勉強しながら何ページやったら単行本を1話分読んでいいとかの自分ルールを決めて読んだりしてましたね。
アテネ編がはじまるくらいまで読んで、そこから追わなくなってしまいました。

それが今年、例の病で学校閉鎖とかになったときに全巻無料公開になりました。
あの頃は色々なものが一斉に無料公開になっていましたが、「ハヤテのごとく!」はそのはしりでした。作者の畑健二郎先生の動きがとても機敏だった覚えがあります。

無料になったタイミングで「そういえばあれ途中で読むのやめちゃったな、この際だし読み返してみるか」と思って読んだのですが、まず驚いたのが52巻も続いていたこと。2017年まで続いてたんですね。普通に「魔王城でおやすみ」とかと一緒に載ってたんだ…。
途中で読まなくなったのは20巻に行くか行かないかぐらいの頃だったので、半分も読んでいなかったということに驚きました。

以降ネタバレを含みます。

全巻読んで一番びっくりしたのが、ナギが30巻を過ぎてからどんどん成長していく超晩成型ヒロインだったこと。
前半は機能(物語中における役割)ありきの偶像的なキャラだったのが、後半は血の通った人間として成長が描かれていきます。
僕はそれこそ20巻くらいまで読んだときはヒナギクやマリアさんが好きでナギはそんなでもなかったんですけど、52巻全部読むとナギがめっちゃ好きになるんですよ。これだけ晩成型のヒロインってなかなか珍しいのでは。

後に畑先生が「25巻まではハヤテが主人公、それ以降はナギが主人公」と言っていましたが、確かにそうでした。この主人公交代がうまくいったことが52巻も続いた要因だったのでしょう。確かに前半と後半で読み口は結構違います。味が変わるので長さの割に飽きずに読めました。

せっかくこれだけ無料で読ませてもらったので、同作者の「ハヤテのごとく!大反省会(上)(下)」もKindleで買って読みました。
作者としてもヒナギクは相当に自信があるキャラで、切り札のつもりだったんですね。ヒナギクに人気が出るだろうと踏んだ理由が「少年漫画の読者は正しい人が好きだから」という観点が面白かったです。

ヒナギクはほんと強かったですからね…ハヤテのごとくというマンガにおける桂ヒナギクの登場は楽天イーグルス球団史における田中将大の入団みたいなものです。
マジで24勝0敗しましたからね。打ち切りスレスレを走っていたマンガをサンデーの看板にまで押し上げた大エース。
逆にこの頃の無双状態の桂ヒナギクを見ていたので、連載後半の重要な場面になるたびに敬遠されてたまにお色気要員やバトル要員としてワンポイントをつとめるだけになるヒナギクを見るのは少し切なかった…。
最初はかなり脈があったというか、ハヤテの方もヒナギクを好きそうだったのに、途中から全く勝負になってませんでしたからね。
最後には当初の予定を変更して勝負をさせてもらったらしいので、そこは初代エースの花道といったところでしょうか。

というか後半はナギがヒロインとしてあまりに強すぎて他の女の子じゃ全く歯が立たなかったというのもあります。新しい女の子が出てきても邪魔だなとか思っちゃったくらい。
初期の頃はハヤテが色々な女の子にドギマギしてたけど中盤以降(特にアテネが話に出てきて以降)は全くなびかなくなったせいでラブコメ演出がすべて空転し、ラブコメとして機能不全に…というかジャンルがラブコメではなくなっていたかも。

そしてやっぱりこれだけの巨編を一気に読むと、終わりにはしみじみとした感慨がありますね。最終巻のマリアがナギのもとを去る回とかじんわりきました。
あとその前の巻の、瀬川泉が将来の夢を見つける回とか。物語的には終わりが近いと知ってる上で読む、キャラクターたちがその後歩んでいく背中を見せるような回に弱いです。このマンガはこういう余韻の書き方がうまいです。

ずっと昔に好きだったマンガの最後を知ることができて、なんだかひとつ青春に決着がついたような清々しさがありました。
話してたらまた読みたくなってきた…Kindleで買っちゃおうかな。