衆院選への心構え

菅首相の退陣が決定した。
最悪の引き際だったのではないかと思う。
私は反自民党なのだが、自民党の方々の心境に心から同情申し上げたい。

まずは、支持率回復の決め手として複数候補で論戦を交わすはずだった総裁選挙だが、二階氏下ろしによる論点潰しで岸田氏対策、下村氏の出馬妨害、事前人事で人気取り、極め付けは総裁選前の解散総選挙と、悪あがきをするだけしたあげく、勝ち目がないからと出馬断念。
立つ鳥後を濁しまくって泥だらけだ。

総裁選で論戦を交わすべき一方が逃げてしまったのでは無投票と何も変わらない。総裁選をフルスペックでやる意義が殆どなくなった。
事前人事で党三役を変えるのであれば下村氏は出馬断念の必要はなかった。
解散総選挙による総裁選先送りを画策したのには呆れて物も言えない。これは、同様に呆れ果てた反菅幹部が意図的にリークしたとの説もあるようだが、結果的に情報が漏れた事でこれが防がれ、不幸中の幸いではあっただろう。実際に実施されていたら惨敗も惨敗、政権交代につながっていたかもしれない。

自民党の事を考えれば、菅氏は総裁選に出て、堂々と負けるべきだった。フルスペックの総裁選の結果堂々と選ばれた総裁の元で総選挙に望むというのが自民党にの希望する最善のシナリオだった筈だが、それさえ潰して、もはや党利も考えず自己都合自己保身、恥をかきたくないだけの責任放棄っぷりに呆れるばかりだ。


さてそんな中、衆院選は自民党の思惑に関わらず10月中に行われる事は変わらない。
ここはぜひ政権交代を!と言いたいところだが、自民党の支持率低下はあっても、野党の支持率向上には殆ど繋がっておらず、自民党の最悪予想は単独過半数割れに止まる。つまり、自公連立政権を覆す事は出来ないであろうというのが大方の予想だ。

ならば私たちの投票行動は無駄なのだろうか?

私はそうは思わない。

ひとつには、自民党の横暴、安倍、菅政権の傍若無人を許したのは、安定多数という武器だった。安定多数を持って、野党が何を言おうと無視する事が出来た、論点ずらしのトンチンカンな答弁が許された、官僚を支配し不都合な情報を隠蔽し改竄してきた、嘘をついても不正を認めずとも許されてきたのだ。

何も政権交代まで行かなくても、野党の発言力が強まればそういった横暴を抑止できる確率割合は高まるのではないか。
私は今回の投票目的として、自民党の議席を最大限減らす事を掲げる。今の野党に政権交代は荷が重い。今後の政権交代のために力をつけ人材を育て、議席を増やしてほしいと思っている。

政権交代の話題になると必ず民主党政権の酷さを挙げる人がいる。
民主党は酷かっただろう?もうこりごりだろう?と言うが、そもそも何故民主党政権が誕生したかと言うと、それ以前の自民党政権の金権政治、汚職、不正、無駄遣いetcにうんざりしていたからだ。
自民党は一旦の政権交代を経て政権奪還をし、そして同じ腐敗を繰り返した。
二度と民主党は……とうのなら、三度自民党は……と言うべきだろう。
そもそも戦後長らく続いた自民政権で自民党と財界の癒着が進み、利権の温床を政治家側も財界側も失いたくないのだ。だから財界も自民を必死で守る。民主党政権に関する悪評は、自民党とその支持団体によって形成された部分が少なくない。それを差し引いて、私はやはり自民党よりは非自民に期待をするし、自民党に対抗しうる野党勢力が必要であると考えており、片方が失政したらもう一方が政権を担う、二大政党制への移行を期待し、その過渡期となる事を望んでいる。

以前は私も、政権交代出来なければ意味がないと思っていた。しかし、与党の勢力を削ぐ意味は十分大きいし、もう少し長い目で政権交代に繋げていくほうが望ましいのではないかと思うようになった。民主党の失敗は、主義主張でまとまっていないのに無理矢理剛腕で一体化巨大化した組織の自然崩壊の面が強かったように思う。だから安易に連携しないという党のスタンスも理解できる。
なる早で、けれども簡単には瓦解しない持続性のある、自民に対抗できる組織の出現、成長に期待しようと思う。

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