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愛って想像力

毎週土曜の夜、テレビの洋画劇場を楽しみにしていた少女時代。
初めて [ 慕情 ] を観たのは、12歳の時だった。
あの頃は、私も大人になったらジェニファー・ジョーンズのように
チャイナドレスを素敵に着こなすエレガントな女性になれるんだと
なぜか普通に信じ込んでいた。
まだ 赤いランドセル背負ってたくせして(笑)。

朝からどしゃ降りの休日。久々に [ 慕情 ] を観た。
そして また一緒に泣いてしまった。
突然だけど、「 愛って想像力 」 だと私は思う。
繰り返し観ている映画であっても、
主人公達の気持ちを想像するたびに泣けてしまう。
これはつまり、それだけその作品を愛している、
ということなんだとつくづく思う。
大人になるにつれ、涙もろくなるのも
想像力・理解力が深まるがゆえ。

例えば、ウィリアム・ホールデンの
『 君の話し方、歩き方、すべてが好きだ 』 という真っ直ぐなセリフ。
飛行機を降りる際に流れる ” 忘れ物のないように ” のアナウンスに対し
『 忘れるものか 』 と呟きながら 彼女の手をぎゅっと握るシーンもいい。
ジェニファー扮する女医ハン・スーインは、
イギリス人と中国人のハーフ。ハーフと聞くだけで
いかがわしいイメージを抱く人が圧倒的に多かったという時代背景の中で
『 私は両方の良い血を受け継いでいる。
 それを自分が証明する。私がその答えになる 』
そう言い切り、夫を亡くした後も1人で誇り高く生きていた。
頑なだった彼女の心を包み込んでくれる男性にやっと巡り会えた矢先、
突然 悲劇が訪れてしまう。2人で過ごせた時間はあまりにも短かった。
原作者はハン・スーイン。彼女自身の自伝小説の映画化。
つまりこの物語は実話なのだ。
凛としているジェニファー・ジョーンズがあの丘で
わっと泣き崩れる姿は たおやかで なお美しい。
その美しさが彼のセリフを思い出させる。
だから私もまた泣いてしまう。
その人の、
そこに至るまでの道のり。
そしてその瞬間瞬間の思い。 
想像するたび、言葉にできないものが溢れてくる。

相手の気持ちを想像して、
一緒に悩んだり悲しんだり怒ったり。
時には励ましたり𠮟ったり。
または喜んだり笑ったり、はしゃいだり。
映画や音楽から 計り知れない程 たくさんの刺激を受けてきた。
実生活からはもちろんのこと。
そうして あらゆる感情が 私の中で溶け合った。
この言葉はその結晶。
  - 愛って想像力 -
愛されるより愛する側に ずっと面舵いっぱいでいたいと思う。
だって愛すればこそ、力が湧いてくるのだから!


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