21/06/04 リーマよ令和によみがえれ

今日、金曜ロードショーで『ボヘミアン・ラプソディ』を見ました。めっちゃ面白かった!
僕はクイーンについてはベストアルバムに入ってるような有名な曲しか知らない程度なんですけど、有名な曲だけでも両手じゃ数え切れないくらいあるのがすごい。映画も「曲の見せ方」というんでしょうか、ドラマが曲へと収束していく、曲で説き伏せるようなつくりがとてもよかったですね。

なのでクイーンの話をするんですけど、最新号のハヤカワミステリマガジンに『十日間の不思議』刊行記念イベントの記事が載っていて、エラリイ・クイーンの新訳を数多く手掛けている越前敏弥氏と推理作家の有栖川有栖先生(+途中からは綾辻行人先生も)のトークライブの内容が載ってるんですよ。

そこで越前氏が「『ダブル・ダブル』が好き」「リーマ・アンダースン萌え」といったことを言ってくださっていてとても嬉しかったですね!「(訳せたら)もう思い残すことはない」とまで!ハヤカワさん!ぜひお願いしますよ!!

前も書いたんですけど人間的に成熟した探偵エラリイ・クイーンの挫折と再生を描く中期名作シリーズにおいて、『ダブル・ダブル』はエピローグなんですよ。『ダブル・ダブル』でやっとエラリイがなんというか、「探偵に帰っていく」んだと思うんです。あとライツヴィルシリーズとしても『ダブル・ダブル』は最後に出しておきたい。これ以降もライツヴィルが舞台の作品は出るんですけど、『ダブル・ダブル』の終わりはなんというかエラリイとライツヴィルの間に一区切りがついたというほのかな印象を与えるのがとても好きなんですよね。

越前氏がリーマ萌えというのがまた信頼できるじゃあないですか。
リーマ・アンダースンといえば作家クイーンが生み出した奇跡の萌えキャラ。現代でも通用するところを見せてやってほしい。あの有り体に言ってしまえば「都合のいい」キャラ設定はまさに萌えキャラのそれ。
世間と隔絶されて森の中で育った超絶美少女、常識はないんだけど文学には精通していてウィットに富んだ会話を交わし、そしてエラリイを頼るしかないという状況。クイーンの描く女性キャラは割と「都合のいい女性」が多いんですが、その中でも抜きん出て萌えキャラしてます。作者の願望が透けて見えて若干引くレベル。生足に関する描写とかキモいまでありますからね。

ライツヴィルシリーズは割と全部異世界転生入ってるんですが(ニューヨークから転生した探偵エラリイ)(とはいえ『第八の日』の前には霞むんですが)、この萌えキャラ・リーマの出る『ダブル・ダブル』は序盤からいい意味で実にファンタジック。しかしそこからリーマが物語中で辿る運命、そして結末…この後味がたまらないんですよねえ。

…新訳、待ってます!!『十日間の不思議』結構売上良かったって聞きましたよ!!もう1冊出してもいいんじゃないですか!!あっちなみに『ダブル・ダブル』以外でもう1冊出すならって話でライツヴィルつながりから『帝王死す』が挙がってましたが僕は『ハートの4』がいいです!!ポーラ・パリスも好きなので!!というかこっちは『クイーンの新冒険』の新訳を出した東京創元社さんが新訳出すべきじゃないですか!?『新冒険』読んだら当然『ハートの4』読みたくなってますよ読者は!!