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夢に小説の登場人物が出始めるようになった

 小説『皐月物語』を書き始めて3年が経とうとしている。今に至るまで毎日毎日、僕は小説の登場人物のことばかり考えている。そんなことをし続けてきた成果、最近、自分の身にある変化が起こった。

 昨日、今日と夢の中で『皐月物語』に登場する女の子たちが出てくるようになったのだ。今のところ、同居人の女子高生・及川祐希と、年下の小学5年生・入屋千智の二人が夢に出てきた。
 夢の中で僕は主人公の藤城皐月のポジションだった。だが「自分=藤城皐月」ではなかったことだけは確かだ。夢の中でも自分は自分だった。だから、夢の中では祐希も千智も、僕に対して少しよそよそしかったように感じた。それが妙にリアルだった。
 夢の内容は残念ながら覚えていない。特にドラマチックな話ではなく、ただの日常だったような気がする。祐希や千智には実在感があって、自分の小学生時代の同級生のような感じがした。

 僕は夢の中で小説の登場人物と普通に話をしていたことに、目が覚めてから感動した。
 二日続けて夢の中で小説の子たちと会えたなら、これからもまた会えるかもしれない。会えるものなら毎日でも会いたい。

 なんか、気持ち悪いこと書いてるね。

 『皐月物語』は全て作り話で、私小説ではない。でも設定の一部は自分の半生から借りている。
 それは母が芸妓だということと、母の新しいお弟子さんが高校生の娘さんを連れて、僕の家に住み込んだということ。
 小説の中の及川祐希はその時の高校生のお姉さんをモデルにしたわけではなく、ただその状況を小説に取り入れただけだ。でも、その時のときめきは少しだけ小説に反映させている。
 昨夜の夢に出てきた祐希は僕の家に来た高校生のお姉さんではなかった。僕としては一度でもいいから、夢の中で一緒に暮らした高校生のお姉さんと会ってみたい。
 彼女が家を出て行ってから何十年と経つが、僕は彼女と一度も会ったことがない。さすがに今さら彼女と会ってみたいとは思わない。
 夢の中でなら、その当時のお姉さんとは会ってみたい。でも、お姉さんがもうどんな顔をしていたのか、僕はもう忘れてしまった。もし彼女が夢で出てきたとしても、名乗ってもらわなければ誰かわからないだろう。

 僕が『皐月物語』を書き始めたのは、その時のお姉さんと会いたいという気持ちを祐希に託したいという動機が、少しだけある。

最後まで読んでくれてありがとう。この記事を気に入ってもらえたら嬉しい。