ルックバックを読んだ統合失調症の人に対して暴力的な批判する人について

ルックバックを読んだ統合失調症の人に対してのめちゃくちゃな意見が結構目に付いてさすがに酷いと思ったので自分が読んで思った事と解釈を書く。

まずルックバックを読んであの犯人と青葉被告は容易に結びつくしタイトルと公開日からしても意図的に分かりやすくしている。
ただし青葉被告が統合失調症だったのかはまだはっきりされていないし精神障害2級という報道もあるがそもそも初公判すらまだ行われていない為はっきりしていない。
なのでそれを作中の犯人=統合失調症で結ぶのは危険で、あくまで結ぶべきは犯人=青葉被告だと思う。

だがしかし初公判もまだという状況でとてもデリケートな事件を漫画の題材とする事に配慮が足りないのではないかという声が上がるのは作者も編集部も間違いなく予想されていただろうと思う。
では何故それでも公開したのかと考えるとそれはタイトルと公開日からも分かるようにこの作品のテーマが「振り返る」だからだと思った。
どうしてこんな事が起こったのか、犯人はどんな人物だったのか、これから起こさない為にはどうしたらいいのか、起こってしまったこの事件はどんな人が犠牲になっていったのか、2年という時間が経って多くの人間に過去になってしまったこの事件を"どんな理由"でもいいから「振り返る」という事だと
自分はルックバックを読んで事件のことをググるまで2年も経ってた事に気付かなかったし最後にあの事件のニュースを見たのは多分半年以上前だった(意図的に避けてた部分もあったので余計にちゃんと考えろと言われた気分になった)
少なくとも自分はルックバックを読んで事件をまた調べ直したしそこから今も考えている。
現実に起こってしまった事は変えられないけど考える事は誰でもできるのでそういった想像の力を信じて信じようとしてるからこそ藤本タツキはここまで執拗に想像力を一貫してテーマに書いたと受け取った。

と言ってじゃあ文句なしかと言えばそんな事はなくルックバックを読んで精神障害者の人が傷付いたなら絶対に声を上げるべきだしそれを安易に否定するのは暴力的すぎる。
「これくらい」なんて当事者じゃないから言えるけどそりゃ貴方にとっちゃこれくらいでも当事者からしたら生きるか死ぬかに匹敵しかねないですよ。
俺はこの作品が精神障害者の人にとって悪影響になってほしくないけど事実そう受け取られてしまうのはどうしようもない、しかしそう受け取られた人に暴力的な否定をする事こそがもっともこの作品が与える悪影響だと感じた。

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