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ポーカー要注意ボード53 BTNvsBB SRP A65レインボー

こんにちは!八坂です。

本日はBTNvsBB SRPにおけるA65レインボーボードが落ちたときのCB戦略について解説していこうと思います!

Aハイのドライなボードでは多くのプレイヤーが全レンジで小さなサイズのCBを行っていると思いますが、実のところこれは正しいGTO戦略ではありません。
この記事では、このボードにおける正しいGTO戦略を提示し、さらに全レンジCBを使っていい条件と使ってははいけない条件を示したいと思います。


1.戦略の概要

BTN側のCB戦略

BTN側のCB戦略を確認していきます。ポットに対して33%,50%,75%,110%のベットサイズを入力し、ピオソルバーで計算を行なっています。

図1.1 BTN側のCB戦略

図1.1はBTN側のCB戦略です。33potの小さなサイズのCBが最も好まれていることがわかります。他3つのサイズはほとんど使われていません。

図1.2 33%サイズのみのBTN側のCB戦略

図1.2はBTN側のベットサイズを33%のみにし、簡易化したときの戦略になります。

図1.3 75%サイズのみのBTN側のCB戦略

図1.3はBTN側のベットサイズを75%のみにし、簡易化したときの戦略になります。

4つのサイズを使用した戦略のEVと33%のサイズのみを使用した戦略、75%のサイズのみを使用した戦略のEVを比較してみます。

  • 4つのサイズを用いたCB戦略のEV:34.24

  • 33%サイズのみを用いたCB戦略のEV:34.26

  • 75%サイズのみを用いたCB戦略のEV:34.11

4つのサイズを用いたCB戦略と33%サイズのみを用いたCB戦略のEV差はほとんどないことがわかります。また4つのサイズを用いたCB戦略と75%サイズのみを用いたCB戦略のEV差は0.13となります。0.13は55のポットに対して約0.24%を占める値になります。よって4つのサイズを用いたCB戦略、75%CB戦略のどちらも大したEV差がないことがわかります。
4つのサイズを用いたCB戦略ではほとんど大きなサイズは使われないのですが、意外と小さなサイズのCB、大きなサイズのCBのどちらの戦略をとってもEVがあまり変わらないことがわかります。

全レンジ33%CB

もしBTN側が全レンジ33%のCB戦略を行った場合どうなるのかを確認してみます。

図1.4 全レンジ33%でのBTN側のCB戦略

図1.4に全レンジ33%でベットを行った時のBTN側の戦略が示してあります。文字通り、すべてのハンドで33%のベット行っていることがわかります。

通常の33%サイズのみを用いたCB戦略と全レンジ33%サイズを用いたCB戦略のEVを比較すると

  • 33%サイズのみを用いたCB戦略のEV:34.26

  • 全レンジ33%CB戦略のEV:33.43

2つの戦略のEV差は0.83になります。0.83は55のポットに対して約1.5%を占める値になります。つまり全レンジ33%CB戦略は通常の33%CB戦略と比較したときに、ポットに対して1.5%のEVlossとなるため、大きなEV差が生まれているといえます。
この結果から、全レンジ33%CBがかなり損な戦略であることがわかります。

BB側のディフェンス

通常の33%サイズのみを用いたCB戦略と全レンジ33%サイズを用いたCB戦略それぞれに対するBBのディフェンスを比較してみます。

図1.5 通常の33%CB戦略に対するBB側の戦略
図1.6 全レンジ33%CB戦略に対するBB側の戦略

通常の33%CB戦略と全レンジ33%CB戦略に対するBBのディフェンス戦略がそれぞれ図1.5、図1.6になります。
2つのBB側の戦略を比較したときに、全体の抵抗頻度(コール頻度+レイズ頻度)はほとんど違いはないのですが、レイズ頻度が大きく異なっています。通常の33%CB戦略に対するBB側のレイズ頻度が11.43%なのに対して、全レンジ33%CB戦略に対するBB側のレイズ頻度が20.63%となっています。約2倍の差が生まれており、BB側がBTN側の全レンジ33%CBを見抜き適切に対処した場合、BTN側はかなり高頻度でチェックレイズに遭遇することになります。
BTN側はこのようなBBのチェックレイズに遭遇したとき、どのように対応すればいいのでしょうか?70%サイズのレイズをされたときの戦略を確認します。

チェックレイズに対する対応

図1.7 通常の33%CB戦略に対するBB側の戦略
図1.8 全レンジ33%CB戦略に対するBB側の戦略

BB側のチェックレイズに対する通常の33%CB戦略と全レンジ33%CB戦略それぞれの対応が図1.7、図1.8になります。
チェックレイズに対してほとんどのペアはコールしなければならないことがわかります。る通常の33%CB戦略と全レンジ33%CB戦略におけるちがいは、全レンジ33%CB戦略には77以上のポケットペアが多くレンジに含まれており、チェックレイズにコールする必要があるため、ターンで大きなポットをプレーする必要が出てきます。これらのハンドはマージナルなハンドなため、通常の33%CB戦略のようにフロップでチェックバックレンジを作ることでポットサイズをコントロールできます。BB側はチェックレイズによってBTN側のベットしすぎたマージナルなペアからEVをおそらく奪っていると思われます。これに関しては2章で詳細なEV分析を行っていきます。


2.戦略の考察

BTN側の考察

33%サイズのみを用いたCB戦略と全レンジ33%CB戦略を比較します。ベットサイズがもたらすEVの影響を考察したいと思います。

図2.1 BTNのレンジ構成

次に、BTN側の33%CB戦略と全レンジ33%CB戦略におけるBTN側の各ハンドのEVを比較します。

図2.2 BTN側の33%CB戦略と全レンジCB戦略のEV比較

通常の33%CB戦略と全レンジ33%CB戦略を比較すると、通常の33%CB戦略ではマージナルハンドのEVが大きく上昇していることがわかる。通常の33%CB戦略においてはこれらのマージナルなハンドの多くが高い頻度でチェックバックしています。つまりマージナルなハンドは全ての頻度でベットするほど強くないことがわかります。AというカードがBTN側にもBB側にも多く含まれており、A以外のハイカードが落ちたときとではマージナルなハンドの強さがかなり変わってきます。そのためAハイボードにおいてはA以外のペアのようなマージナルなハンドは常にベットできるわけではありません。1章よりこれらのマージナルなハンドを含んだ全レンジ33%CB戦略を使ってしまうと、高頻度でチェックレイズが返ってくることがわかっています。つまり全レンジ33%CB戦略はBB側の高頻度チェックレイズによってマージナルなハンドのEVを奪われてしまうのです。Kハイのようなエアーハンドもチェックレイズに降ろされてしまうので、ターンを見る機会を失ってしまいます。チェックバックすることでアウツを引き強くなる可能性がなくなります。
Aハイのボードで有利だからいって、高頻度でベットしていいわけではないことがわかります。

BB側の考察

次にBB側のレンジ構成及び、EVを比較してみます。

図2.3 BBのレンジ構成
図2.4 BB側の33%CB戦略と全レンジ33CB戦略に対するEV比較

BB側は、高頻度のCBをされることでトップペア以上の強いハンドのEVが上昇していることがわかります。ツーペア以上のEVは特に上がっています。これはチェックレイズすることでBTN側のマージナルなハンドからチップを稼げるからだと考えられます。通常の33%CB戦略をBTN側がとってきた場合、BTN側のマージナルなペア系のハンドはチェックバックの頻度を持っています。そのためBB側の強いハンドは、フロップにおいて必ずBTN側のマージナルなペアからチップを奪えるわけではありません。しかし全レンジ33%CB戦略ではそれらのマージナルなハンドを含んだすべてのハンドがベットしてきます。そのためBB側の強いハンドはチェックレイズによってかなりEVを獲得できることがわかります。BTN側の考察も含め、全レンジ33%ベットによってBTN側のマージナルなハンドのEVが、BB側の強いハンドに移っていることがわかります。
逆に全レンジ33%CBを受けたとき、BB側のマージナルや弱いハンドのEVが下がっていることがわかります。AハイのボードにおいてA以外のペアは弱いため基本ベットされるよりもショーダウンに迎えるチェックを望んでいるようです。エアー系のハンドもターンをただで見たいのでベットされることは好んでいません。
だたし、トータルのEVの変化を考えると、チェックレイズによってBBの強いハンドは大きくEVを稼げるため、通常の33%CB戦略と全レンジ33%CB戦略ではEV差が発生します。


今回の記事は以上となります。読んでいただき、ありがとうございます。

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