yarp-friend

yarp-friend

最近の記事

あいつ、アイス的に踊る(4)

(4)  とはいえ、上官は吉田をそれほど責めなかった。  上官と同様に、ほかの船員たちにおいても、吉田を非難さえせよ、詰問して追い込むようなことはしなかった。  『そうすることで、新たな食料が目の前に出現するわけではない』という諦観的思考が、船員全員に宿っていたからである。  それは、長い期間、制限的な海上生活を余儀なくされた船員たちにとっての、カントリーソングのリズムビートのような自然解釈だった。  「吉田」上官は言った。  「はい」  「船員は12名。つまり

    • भारतीय कहावत(1)

      समय की कीमत पहचानो

      • あいつ、アイス的に踊る(3)

        (3)  そもそも今回の食料計画ミスにおいては、コックの吉田の非によるところが大きかった。  大きくない、なんて誰が言えただろう。  "ほとんど吉田のせい"と誰もが認識していた。船内の内務、外務問わず、どのような見地からも。  船員の中で、食糧計画のマネジメントを行わなければならないのはコックの吉田だけであったし、吉田にはその責務があった。  その吉田が、ミスをしたということ。  内実を簡単に説明すると、コックの吉田が食糧計画を立てるために閲覧していたカレンダーが

        • あいつ、アイス的に踊る(2)

          (2)  複雑な何かというのは、結論から言えば、苛立ちだった。  その味わいは、戸惑いを鼻で吸って、あえなく砂まで吸い込んだ感じにも似ていた。  『だってそうじゃん』と上官は思った。  『だってそうじゃん。だって、食糧計画を作ったのはコックの吉田じゃん。なんで、「残りの食料は、あと5日分です」なんだよ。なんでそんな胸張ってんだよ。なんで片方しか靴下履いてないんだよ!』  上官はむしろ、自嘲的に笑った。 (つづく)

        あいつ、アイス的に踊る(4)

          あいつ、アイス的に踊る(1)

           まだ判断を下す者はいなかった。  しかし、そろそろ判断を下したほうがいいのは誰の目に見ても明らかだったので、ユウトは手を挙げた。  「なんだ、ユウト」上官は言った。前髪をかきあげながら。  「いえ。そうこうしているうちに食料もつきて、私達は漂流し、誰も生きていけなくなります。みなさん感じていることだとは思いますが」  上官の表情は渋った。そういうことはあまり言われたくないのだろう。  「で、なんだ」上官は言った。  「私たちに残されている選択肢、それは2つに絞ら

          あいつ、アイス的に踊る(1)

          週2日の僕の出番は、いまや週3日に増えていた。

          週2日の僕の出番は、いまや週3日に増えていた。 直近では、週5日ということもあった。 平均換算すると、週3日あたりだった。 別に、問題はそこじゃない。 核心は「出番が、週2回ではなくなった」ということ。 それも、わずか1ヶ月という短い期間に。 ここ10年、僕の出番はずっと週2日だった。 それは長く続く慣例であり、形態文化であり、同時に、原則かつ摂理だった。 それがいま、週3日になったということ。 もっとも、おそらく、多くの人はこういうに違いない。 よかった

          週2日の僕の出番は、いまや週3日に増えていた。