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猫ハリ治療録A「おしっこが止まらない子猫」

2020年5月末頃と思うが、知人の家で一時的に保護した茶色の子猫兄弟のうちの1匹が尿が止まらないのか、股の間が濡れているので、ちょっと見てほしいという依頼がありました。

私は人間の鍼灸免許持ちなので、獣医の資格はありません。そのため、私の友人やその家族の猫で、獣医にすでに受診済みの場合のみ、針治療を頼まれればできる限りのことをするようにしています。無償です。

まず当日の写真。

おちんちんの周りから、両脚まで尿が垂れており、脚の毛が濡れて写っています。尿臭がただよい、なかなかな状況です。


子猫には、たいてい刺さない針『テイ針(しん)』を使うことが多いのですが、今回は、セイリン鍼灸針の02番(0.12mm)を使用しました。しっかり刺激した方が良くなるような気がしたからです。といっても、刺す深さは1ミリ程度で、皮を切ってハリがぶら下がる程度です。

次の写真が次の日の治療の写真ですが、実際のところ、1回針をしただけでおしっこの漏れはほぼ止まりました。緑色のプラスチックが右側の太もものあたりにぶら下がっているのが見えるかと思いますが、尻尾に近い背骨の際(この時は尻尾の付け根から1センチ程度だったか)の左右に針をしています。5分から10分の間針を入れたままにしておきました。猫は基本的に痛がりません。刺さる時ちょっとチクっとすると、嫌がることがあるので、気を付けて打ちます。

次の日、脚の毛がほぼ乾いていました。まだタマタマの周りに少し濡れた毛が見えます。もう少し治療が必要です。


この後、おしっこがしっかり止まるまで、1、2日おきくらいで治療を続けました。針の本数は変わりないですが、日によって腰のどこに打つかは触って決めました。

気持ち良いのか、ゆったり横になっています。実際、猫は針が効いていると気持ちいいようです。
本当は悪いところがなければ、針を気持ちよがらないのです。元気な子猫は、針をするとむずがって逃げるのが普通。このように静かに受けるうちは、まだ針治療が必要な体ということなのです。
拡大です。深く刺しませんが、独立できる程度の深さです。皮を切るくらいでこんな感じです。それくらいで効くのです。


全部で何回治療したか記憶にないのですが、多分1、2週間の間に、治療が必要なくなって、針はもういらないよ!とむずがり、静かに治療を受けなくなったので、その頃もうやめました。その頃のお股の様子です。

すっかり乾いています。もうおしっこのニオイもしません。

この後、おしっこの世話も要らなくなって、無事に里子に出されました。
やはり、下の問題があると、一緒に暮らすのは大変苦労します。このような簡単な治療で改善されるのですから、針治療は猫にもよく効くなあ、と我ながら感心したことでした。

2024年8月現在、治療録作成にあたり飼い主さんにご連絡したところ、元気な写真をいただきました。

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