スカムカルチャーの子どもたち

かつて、動機のわからない猟奇的な犯罪をアメリカ型犯罪と呼んでいた。チャールズ・マンソンの事件など、60年代から70年代にかけてそういう犯罪がアメリカに多かったのだ。しかし、日本でも80年代から90年代にかけてそういう犯罪が目立ち始めた。

それ以前は、犯罪件数は多かったものの、動機は主に経済的な理由でわかりやすかった。ただ、食うに困らなくなった時代では、思いも寄らない個人的な欲望を満たす動機の犯罪が起きる。70年代には経済的に問題が無くなってきた日本では80年代から90年代にそういう犯罪が起きる。アメリカでは50年代が古き良きアメリカであり、60年代から70年代にそういう犯罪が起きた。アメリカはまた、ベトナム戦争を経験しているのでその影響も含まれるが、国、人種問わず、どこでも経済的な問題が解決した社会では起こりうる犯罪になる。

90年代のスカムカルチャーや悪趣味文化は、今では叩かれるようになったが、そういう犯罪の動機を見える化したという面もある。そういう文化があるからそういう犯罪が起きたのではなく、隠れた欲望が表出し犯罪化する現状があって、それをどう文化の中で咀嚼していくかという危機感があった。

そういう世代の子どもたちが家出をせざる得ない状態を生み出している。終戦直後の身寄りのない子どもたちもガード下につどったように、歪んだ核家族で育った子どもたちが大都市繁華街に集まっている。

Z世代がわかりづらいとよく言われるが、団塊ジュニア世代はよくわかっていたはずだ。忘れているだけだ。


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