与えることから始める社会変革

「After you.」

その日本語訳は「お先にどうぞ」。「(私は)あなたの後(でいいわ)」という表現でしょうか。例えば、エレベーターを降りるときにOPENのボタンを押しながらレディーファーストで「After you!」。とても素敵な言葉です。

イギリス紳士などとも言いますが、そういう英語圏では譲り合いの精神が言葉から根付いているのでしょうか。

先日地元で有名な定食屋にひとりでランチを食べに行きました。お昼時になると毎日長蛇の列ができるほどの名店です。
その日はちょっと遅めに13時ぐらいを狙って行ったのですが、入口外まで並んでいました。どうしてもそこの味噌カツが食べたい気分だったので待っているとちょうどカウンターの一席が空き、前に並んでいたお客がすべてグループだったため「お一人のお客様をお先に通してよろしいでしょうか?」と案内してくれました。

運良く僕が一番最初の1名客だったようで、そこまで待たずしてすんなり入ることができました。並んでいる皆さんに申し訳なさそうにカウンターに座りいつものメニューを注文。その後もカウンターの(特に1名の)客は回転率が高く、右に男女のペア、左に中年男性の順で座ってきました。
みんなこぞって人気メニューの味噌カツ定食を注文。

そして待つこと10分ほど。ひとつの味噌カツ定食がカウンターに運ばれてきました。ただ老舗の定食屋でよくあることで注文は紙ベースで取り言葉でやりとりのため、「あー最初のお客さんどちら様でしたっけ!?」と。

それ私なのですが、本を読んでいたため反応が少し遅れると、左に座った中年男性が「あ、こっち」とその最初の定食を持っていきました。

いつもなら少しカチンと来るでしょうが、その時は機嫌も良かったか、読書もいいところだったし、長く並んでいる人をごぼう抜きして入れていただいたため少し待つぐらいなんてことなかったので、何も言わずそのままスルーして差し上げました。

すると、右に座った男女ペアの女性が(意地悪そうに笑)「えーこっちの人(僕のこと)の方が先だったのにー何で言わないのー」って。

うんうん。その通り。僕を守ってくれたんですよね。
って本来なら嬉しいはずが、そんなこんなの理由で見送っていたこちらからすると正直“余計なお世話”です。苦笑

先に食べたい人も、本読んでる僕も、待っているお客さんも、みんなが少しでもハッピーになればいいなと思って行ったはずの選択が、、なんだかみんな嫌ーな気分に。“誰得”状態でした。

でも、それこそ贈り合いのギフトエコノミーだって感じたんです。

僕が先に譲ることで早く食べたかったその人が気分良く次に誰かのために何かを贈る循環ができたら。それはペイフォワードってやつです。

そんな考え方でみんながいたら平和だし幸せなのにね。なんてたわいもないことを感じた定食屋での事件でした。

あ、味噌カツは相変わらず美味しゅうございました!

与え合いの恩贈りで巡る世の中になったらいいな。 だれでも好きなこと、ちょっと得意な自分にできることで、だれかのためになれて、それが仕事にもできたら、そんな素敵なことはないですね。 ぼくの活動が少しでも、あなたの人生のエネルギーになれましたらうれしいです。