ショートショート『炎上広告代理店』
炎上広告代理店とは、SNS等でわざと炎上させて注目を集める炎上商法とは違い、今まさに炎上しているSNS等を探し、そこに企業や商品の広告を書き込む作業を行う事で企業から広告料を頂く代理店のことである。
わかりやすく例えると、
「不倫は文化?」
「ゲスの極み」
「タヒね」
「『紅茶はともだち ○○クッキー』」
「ふざけるな」
「ワロタwwwww」
「冗談は顔だけにしろ」
「『コーヒーは恋人 ○○クッキー』」
……と、白熱している会話の中に広告を入れ込む。野次馬も含め多勢の視聴者が目にすると思われるので、広告として成り立つのではないか?
場がしらけて火消し役になるかもしれないし、逆に火に油を注ぐことになるかもしれない商法だが、新しいニッチ市場を開拓しているのでは?
とあるオフィスの一角。社長の他に一人しかいない社員がパソコンの画面を食い入るように見ている。
「社長! ありました。炎上しているブログが」
社員が叫ぶ。
「よし。では早速、広告を書き込め。今回はとりあえず30回のカキコミ毎に広告を入れ込もう」
社長が指示し、社員はすぐさまキーボードをたたく。
しばらくすると社員は作業をやめ、社長に言い放つ。
「しかし仕事こないですね。あんだけ弊社の広告を書き込んでいるのに。URLも入れてるのに。この炎上広告って意味ないんじゃないですか?」
「君、ぶっちゃけるねぇ。まだ起業してまもないし、認知度が低いからね。もう少し頑張ってくれたまえ」
「……わかりました」
渋々作業を続ける社員。すぐに別の炎上しているウェブサイトを見つけ興奮する社員。
「どうした?」
「炎上しているウェブサイトですが、弊社のホームページでした。誹謗中傷が酷いです。ボロクソです。どうしますか? うちの広告を書き込みますか?」
「ウケるかな?」
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