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生成AIだけで絵本を作成してKindleで出版してみた

最近の生成AIの進歩のスピードは凄まじく、少し目を離しただけで、あっという間に置いていかれる状況です。一方で、使いこなせば、かなりの時間短縮になることや、今まで出来なかったことができるようになり、非常に有益だと感じます。

今回は、この生成AIのみで絵本を制作し、それをKindleに出版してみました。既に多くのイノベーター達が生成AIで作成した本や雑誌をKindleに出版しており、私もそれに倣ってトライしてみました。

この記事では、実際に生成AIでの絵本制作をどのように進めたのか、やってみて実用的だったのか、やり方と所感を述べたいと思います。


ChatGPTでのストーリーの生成

ChatGPTでストーリーを生成してもらうにしても、ただ漠然と「絵本のストーリーを作って」とお願いしても、変なストーリーが出来上がることが多いので、今回は私の体験を絵本のストーリーに変えてもらいました。

ChatGPTに入力したプロンプトは以下の通り。

感動する絵本のストーリーを考えてください。
概要は以下の通り。

・共感性の低い夫と感受性の強い妻
・夫は仕事で成功することに注力し、妻は子供を持つことを願った
・妻は仕事で精神病を患ってしまう
・子供を持つことを願う妻に対し、夫は「精神病を患っている状態で子供を育てられないのでは?」と、妻に疑問を投げかける。
・悲しむ妻。それを見た夫は反省し、子作りを手伝う。
・妻が妊娠する。喜ぶ妻、実感のない夫。
・妻は子供が産まれた後のことを考え、子どもについて積極的に勉強する。
・実感のない夫は、出産後について深く考えず、仕事に打ち込む
・時々意見の違いで衝突する夫婦。それでも出産に向けて時間は進む。
・いよいよ出産。無事に娘が生まれる。
・夫は、赤ちゃんを見て初めて親になる実感が生まれる。
・赤ちゃんは夫婦の絆を紡ぐ大切な存在。

ChatGPTが生成してくれたストーリーは次の通りです。

タイトル: 「絆の小さな芽」

1ページ:
夫、翔太は目の前の数値とグラフに固執するタイプ。妻、花音は風の音や小鳥のさえずりに感動するような感受性の持ち主だった。共に幸せの定義が異なっていたが、結婚して夫婦となった。

2ページ:
翔太は会社の成績を上げるために日々奮闘していた。花音は家族を持つ夢を見ていた。子どもの笑顔、翔太と過ごす日常の中の幸せを夢見て。

3ページ:
しかし、花音は仕事のプレッシャーにより精神的に辛い日々を送るようになる。翔太はその変化に気づきながらも、具体的な対応には戸惑っていた。

4ページ:
ある日、花音は「子供が欲しい」と翔太に話す。翔太は心配から「今、精神的に不安定な時に子どもを育てることができるの?」と返す。

5ページ:
花音は深く傷つき、彼女の目には涙が浮かんだ。その姿を見て、翔太は自分の言葉の重さに気付く。

6ページ:
翔太は反省し、花音を支えることを決意。彼らは心を一つにして、子作りを始める。

7ページ:
幾つかの月日が流れ、花音は妊娠の喜びを知る。花音は喜び、翔太は未知の未来への期待と不安を感じながらも、一緒に新しい人生を歩む決意を固める。

8ページ:
花音は母としての役割について、書籍や経験者から学び取ろうと努力する。翔太は仕事に没頭し、家庭を支えるという役割を担おうとする。

9ページ:
2人の価値観の違いや、出産への不安から、時々衝突することも。でも、彼らはそのたびに互いを理解し合い、関係を深めていった。

10ページ:
ついにその日が来る。花音は病院で、翔太の励ましのもと、新しい命を迎える。

11ページ:
娘、紗季が誕生。その小さな命に、翔太は初めて「父」としての責任と喜びを感じる。

12ページ:
紗季は夫婦の間に生まれた絆の証。彼女の存在は2人の関係をより強固にし、彼らの未来を明るく照らしてくれた。

最終ページ:
翔太と花音は紗季の手を取り、新しい日々を歩み始める。この家族には、これからもたくさんの愛と絆が待っている。


「絆の小さな芽」は、違った価値観を持つ2人が、愛を通して理解と共感を深め、一つの家族として成長する物語です。

少し具体的過ぎると感じたので、「もう少し抽象的な書き方にしてください」と依頼しました。その結果が次の通り。

タイトル: 「光の種」

1ページ:
翔太と花音、二人の影がある。影と光の間には、まだ小さな光の種があった。

2ページ:
花音の心の中で、一つの小さな光の種を大切に育てる夢があった。それは家族の光になる夢。

3ページ:
しかし、暗雲が花音の頭上に。翔太の影は、その暗雲を心配に感じていた。

4ページ:
「この雲の下で、光の種を育てられるだろうか?」翔太は、花音の夢について深く考えた。

5ページ:
だけど、花音の心の中の光の種は、愛で強くなった。翔太もその光を信じることに決めた。

6ページ:
しばらく後、花音の中の光の種は、小さな輝きを放ち始めた。それは、紗季という名の小さな光。

7ページ:
花音は紗季の光を大きくするために、歌を歌い、物語を話した。翔太は、家の周りの光を守るために頑張った。

8ページ:
二人の影は、時々重ならない時も。でも、紗季の光のために、もっと互いの光を合わせることを学んだ。

9ページ:
そして、大切な時が来た。紗季という光が、この世界に輝き始めた。

10ページ:
翔太の目には、紗季の光に感動の涙が浮かんだ。

11ページ:
紗季は、家族の中心に輝く光となった。その光で、家族はもっと強く結ばれた。

最終ページ:
翔太と花音と紗季、三つの光が一つになって、新しい明日への道を照らしていく。

このシナリオは、家族の愛と絆、そして新しい命の誕生を、光と影のメタファーを使用して抽象的に表現しています。

自身の体験を基にしたこともあり、あまり面白味のないストーリーではありますが、とりあえずこのストーリーで絵本を作ることにしました。

Midjourneyを使った画像生成

次に各ページに使用する画像を生成します。
今回は、画像生成AIにMidjourneyを選択しました。
Midjourneyは、簡単に高品質の画像を生成できるので、画像生成初心者🔰の方におすすめです。

https://www.midjourney.com

Midjourneyに入力するプロンプトは、ChatGPTに出力してもらいました。プロンプトは、「各ページの情景を画像生成AIで出力するための英語のプロンプトで表現してください。」としました。出力結果は次の通り。

Page 1:
"Silhouettes of Shota and Kanon, standing in a space between light and shadow, with a tiny glowing seed hovering in the middle."

Page 2:
"Close-up of Kanon's face, dreamy eyes gazing at a small glowing seed in her hands, representing the dream of family."

Page 3:
"Dark clouds forming above Kanon's head, with Shota's silhouette looking worriedly towards the clouds."

Page 4:
"Shota pondering deeply, with thought bubbles showing the glowing seed under the dark clouds."

Page 5:
"Kanon's heart radiating a strong glow, with Shota nearby, a determined look on his face, both looking at the glowing seed."

Page 6:
"Kanon cradling a gentle light in her hands, with the name 'Saki' written in glowing letters."

Page 7:
"Kanon singing and telling stories to the light named Saki. Shota is seen securing the surroundings, ensuring it's filled with warmth and light."

Page 8:
"The silhouettes of Shota and Kanon, sometimes overlapping, sometimes apart, with beams of light connecting them, all focusing towards Saki's light."

Page 9:
"The world illuminated by the radiant glow of Saki, turning everything into a soft golden hue."

Page 10:
"Close-up of Shota's eyes, teary and filled with emotion as he looks at Saki's brilliant glow."

Page 11:
"Saki glowing brightly at the center of the family, with rays connecting and strengthening the bond of Shota and Kanon."

Final Page:
"Shota, Kanon, and Saki together, their combined light illuminating a path, leading towards a bright future."

このプロンプトをMidjourneyに投げますが、KanonやSakiといった固有名詞はMidjourneyで意味を理解できないので、登場人物名はman、woman、babyに変えて、Midjourneyに入力しました。

1ページ目のプロンプトを投げた結果が次になります。

大抵1回だけでは自分の理想とする画像を生成することができないので、何度も生成を繰り返したり、プロンプトを変える必要があります。
正直、自分の理想とする画像を生成することは、ほぼ無理だと思います。Midjourneyでは、細かい指定ができず、ほぼプロンプトのみで生成する画像を指定しないといけないので、コントロールが非常に困難です。
今回は、多少妥協をして、それっぽい画像が生成できたらOKとしました。

Stable Diffusionの方が良さそう?

Midjourneyは、簡単に高品質の画像を生成できますが、細かい指定をすることができず、目的の画像の生成がかなり難しいです。
学習コストが高いですが、理想の画像を生成したいならば、Stable Diffusionを利用した方が良いと感じました。
Stable Diffusionでは、世界中の有志の方々により、様々な拡張機能が存在し、それにより画像生成の質の向上や、的確なコントロールが可能になります。
ポーズや服などの参考画像・映像があれば、次のような映像を作ることもできます。それくらいコントロール力が高いです。

ただし、先ほど述べた通り、Stable Diffusionを使いこなすには、テクノロジーの理解に加え、Stable Diffusionの各種パラメータ、使用方法、拡張機能の理解が必要になり、しっかり使えるようになるまでのハードルが高いです。
ガッツリ画像生成をやりたいという方は挑戦してみてください。

生成したストーリーと画像を結合

ここまでに生成したストーリーと画像を結合します。
文字と画像を組み合わせただけなので、私はGoogle Slideを利用しました。
特に加工が必要ということではないのならば、結合にはどのツールを用いても良いと思います。

作成した絵本を出版

最後に作成した絵本をKindleに出版します。
私は次の記事を参考に出版作業を進めました。丁寧にまとめられているので、上からなぞるだけで出版まで進められると思います。

最終的に出版された絵本が下記になります。

所感:生成AIでの絵本制作の現状

現状は、ストーリーの生成は、素となるアイデアがあれば、ChatGPTでかなり良いストーリーを生成できると思います。素になるアイデアがないと、面白いストーリーの生成は難しいかもしれないです。あくまで文章生成の補助に使えて、アイデアの源泉としての利用は厳しい印象です。

画像生成の課題は多いです。現状、テクノロジーの理解がない人が使える画像生成AIでは、プロンプトのみでの指定になるので、思い通りの画像を生成できません。プロンプトを変えながら試行錯誤が必要になり、かなりの労力を必要とします。
しかし、絵の描けない人でも、綺麗な画像を生成でき、労力を掛ければ目的の画像を生成できなくもないことから、画像生成AI自体は有益だと感じます。

まだまだ発展途上の技術ではありますが、今後より発展していったら、全ての人がクリエイターとして活躍する社会になると確信しています。これからの発展が非常に楽しみですね。

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