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「やさしい日本語」で防災講座②

防災講座を定期的に行っている地域も多いのですが、3年もたつと主催者側も受講者側も飽きてしまいます。参加者が減り、防災意識も薄くなります。
そこで、外国人住民の方も一緒に、「やさしい日本語」で防災講座を行うことをおすすめしています。
「やさしい日本語」で防災講座を行う効果は次の3つ。

①「やさしい日本語」で話しているのを見ることができる
②「やさしい日本語」で外国人住民と話す体験ができる
③「やさしい日本語」の基礎を知ることができる


①「やさしい日本語」で話しているのを見る

防災講座の内容は、日本人なら誰でも知っていることばかりです。ただ、すべて「やさしい日本語」で話します。日本人も一緒に受講することで、どんな言葉を選んでいるのか、重要な言葉を繰り返していることや、言いかえたりしていることがわかります。言葉だけでなく、イラストや写真、アクションが理解に役立つこともわかります。「やさしい日本語」で話しだすと、外国人住民の皆さんの反応が変わった、話の内容が伝わっていることが見て取れた、との感想をいただいたこともありますし、講座の帰りに行ったスーパーで、さっそく防災グッズを買ったという外国人住民もいると聞きました。講座内でお伝えできる内容は限られていますが、これまで目に入らなかった小学校の避難所のマークや電信柱の浸水深表示板に気づいたり、防災グッズコーナーに立ち寄ったりと、防災意識を持つ「きっかけ」「はじめの一歩」となることが大切だと思います。

②「やさしい日本語」で外国人と話す

①の講座の後、グループワークを行います。グループにはその地域の方と外国人住民の方にいていただきます。見学に来た消防署の方や市役所の方も入っていただきます。その地域のハザードマップを広げ、自宅や職場、学校、よく行くスーパーに印をつけ、それらが危険な地域にないか、最寄りの避難所はどこか、ルートは安全か、川、橋、アンダーパスを確認します。地域の方が話すことで、「ああ、あそこの川ね」とか、「あそこの山は以前土砂崩れがあって・・・」といった情報共有ができます。土砂災害警戒区域などの斜線の部分意味を聞かれたらどうしましょう。わかりやすく答えるためにはしっかりその意味を知らなければなりません。この時初めてハザードマップの解説欄を読む方も多いように思います。こうした機会が地域住民の防災力UPにもつながるのです。
また、普段は外国人住民の方を見かけても、どのように声をかけていいかわからないという方も多くいらっしゃいます。私、英語ができないから・・・といった誤解も解け、意外に日本語で大丈夫だった、「やさしい日本語」で伝わった、という体験につながります。一度話したことがある人なら、後日スーパーであったときには、挨拶を交わしたり、簡単な会話もしやすくなりますね。そういう関係、普段のコミュニケーションが災害時に役立つのです。

③「やさしい日本語」の基礎を知る

実は①、②の直前に日本人を対象にした簡単な「やさしい日本語」講座を行うことをおすすめしています。通常「やさしい日本語」の基礎講座は2時間ぐらいいただくのですが、「やさしい日本語」がどうして生まれ、どのようなルールがあるのかについて、簡単に話します。順番としては③①②の順になりますが、知って、聞いて、使う、ことで一気に「やさしい日本語」への理解、地域のコミュニケーションが深まります。外国人住民の皆さんにはこの時間を使って、別室で防災グッズを見たり、触ったり、質問をしてもらうこともできます。①②③が一度にできない場合には、別日に基礎講座を行ってもいいでしょう。グループワークをすること、ハザードマップや防災グッズについて説明してもらうことを伝えておけば、結構皆さんまじめに予習してくださいますよ。


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