重症者以外は自宅療養

これは命の切り捨ても同然と思う。

中等症者が何故入院が必要かというと、いつ重症化するかわからないからだ。重症化のサインを見つけたら速やかに対応する為だ。こういった中等症者が自宅療養になれば、重症化のサインを自分では見つけられず、見つけられたとしても救急車を呼べど来ず、病床もなく、自宅で命を落とす方が急増するだろう。

対策は講ずると言っているが、実効性のある対策は期待できない。病床が足りないという事は医師や看護師も足りないのだ。保健所も手一杯だ。自宅療養とは、患者を個々に点在させる事だ。離れた場所に点在する個々の患者をきめ細かく看護する等、出来るわけがない。オンラインサポートだとか体のいい事を言うけれども、実際には対応者不足で機能するまい。酸素濃度測定器や酸素吸入器など用意するとの事だが、果たして爆増する自宅療養者に行き渡るものか疑わしい。届くまで1ヶ月かかるとか全然ありそうで怖くなる。

では何故政府はこんな非人間的な事を言い出すのだろうか。中等症者であっても病状は非常に辛く、自宅療養は困難であるとも言われている。意識朦朧とし息も絶え絶えで助けを求める事ができるかどうかわからない人々を何故自宅に放置しようと言うのだろうか。
それは、「重症者以外は自宅療養」というのは政策でも何でもなく、ただの事実追認であるからだ。重症者以外を受け入れる事が最早不可能になったという事実報告なのだ。

政治決断があろうと無かろうと現実的に病床はいっぱいいっぱいである。データ的にはまだ余裕があると思われるかもしれないが、これから重症者数がどんどん増え、これまで中等症者を受け入れていた分を重症者用に当てないと重症者を収容出来なくなってしまう。
すなわち医療崩壊である。
それは何としても避けたい。医療崩壊は防いだという結果を残したい、医療崩壊を招いたという謗りを免れたいのだ、政府は。

しかしこれは実質的に既に医療崩壊であるかまたはその直前予告である。願わくば事実追認の発表なんてどうでもいいから、肝心の感染拡大阻止に全精力を注いで欲しいものである。まあそれがどうにも出来ないから回りくどい事しか言えないのだろうが。相変わらずワクチン頼みばかりだが、ワクチンはそうそう打ち進むものではない。ワクチンが行き渡る前に医療崩壊は起きる、というかもう起きかかっている。抗体カクテル療法とやらも供給に難があるという話だ。即座に感染をストップする有効な政策を打ち出さない限り、医療崩壊は防げないだろう。

まあ今の政府じゃ無理だろうけどね。

総理の言う事は、高齢者はワクチンを打ち終わっているから大丈夫、人流抑える対策はやってる(実質効果がなくとも)から大丈夫、重症者増えてないから(その後増えてきてるけれども)大丈夫と、この感染爆発を直視せず、数少ない限定的な実績のみ弁解のように言い募るのみだ。総理以外の人間はみなこの状況を危機的と言い対策に尽力している。ただ総理だけが大丈夫大丈夫といい、その他の人の危機感を台無しにしている。

総理にとっては、高齢者が無事ならもうそれでいいのかもしれない。総理の見ているのは自分の支持者たる団体のトップやら投票率の高い高齢者だけなんだろう。若者は投票率も低いし選挙に影響しないからどうでもいいしちょっと苦しい思いをさせても問題ないという認識で宜しいか?

感染拡大阻止に必要なのは人流の抑制である。総理の言うようにほんのちょっと減っただけでは何ともしがたい感染爆発を抑えるには、徹底的な人流抑制が必要だ。強制的な外出禁止は法的に無理とも言われているが、緊急事態なのにそんな事言ってる場合なのか?目の前で失われようとする命がある時に、法的根拠がないから助けないなんて、某隣国で交通事故で倒れている人を誰も助けないってニュースがあったけれど、それと変わらんだろう。

これまで同様のお願いベースであっても危機感があれば人流は抑えられると前回の記事で書いた。
私自身は今こそ非常に危機感を持っている。今コロナに感染したら間違いなく入院できない。コロナ以外のどんな病気怪我でもだ。今は絶対に怪我も病気もしてはいけない、その為に出来る精一杯の自粛をしようと思っている。世の中の多くの人に同じ危機感を共有していただける事を願う。総理には変な楽観論を拡散してその危機感をぶち壊さない事だけをお願いしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?