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コーチングはサイエンスではなくアートである

ビジネスにおけるフレームワークに「アート・サイエンス・クラフト」というものがある。

サイエンスは論理的な分析、アートは直感などのクリエイティブな要素、クラフトは実践的な技術・工夫、というように会社に必要な要素を分類したものである。

アートの部分が理想を描き、サイエンスで現状を認識する。そしてその2つのギャップをクラフト=実践を通して埋めていく。このような役割分担として理解できる。


コーチングにおけるサイエンス・アート・クラフトはどのようなものになるだろうか。

 サイエンス:分析、科学的知識(身体科学、学習科学)

 アート:リーダーシップ、関係性づくり、人を巻き込む力、人を動かす力、影響力

 クラフト:実践、技術(コーチングの技術、どのようなドリルを実践するか)

 

よくよく意識しなければならないのは、特にアートの部分であり、サイエンス偏重になってしまわないようにすることだ。

サイエンス偏重がもたらすもの

たとえば、サイエンス=合理のみで物事を考えるとどうなるか。

バスケットは平等な試行回数の下、得点の最大化と失点の最小化を狙うスポーツであることを考えると、オフェンスにおいて「最も期待値の高いプレイのみを選択し続けること」になる。


例えば少し前なら、J.ハーデンのステップバック3Pだけを打ち続ける(+それにオーバーアクションされた際のカウンターアクションのみを続ける)、というような選択になる。他にもチーム内の最も効率的なメンバーのみを出場させ続ける、といった選択もあるだろう。

このようなチームがチームとして成り立つだろうか。言い換えれば、あなたは「このチームにいたい、貢献したい」と思うだろうか。


おそらくNoだろう。

そう。選手はボールを触りたいし、シュートを決めたいのだ。練習で上手くなりたいし、ゲームでそれを発揮したいのだ。


もちろん上で述べたような選択は極論であるし、思考実験でしかないが、サイエンスだけでチームが成り立たないことは明らかだ。正論や論理をだけを述べても人は動かない。


「これが正しいから、これをやれ」

この言葉に人を動かす力はない。人には勘定があり、人は勘定で動く生き物だからだ。「あの人の言ってることは正しいのかも知れないけど、従いたくない」この感情はほとんどの人が経験があるのではないだろうか。


ではどうすればよいのか

人は感情で動く。そしてサイエンスではなくアートこそが、その感情を動かすことができる。

人はそれぞれ異なる存在である。その異なる他者で構成された組織に対し、どのような理想を描き、どのような関係性を構築し、どのような影響力を発揮するのか。

負けという結果にどのような意味を与えるのか、改善点をどのように伝えるのか、どのようにして信頼関係をこうちくするのか。

そこにサイエンスのような答えはなく、コーチは「その人」に動いてもらうための「芸術」を「都度」作り上げなければならない。

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