見出し画像

クリプトVCの乱立と腐敗により生まれたムーブメントとこれから

0. あいさつ

「やす」と申します。
(よかったらフォローおねがいします! → Twitterアカウント )

ーーーーーー

SpartanというクリプトVCのGPであるJason氏による、「クリプトVCとスタートアップの歴史とこれから」

ざっくり以下の4セクション。

・過去(2018):Bearでの立回り
・過去(2021):VCの勃興と不満
・現在:Bear相場で起こってる事
・未来:次のBull相場に向けて

現在の事でも知らないことが多かったので、是非読んでもらいたいと思い、翻訳しました。

1. 2018年のBear相場:資金調達の悪さ

2018年のベア相場では、資金調達環境が悪かったため、VCはクリプトスタートアップの生命線だった。
当時、現在と違い$100Mはファンドサイズとして大きかったくらいで、スタートアップもファンドも資金調達には苦戦した。

実際、現在の人気プロジェクトも当時は核廃棄物のように見え、その頃であれば1/1,000のコストでトークン投資できていた。そんな時代だった。

でも、勿論2018年当時は一部のVCを除いて誰もやりたがらなかった。

2. 2021年のBull相場①:VCの無秩序な乱立

当時を知らない人は、去年のBullマーケットでVCが大勝利した瞬間しかわからない。
そこで雨後の筍のように、無数にクリプトVCが生まれつつある。

画像2

(VCの数が出なかったので、ディール数と出資額累計の伸びを載せます)

<増えた理由>
①参入障壁の低さ:Twitterやってたら設立できる
②リターンの上げやすさ:いわゆるスタートアップVCよりも、競争が少ないかつ、Tokenは流動性が高いのでリターンを上げやすい。
・プロダクトさえ無くても上場Exitできる
・SAFT OTC(シード投資の際の人気な契約方法でSAFEのToken版の相対取引)の発展でロックアップ(Cliff & Vestingのこと)関係なくExitできる。
③Valuation至上主義:Productでも,Teamでも,起業家(Founder)でもなく、大事なのはValuation。ただそれだけ。


「Private Roundで安く買い、上場後に売ってキャピタルゲイン」という、ただの「プライマリーとセカンダリーのアビトラ」という手法で簡単に設けられるようになったため、この虚無的なパラダイムに大量のVC志願者を集めてしまった。

昨今でも、
「Productなし、トラクション(数字)なし、ゲーム経験なしチームによるブロックチェーンゲーム」でも、Valuation $200M(220億円)で資金調達できる。
それは $AXS のValuationが$30B(3.3兆円)なので、良いコールオプションに思える。

画像2

(GameFiのプロジェクト数)

3. 2021年のBull相場②:VCの欺瞞と腐敗

そんなこんなで、資金調達環境は圧倒的に良くなった一方、資金、つまりVCの質が低下した。
理由は、一説では統計的にシードVCはなるべく多くのスタートアップに投資するのがセオリー(以下参考URL)であり、理由はホームラン案件を逃したとき大きいため、それを絶対に逃さないよう全張りする必要があるため。

そうなると、必然的にポートフォリオ数に執心するため、出資後のスタートアップへのサポートをおざなりにすることが合理的になってしまう。たとえスタートアップに対しては出資前にはサポートすると約束していても。

4. 2021年のBull相場③:VCの質低下の影響

その結果、
・優秀な起業家は、サポートをしないVCへの不満を溜め。
・個人投資家は、VCは初期にカネ出してるだけという真実を知った。

クリプト界隈(スタートアップ側+個人投資家)で、
「全クリプトVCは悪」というレトリック
が形成された。

・起業家A:クリプトのプロジェクトが概ねOSSであるという特性を用いて、VCが出資したプロトコルのフォーク(GitHubに乗ってるソースコードをそのままコピー)を作って、VCへのアンチテーゼを用いて集客。
・起業家B:資金調達環境の良さを用いて、無謀なValuationで資金調達重ねる(Valuationが無謀なので条件付きなことが多いが)


勿論、競争の激しくても、上位1/4の起業家にしか投資しないVCもある。
そのため、
優良プロジェクト:超High Valuationでの資金調達が可能(人気だから)
悪いプロジェクト:条件付きでもいいので無謀なValuationで調達

プロジェクトの良し悪しに関係なく、Valuationが上がる構造が形成された

5. 2022年初頭のBear相場で起こっていること

現在、クリプトのセカンダリー(上場後)が悪くなっているため、プライマリー(上場前の出資)との価格差で儲けるという、「プライマリーとセカンダリーのアビトラ」という簡単な手法が効きづらくなってきた。

市場の冷え込みで、無謀なValuationから目が冷めつつある。

6. 今後のVC及びスタートアップの動き予想


◆VCの動き
小規模VC:アンダーパフォームして駆逐される。
逆張りVC:2018年のBear相場で、現在の優良Projectに投資していたVCのようなところが新たに生まれる可能性
大手VC:同業との投資先獲得競争でリターンが悪くなり、一部はLPからの信頼を失って力を失うものもあるだろう。

◆スタートアップ
低品質プロジェクト(プロダクト無い,Team弱いなど):資金調達できていたら、その資金で数年かけてlaunchまでこぎつけるだろう
アンチVCのためだけに作られたフォークプロジェクト:ジリ貧
優秀なFounderのプロジェクト:VCを幻滅し、「別プロジェクトのFounder」のエンジェル投資してもらうか、VCが撤退した後の焼け野原でそのポジションを埋めるために生まれる「投資クラブ」から投資
(投資クラブがよくわからないが、多分ハンズオンVCか投資DAOだと思う)

直近、「プライマリーとセカンダリーのアビトラ」というEasy Gameではなくなるため、VC志願者は減るだろう。
また、VCはより選択的になり、価格も現実ラインに落とし込まれる。

7. 備考:歴史は繰り返す

良いVCが創業者をサポート
→強気相場でVCが増殖
→雑VCが増え、スタートアップと個人投資家がヘイトを溜める
→アンチVCムーブメント加速
→…

という2018〜2021にみた光景が繰り返されるだろう。

画像3

(2018年初頭~2020年夏にかけての仮想通貨の冬)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?