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カセット最強説

どうもボンドです。

本日のテーマは『カセット最強説』です。

ご視聴いただいている方の中には、『カセットテープ』という言葉にあまり馴染みがない方もいると思いますが、30代以上の方であれば一度くらいは触れたことがあるのではないでしょうか?

今でこそ、Apple Music や Spotify といったストリーミングサービスによりソフトは無形化し、スマホのようなハードさえ手元にあれば音楽を聞くことができますが、少し前まではソフトも手元になければ音楽を聴くことはできませんでした。

「いや、だったら不便じゃん。」て思われると思います。そうなんです。不便なんです。不便なんですが、最強なんです。

音楽に精通している人の中には『レコードこそ最高傑作』という意見や『CDが音楽ソフトの黄金期』という意見を持たれている方もいらっしゃると思います。

それはごもっとも。完全に同意します。喧嘩する気もございません。

それでも、我々野郎プロジェクトは『カセット最強説』を唱えたい。本日はそういった内容でございます。

【音楽メディアの歴史〜レコード〜】

ということで、早速カセットが如何に最強かについて熱弁していきたいと思うのですが、そのためには音楽メディアの歴史についてご理解頂けると納得しやすくなると思いますので、まずは音楽メディアがどのような変貌を遂げてきたかを、時代の流れと共にご説明していきたいと思います。

音楽メディアの始まりは1857年。フランス人のエドゥアール=レオン・スコット・ド・マルタンヴィルが『フォノトグラフ』という音を録音する機械を発明するところから始まります。

この時代は『音楽メディア』としてではなく、『如何に音を録音するか』ということを目的で研究が進められており、彼の有名なトーマスエジソンとそのライバルであるグラハムベルが、次世代の『フォノトグラフ』開発を巡って壮絶な発明合戦を繰り広げていました。

そして、その戦いを制したエジソンが、1877年に『蓄音器』を発表し、世紀の大発明として世界中の注目を浴びます。

ちなみに、グラハムベルはその前年に当たる1876年に『電話機』を開発したこれまた偉大な発明家でして、当時は敵対していたエジソンとグラハムベルの技術が、現代では1つのデバイスに集約されているというのはロマンを感じますね。それから、更に10年の月日を経て、1887年に円盤式蓄音器『グラモフォン』が発明され、標準規格として『レコード』が誕生しました。これが、音楽メディアの原型となります。

グラミー賞も当初は『グラモフォン・アワード』と呼ばれていたことから、グラモフォンとレコードが如何に偉大な発明であったかを物語っています。

逆説的なことを言うと、それまでは音楽を生演奏以外で楽しむ方法がなかったわけですから、好きな時に宇多田ヒカルが聴けなかったと思うと想像を絶する生活です。

【音楽メディアの歴史〜カセット〜】

それからなんと約80年もの間、レコードが音楽メディアのトップとして君臨し続けます。その牙城を崩したのが、我々が激推しする『カセットテープ』です。

カセットは、ドイツが第二次世界大戦時に録音機器として実用化したことが原型となっており、その後アメリカのRCA社を筆頭に一般向けの商品が大量に開発されました。しかし、各メーカーの規格が揃っておらず、当初はなかなか普及しませんでした。

そんな中、頭ひとつ抜け出したのが、1964年に『コンパクトカセット』を発表したオランダのフィリップ社です。

フィリップ社はなんと、規格を変えないことを条件に自社の技術を各国のメーカーに無償で提供したのです。

そのおかげで、世界中に同一規格のカセットが普及していき、カセットの販売数はレコードを追い抜いていきます。

更に、この状況に拍車を掛けたのが『ウォークマン』の誕生です。カセットはレコードに比べて軽量且つ頑丈なため、持ち運びが可能な音楽メディアとして、ライフスタイルにまで影響を与えたのです。

【音楽メディアの歴史〜CD〜】

しかし、世界の音楽メディアが全盛期を迎えるのはカセットの時代ではありませんでした。全盛期の担い手となったのは、1982年に誕生したコンパクトディスク。

そう『CD』です。CDの誕生から5年後の1987年にはレコードの販売数を、10年後の1992年にはカセットの販売数を追い抜き、事実上世界最強の音楽メディアとして時代を書き換えていきます。

その特徴はなんといっても圧倒的な音質。CDはレーザー光線を読み取って再生するため、レコードやカセットのようにソフトが経年劣化するという概念がなく、常にクリアな音源を聴くことができる、まさしく音楽メディアの革命児でした。

もちろん、CDの企画に合わせたウォークマンも開発され、カセットの上位互換として世間に浸透していったわけです。また、このCDの技術をベースに『MD』や『CD-R』といった録音媒体も誕生し、音質を保ったままオリジナルトラックを作ることもできたため、向かうところ敵なしの無双状態へと突入していきました。

日本史でいう信長、三国志でいう呂布のような存在だと私は妄想しております。

【音楽メディアの歴史〜MP3〜】

このCD天下布武状態に終止符を打ったのが、異国からの侵略者こと『MP3』です。

私はちょうどこの転換期を目の当たりにしておりますので、当時の衝撃を鮮明に覚えています。今でこそストーリーミングだのサブスクだのが当たり前になりましたが、それまでの常識は『音楽メディアとは形あるもの』だったわけです。レコード然り、カセット然り、CD然り、ソフトとしての実態があったのです。

しかし、皆さんご存知の通りMP3はデータなので実態がありません。

つまり、埃が隙間に入って掃除が大変なCDラックも、5枚同時に挿入できるCDチェンジャー付きコンポも、旅行に行く時に念の為とかいってCDを20枚くらいカバンに入れる手間も、全部いらないのです。

ブラボーなのです。

そもそもMP3とは、1995年に開発された音響データを圧縮する技術のことで、音響メディアを『データ』として一般化した、当時からするとちょっと異次元の技術です。

刀を振りかざして戦いを挑んでくる信長や呂布に対して、かめはめ波を打ち込むようなもんです。

パニックです。

このパニック状態の中、2001年にアップルが iTune を開設し、専用ハードとして iPod を投下します。CD世代の録音機器は74分が上限だったため、大体1枚のソフトで15曲前後音楽を収録することができたのですが、iPodはなんと1,000曲収録可能。

しかもデータをダウンロードするためソフトはいらないという。私は今までと常識が違いすぎて意味が分かりませんでした。意味が分からないですが、第六感が絶対強キャラであることだけは感じ取っていました。

ストツーの豪鬼みたいな、はたまたKOFのオロチみたいな?

反則技たくさん使えるみたいな?

iPodシャッフルがチロルチョコに見えるみたいな?

その後、時代はダウンロードからストリーミングへと移行し、規格もMP3からより大容量の規格へと変化をして現在に至ります。

【音楽メディアの歴史〜まとめ〜】

と、ここまで音楽メディアの歴史について長々と語ってまいりました。

音楽を録音しメディアとしての価値を生み出した『レコード誕生期』、メディアを持ち運ぶという新たなライフスタイルを作った『カセット躍進期』、全ての品質を向上しメディアとしての価値を高めた『CD無双期』、メディアを無形化しストリーミングという未開の地を切り開いた『MP3侵略期』、音楽メディアの歴史にも様々なドラマが詰まっていたことがお分かり頂けたと思います。

このような背景を理解した上で、いよいよ我々が提唱する『カセットテープ最強説』に話題を進めていきたいと思います。

まず、前提として申し上げておきますと、音質や利便性といった部分で皆様にカセットテープをオススメしたいわけではございません。現代の音楽メディアと比較すると、フリーザとクリリンくらいの実力差があることは我々も十分理解しております。

それでもカセットを支持する理由。それは、カセットテープという音楽メディアの生き様と、アナログとしての魅力が詰まっているからです。

【カセット最強説①ソニーの貢献度がエグい】

カセット最強説その①、ソニーの貢献度がエグい!先ほどカセットテープの歴史で、「コンパクトカセットを開発したフィリップ社が、規格を変えないことを条件に自社の技術を各国のメーカーに無償で提供した。」と説明しましたが、実はその背景には、日本を代表する電子機器メーカー『ソニー』が大きく関わっていたのです。

それは、フィリップ社がコンパクトカセットを発表する少し前、カセットテープの統一規格主導権争いは世界規模で激化しておりました。ソニーも電子機器メーカーとして、カセットテープの開発に勤しんでいたのですが、加えてハードとなる『レコーダー』の開発にも力を入れていました。

そんな中でフィリップ社がソニーに業務提携を持ちかけてきたのです。

要は『ソフトはフィリップ社のコンパクトカセット、ハードはそれに合うソニーのレコーダー、ってことで世界の統一規格作りませんか?』という提案です。

ソニーは悩んだ末、フィリップ社のコンパクトディスクに合うハードの開発を受諾するのですが、この時フィリップ社が提示してきた条件が『特許使用料として1個につき25円』というものでした。今の価値に直すと250円ほどと、決して安くない金額ですし、特許はフィリップ社にあるのでソニーは条件を飲むしかない状況なのですが、なんとソニーはそれを拒否します。

そしてあろうことか「無料にしないなら他社と契約する」と言い放ったそうです。

こんな強気な交渉…。普通は交渉決裂となるところですが、なんとフィリップ社はその要求を受諾。つまり、特許使用料を0円にしたのです。

それだけ、ソニーのハードを作る技術力を逃したくなかったということなのでしょう。しかも、契約上1社だけ特別待遇はできないということで、全世界の企業に例外なく特許使用料0円で技術を提供したというわけです。

これ、ソニーいなかったらカセット普及してなくない?って話なんです。別に右寄りとかそういうことじゃなく、純粋に日本人として誇らしいということが、我々のカセットに対する魅力を掻き立てているわけです。

【カセットテープ最強説②一周回ってカッコイイ】

カセット最強説その②、一周回ってカッコイイ!もうこれに関しては歴史的背景とかそういうのないです。

ヴィンテージカーに乗ってハット被ってるイケオジのあれと同じです。角ばった頼もしいフォルム、耳心地の良いノイズ、チロルチョコの20倍くらいあるレコーダー。ストーリーミングがレーザー銃なら、カセットはワルサーPPKって感じです。弾切れするあの不便さがむしろ良い。なんならマガジンを変える瞬間が一番の萌えポイント。

現に、ビリーアイリッシュやテイラースイフトといった海外のトップアーティストも、カセットで音源を発表するなど、この萌えポイントに共感してくれています。

また、2014年公開のマーベル映画『ガーディアンズオブギャラクシー』では、主人公が様々なアーティストのヒット曲を収録したオリジナルカセットを、親の肩身として大切に聴いていたり、2017年配信のネットフリックスオリジナルドラマ『13の理由』では、7本のカセットに録音された少女のエピソードをヒントに、物語の真相を究明してたりと、重要な場面でのアイテムとして登場してきます。

なぜカセットなのか?時代背景などの設定はあれど、音声データに変換しててもいい訳ですし、実態が欲しいならMDでも良かったはずです。だけど、なぜか、カセット。

これは、例えば夕日を見て綺麗だと感じたり、木を見て温もりを感じる感覚と同じではないかと私は思います。

音質や利便性を超越した、存在そのものに価値がある、肩身に込められた親の願いや、真相を突き詰める執念を表現するには、CDやMP3では役者が務まらない。ダニエルボンドもいいのですが、やっぱりショーンコネリーなんです。ロシアより愛を込めてのグラントとの戦闘シーンなんか、歴代007シリーズでも未だにベストバウトだと思ってるわけで、あの緊張感はやっぱりショーンコネリーじゃないと演出できなかったと思うわけで。

そういう、現代の人類に刻み込まれた欲求レベルでの魅力。

それが、最も詰まっていおるメディアがカセットテープだと思っているわけです。

【まとめ】

ということで、今回は『カセットテープ最強説』と題し、音響メディアの歴史と我々の私見を述べさせて頂きました。2つ目の理由に関しては只の偏愛ぶりを語っているだけになってしまいましたが、私が小学生の頃は、担任の先生がラジカセを持ってきて、クラスの合唱を録音したりしたものです。

当時は音源をデータ化したり共有したりする技術はなかったので、皆でラジカセに耳を近づけて録音した自分たちの歌声を聞いていたのを覚えています。カセットに触れたことがある世代は、そういった思い出によって美化されている部分もあると思いますが、こういった不便さがあったからこそ「テープあと1回分しか残ってないよ!」とか「このテープはこのクラスの宝物ね!」という会話が生まれ、チームの結束や仲間の思いやりなども同時に育まれていったような気がします。

そういうアナログ時代に眠っていた魅力も含め、ソニーの男気とイケオジの魅力が詰まったカセットテープに興味を持っていただければ幸いです。

当チャンネルでは「大人として知らないと恥ずかしいこと」や「それ知ってたら人生もっと楽しめる」という経験をベースとした一般常識や社会情勢をご紹介していこうと思います。

また、メンバー5人とはいえ、イケオジになり損ねたアラサーが無い知恵を絞って調査を行なっているため、記事のクォリティーも去ることながら、知識の面で不足や間違いがある恐れもございます。そのため、大変図々しいお願いではありますが、コメント欄にて皆様の叡智をお借りしウィキペディアのように知識の補完をしていければ幸いかと思っおりますので、我々と共に学びを深めていくというスタンスでご感想やご意見お待ちしております。

週に1回くらいのペースで記事の投稿していければと思っておりますので、また来週お会いしましょう。

最後までご視聴ありがとうございました。

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