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一次情報を探す旅① 「へぇ、あんたもナナって言うんだ」

【1. 問題の所在】

自分がこの世で1番嫌いな人間は、「そうだ 京都、行こう。」を正しく引用しない奴である。
この手の人間は結構多い。「そうだ京都へ行こう。」と勝手に「へ」を補ったり、「そうだ、京都行こう。」と、句読点の位置が違ったり。

「そうだ」の後に読点を置かない。京都の後に読点を置く。余計は助詞を入れない。…すべてが計算されつくした美学なのに、ちょっと京都行きたくなっただけで適当に引用するやつが多すぎる。許せない。

ところが、この怒りはブーメランとなって自分に返ってくる。
”引用するなら、引用元を確認し、正しく引用したい…。”
そんな思いでこの旅を始めてみた。ちなみに「①」と銘打っているが、次回は決めていない。

今回取り上げるのは、
「へぇ、あんたもナナっていうんだ」
である。
矢沢あい原作の「NANA」の中のセリフとされ、いわゆるミームとして市民権を得ているフレーズの一つである。
1999年に連載開始、2009年に休載と古いマンガであるが、Twitterで試しに「あんたもナナ」で検索すると今でも(※1)多くの人がミームとして愛用していることがわかる。
(※1) 2021年12月現在

ところが、「あんたもナナ」でググってみると、「実際には使用されていない」といった情報も多くヒットする。どうやら、「いかにもありそう」「フレーズとして使いやすい」といった理由で、原作とは異なる表現で定着してしまったらしい。


【2. マンガ版「NANA」での記述】

では、マンガではどのような表現だったのか。
該当のシーンは2巻p.30で登場する。

上京する小松奈々と大崎ナナの2人の”ナナ”が、新幹線でたまたま隣の席に。雪のため新幹線がなかなか進まないことをきっかけに小松奈々が一方的に身の上話をする。
途中、小松奈々がかかってきた電話に出る際に「はいはい奈々でーす♡」と出たため、話相手の名前が「ナナ」だとわかり、それまで一方的に話を聞いていた大崎ナナが最後に言ったのが、

「それともうひとつ、あたしもナナってゆーんだナナちゃん」

である。



【3. 映画版「NANA」でのセリフ】

「NANA」は2005年と2006年に映画が出ている。
このうち、2005年に公開された「NANA」での表現を確認する。

該当のシーンは開始9分で早くもやってくる。
セリフは、

それとあともうひとつ、あたしもナナってゆーんだ。ナナちゃん。

で、マンガとほぼ同じであった。
(なんと中島美嘉、宮崎あおいのダブル主演。ネットフリックスで観られるのでぜひ見てほしい。)

【4. アニメ版「NANA」でのセリフ】

2006年~2007年の間に、アニメも放映されている。アニメもネットフリックスで視聴できるため確認する。
アニメ版も該当のシーンの登場は早く、こちらも9分過ぎ。

それともうひとつ、あたしもナナってゆーんだ。ナナちゃん。

…マンガに忠実であった。


【5. 結論】

正しくは、
あたしもナナってゆーんだナナちゃん


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