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あきる野市の小学校

うちの玄関の前は向かいの家の駐車場になっているが今は車が一台も停まっていないので、その奥にある桃だったか林檎だったかの果樹園の葉っぱも果実もついていない樹木が見えている。その果樹園を右手に眺めながら、左手には1メートルほどの盛土に施された石垣が続く。石垣のある土地には寺がある。石垣の上にある塀の土壁は真新しくて境内に入るまではこの寺がいつからあるのか分からないくらいだが、石垣の中に電柱がめり込んでいる部分があって、少なくとも電柱、電気がこのあきる野市に届くようになって以降に塀ができたことだけは確かだ。この辺りではかなり大きい寺だと思う。
その真新しい土壁を家から100メートルほど進んだところで寺の敷地が途切れる丁字路があって、そこを左に曲がる。丁字路にはコカコーラの自動販売機が3台ある。自動販売機の裏は墓地になっていて、つまりはここも寺の土地なのだろう。

丁字路を曲がると左手には空き地があって、大概の空き地は3年も経つと前は何があったか思い出せない。空き地の隣には家が2つ並んでいて、2軒目の家は1軒目と築年数は変わらなそうなのだけど、最近になって外壁と駐車場スペースのコンクリートを新しくした。車も新しい気がする。コンクリートについた車のタイヤ痕も数えられるくらいしかついていない。

古くて良い家は石垣を作るのか、車の新しい家と道路を挟んで建っている家の敷地は家の近くのお寺と同じくらい広くて、蔵もある。蔵の外壁には横向きに梯子がかけられているが、掛けられている位置が地面から2メートルくらいのところで、「梯子をとるための梯子が必要だよな」と横を歩くたびに思う。
ちなみにこの蔵のある良い家の斜向かいも、石垣を携えた良い家だ。この家には蔵のようなかたちをした離れがあるので、きっと昔はここに倉があって、そこには同じように梯子が掛かっていたのかもしれない。

その2軒の良い家をすぎると、プラスチックでできた雨樋が付く平家が何軒か続いている。壁は木造だったりトタンだったり、石垣の代わりに背の低いブロック塀か、ツツジなどが混植された生垣を携えている。生垣に挟まれるようにして生える梅の木があるが今は花が咲いていない。300メートルくらいまっすぐの道を進んでいくのだが、ずっと右手には側溝があってなんとなく側溝のある右手の方が植物が大きい気がする。

そのまま進むと川にぶつかる。
その手間で2、3メートルくらいの狭い道を左にまがる。曲がり角にはツタに絡まれた小学校への道だということを示す標識がある。赤い文字が褪色してしまっているが「とびだすな」という看板もある。この曲がり角には新しい建売の住宅があって、石垣も生垣もなくて汚れに強そうな外壁が丸見えになっている。小学校の標識の横には「バーベキュー場 リバーサイドパーク一の谷」という看板もあるが同じように汚れている。庭のない建売住宅に住んでる人たちは利用したことがあるのだろうか。
狭い道には新しめの通学路という標識があるが、周りにある家は新しくなくて軽トラックが多い。ただ一軒だけ、さっきの建売住宅と同じくらい新しい家が建っていて、奥には少し古い家がある。その家の広い土地に新しい家を建てた、という様子。「新しく家を建てるタイミングで切ってもよかったが、土地が広いのでまあ切らなくてもいいか」というような雰囲気でポツンと梅の木も植っている。大事にされているのかされていないのか。
その梅の木から少し歩いた右手の薄ピンク色の家には一本だけ緑色の防虫ネットがかかった名前のわからない木があって、これは大事にされているような気がする。この大事そうな木を過ぎたあたりから道幅が広くなり、周りの家の塀も漆喰を模したようなモダンなものなど、家の造りも少し抜けた雰囲気になってくるが、この町以外を知っている人がみたら大差ない。
「…撃退!大きな声を出す勇気」というこれも赤い文字が褪色している看板の向には児童館がある。小学校が近い。なぜか入り口の前にエアコンの室外機があって、子供がいたずらするのを防止するためか、白い頑丈な柵に囲まれている。柵に囲まれていても室外に空気を送り出している。
児童館のすぐ横は小学校のプールになっていて、ぐるりと背の高い有刺鉄線付きのフェンスが張り巡らされ、さらに覗かれないように白く波打つ形のプラスティックの板も貼られている。「…撃退!」の消えてる文字が「痴漢」だということの答え合わせになっている。プールの中は見えないけれど、学校の川向こうに東京サマーランドがあってそこの観覧車がこちらからも見えている。プール、観覧車から覗けますよ。
そしてプールの横にある正門から登校するのだが、川向こうの遊園地が本当に学校の真裏にある。正門が遊園地への入り口のようだと喜べるのも数週間くらいで、いつの間にかどこにでもある小学校の正門としてしかくぐれなくなっているのだ。

ちなみにうちの隣の家では小鳥をかっている


500メートルほどを歩いたけど長すぎたので、次回は50メートルくらいをなぞってみようと思います。10分くらいで書きたい。

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