《アシュラ》【秋山ジョージ】


 95気持ち
 94総合

 10 設定  
 10 世界観 
 10 登場人物
 9 読み易さ
 8 画力  
 9 演出、描写
 9 物語
 10 社会性
 9 面白さ
 10 凄さ

[コメント]
一ページ目から物語に引き摺り込まれた。
現代に生きる自分にとっては本当に想像もできないような物語が始まったのに、一瞬でこれが他人事じゃ無い事を理解させられた。
読めば読むほどまるで当事者かのように漫画の中に閉じ込められた。
読んでて肉の感触や味すらも感じるような描写と演出には思い出してもゾッとする。
こんなにも現実味のある非現実は他に無かった。

「生まれてこないほうがよかった」
なんて恐ろしいのだろう。
考えてみればこれほどの絶望は経験した事がない。
人生にて出会ったあらゆる苦痛も苦難も、この絶望の深さには及びもつかなかった。
生きる事を肯定できる何かが一つとしてなく、食う物すら無く、その極地を超えても食べるという生きる事そのものにすら地獄がある。
己を生かすものは肉体だけで、その精神の全てが生きる事を憎んでいる。
これ以上の地獄を俺は知らない。
本当に心の底から恐ろしかった。
人はなぜ生きるのだろうか。
愛とはなんなのだろうか。

生きる事が宿命なのだとしたら愛とは人が人として生きる為に必要なものなのかもしれない。

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