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遅発型アレルギー

何十年もアレルギーと生きているので、家族や友人たちの突発的な皮膚トラブル(蕁麻疹とか肌の炎症)の相談をよくされる。「ちゃんと皮膚科に行ってね。」と前置きした上で、自分ならどう対処するか、というのを伝えてみると、特に家族は体質も似ているため、概ね好評だ。アレルギーの治療についても(自分が出来るかどうかはさておき)いろいろなことを知っているつもりでいた。

そんな知ったかぶりの私が、漢方医の所へ通い始めて一番の驚いたのが、「遅発型アレルギー」だった。

いわゆる卵や牛乳が飲めません、として、スグにアレルギー反応が出るものが即時型で、それとは違うものらしい。そして厄介なのはそのメカニズムが不明で、普通の血液検査では分からないらしい。

(詳しくは、この本に書いてあります。その「不調」、あなたの好きな食べ物が原因だった?遅発型フードアレルギー

病院の待合室に置いてあり、何気無く読んで驚いた。体感的に血液検査で反応しているもの(蕎麦やダニ・かびなど)以外にも絶対何かへの反応が出ているなぁ、と思っていたし、そこに書かれている症状や摂取しているもの(多くは嗜好品として常食していた)には身に覚えがあるものばかりだ。

漢方医も開口一発、「週3日以上食べているものがアレルゲンとして怪しいよ。」と。パンとか毎日食べてるし、麺類やお菓子も好きだわ、と思いながら、小麦は毎日くらい食べてる…とゾッとした。

これまでの西洋医学のアレルギー医に通っていた時に言われる、「甘いもの、油っこいもの、お肉類を控えて、アレルゲンのものを食べず、ストレスのないよう、健康的な生活を…チョコは禁止…」ということでさえ、守るのが大変なのに、それに加えて、好きなものほど食べれない!?と。

「先生、それでは逆にストレスが増えてしまいます…」と反論したものの、

「だから、それがアレルギーの反応やから。依存してるやん、中毒と一緒やで。一旦やめてみないことにはどうにもならん。」と。

そして、特に依存傾向が強そうな食品、小麦・乳製品を除去することに。ちょうどその頃娘のアレルギー検査でも、卵・牛乳・小麦が出ていたので、先生の言うことに半信半疑ながらも、やらない選択肢はなく、渋々やってみる。

これがほんと辛くて。まず、誰かと気軽に食事に行けない。ランチのお店で小麦を抜く選択肢ってほぼないことに唖然とする。

小麦粉はパンとかパスタとか分かりやすいものから、揚げ物の衣、カレーなどのルー、醤油や各種調味料にも入ってる。ベジタリアンレストランだったとしても、お肉の代わりに使うものが小麦グルテンで出来ていたりして、お弁当を持参するしかなかった。

後は、会社で配られるお土産のクッキーや各種お菓子類にはもれなく小麦・乳製品は入っているため、申し訳ないけど断れるものは断り、断れないものはこっそり誰かにあげたり、すごく気を遣った。

「これ絶対、アレルギーが良くなる前にストレスで死ぬわ!」くらいに思っていたけれど、2週間くらいだったか、急に体調が変わったような気がした。モヤモヤしたものがとれて軽くなったような。

先生からも「だいぶ顔の赤みとれたね。」と。もうそれが当たり前に隠すものとして思ってたけど、肌が赤いのはデフォルトでは無かったよう。そして、長年当たり前のように、体の至る所に出ていたジクジクした炎症が消えた。あ、これも無くなることがあるのか、という感動。

半年くらい続けた頃、先生の言う通り、無性に食べたい気持ちが無くなった。

やっぱり、中毒だったのか…。食べたいものは体が求めてるもの♪と言い聞かせてたけど、その欲求が麻痺していることもある、ということを思い知った。

そこからは先生のご指導を疑うことはやめて、一つ一つ、アレルギーの原因を相談しながら見つけていった。結構、ちゃんとした食生活のつもりで我慢たくさんしてるけどなぁ、と思ってたけど、ダメ出しポイントは数え切れないほどあった。

先生は言う。「アレルギーは火災のサイレンみたいなもの。体の中でどこかが燃えてる(炎症を起こしてる)のに、それを対処せんと蓋をする、みたいなことしてるんやで。」「ごまかしてその音を聞かないようにすることも出来るだろうけど、それでは火元は永遠に無くならん。」

私の場合、意外と心にも効果があったよう。ランチを誰かと行くことが出来なくなったけど、結構一人の時間って好きだな、っていうのを思い出せたし、一人で過ごすこと時間は心が休まる時間でもあるな、っていうのにも気がついた。

それを先生に伝えると、「本当のあなたは、そういう人なんじゃないの。ワーカホリックになるのもアレルギーの症状の一つやからね。ハイなのはいいけど、その分その反動が来て沈むでしょ、そういう乱降下がよくない。体に負担。」

おお、もう何でもお見通しのようで…。ワーカホリックは生き様だと思ったけど、それもアレルギーの反応と。自分の心の声、体の声には割と素直に生きてきた!と思っていたけれど、結構それはズレていたよう。

お医者さんに求めることって、何かの薬やら対処方法・情報を与えてもらうこと、割と受動的なものだと思っていたけど、逆にどうしたいのか、生き方をたくさん問われる。

あなたのアレルギーはこういうこと言ってますけど、どうしますか?という、見たくない、気づきたくなかった本音を暴かれる。

それって結構しんどい作業。物理的にかなり難しい食事制限もあるし、無理をしない生き方なんて、出来ないと思い込んでいる。だから初期の私もそうだったけど、先生はかなり恨まれたり八つ当たりされるんだろうなぁ、とも思って、お気の毒に思えてきた。確かに口コミでもいろいろ書かれている。

私は最近、もうファンデーションに頼らなくてもいいほど素肌の状態は改善して、なんならファンデーション不要なくらい。だから、周りの人たちにどこに通っているの?とかを聞かれるけど、「結構食事制限もあるし、指導が厳しいよ。」と言ってみて、反応を見ながら紹介している。

世の中のお医者さんへの期待とは違う、コンサルみたいなことだから、いつも受診の際は、自分自身の情報を整理して、どこに改善課題があるかの指摘をもらい、アクションプランを相談する。

でも、これって当たり前っちゃ当たり前のことなのかもしれない。お医者さんは、専門家として、体の症状についての解説はするけど、具体的な改善方法・日常生活への定着のためには、本人も頭を使うことがいいのかもしれない。自分の体のことだし。

遅延型アレルギーは、検査ではわからないから、自分の状態を自分で把握して観察できるようにする他ない。

でも、依存してしまっている食品を一旦除去してみて、無性に食べたい、苦しい期間を乗り越えたら、自分で食べていい適量が分かるようになる。

共に取り組んでいた娘も今はだいぶ調子がいい。子供だからしょうがないと思っていた、アセモやシモヤケもほとんど出なくなった。

お菓子などいつもだいぶ我慢させてるなーと思うから、たまにお友達からもらった市販のお菓子やジュースを、肌の調子がいい時には食べていいよ、と渡す。

「わーい!」と言って食べ始めるけど、大体の3分の1くらいで「もう要らない。」と残す。食べ慣れてないからか、甘すぎるのか、本能的に判断しているのか…自分の体同様、こちらも丁寧に観察しようと思う。

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