秋葉原

秋葉原という街は私が生きていた中で随分と変化していった街だ。電気街であることには変わらないのだが、中央線文化で育った人間にとっては途中からオタク文化という歴史の深みを感じない欲望を2次元化したと感じる文化が入ってきて、時間を重ねるごとにそれすらも歴史の深みになっていった気がする。

最初は今も残っているが、LSIが生まれる前のコンデンサーやハンダゴテのラジオ部品の小さな店が並ぶ電気街だった。ヨドバシカメラやビッグカメラが今は進出してきているが、当時の家電量販店はオノデンとラオックスだった。ヨドバシカメラなど新宿の家電量販店との違いは、定価が定価ではなく、そこから値段交渉が必要で、買い物をするにもいかに値段を下げさせるかという交渉力が必要だった。だから、当初はコミュ障のオタク文化が入ってくる余地は無かった。浅草のような下町文化も感じられた。

それが変わったのは95年にWINDOWS95が発売され、パソコンがDOS/Vの時代に入ってからだ。秋葉原の小さな店はDOS/Vの部品を扱うようになった。それまでのパソコンは純正一社製でラオックスなどで売られていた。LSIも日本製だったが、DOS/Vという規格化がされたことで、円高で高い日本のLSIよりも日本以外のアジア製品が並ぶようになった。日本はそれまで品質で勝負していたが、単価の安いアジア製品もそれに負けないようになり、価格競争に負け、日本のLSIは衰退していった。

安い部品屋の中には事件を起こしたばかりのオウム系の店もあった。95年よりも前はオタクとアニメも迫害されていたので、近寄りがたい雰囲気にそういう人も集まってきた。私もパソコンはDOS/Vの組み立てパソコンだったため、仕方なく行ったのだが、息がつまりそうな雰囲気に耐えられず、必要なものを買ったら長居はしなかった。

今は各時代の雰囲気も残しつつ、外国人が多い観光地にもなっている。行ったことないからよくわからないが、メイドカフェもガールズバー化した店も多い。ヨドバシカメラが来たからかわからないが、新宿っぽい雰囲気もある。昔は東京なら、ゲームセンターが各駅ごとに数件あったのだが、コロナもあったからなのか全滅していき、その分、秋葉原にはレトロゲームもある店が集中している。


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