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鉄鋼関連銘柄

◆テーマ全体感

鉄鋼関連銘柄とは

「鉄鋼」はその名の通り鉄などの金属から作る合金材料を指し、これを製造、販売する銘柄をまとめて鉄鋼関連銘柄としています。
原料となる鉄鉱石や原料炭、鉄スクラップなどを仕入れる→高炉、電炉と呼ばれる炉で精製する→鉄鋼材料として機械、自動車、船舶、プラントなどのメーカーに販売する、というのが鉄鋼材料製造の主な流れです。

今回のテーマ

なぜ鉄鋼関連銘柄がテーマになっているのか調べてみました。結論、テーマとして認識されている理由には大きく2つあるようです。

①中国経済の回復による業界の追い風
鉄鋼材はあくまで「材料」であり、その先の自動車メーカーや船舶メーカーなどの製造が盛んになれば鉄鋼材料の需要が増え、鉄鋼関連銘柄の業績向上につながります。
そんな鉄鋼材は世界の需要の半分は中国が占めていると言われるほど、中国景気に左右されます。直近で中国はゼロコロナ政策を転換し、経済回復の方針を積極的にしています。このことから鉄鋼関連銘柄の業績が向上することが見込まれています。

②バリュー株見直しの風潮
直近は日銀の利上げ政策への転換懸念など、株式市場全体が先行き不透明な状況に陥っています。慣例的に利上げに応じて市場全体はバリュー株に資金が流れやすいと言われています(一方ハイテクやグロースなどPERが高いものは売られがちです)。鉄鋼関連銘柄は比較的地味であり注目を集めにくく、低PER・PBRで放置されている銘柄がゴロゴロあります。よってこの株式市場全体の流れからも割安な鉄鋼関連銘柄が見られやすくなっています。
また、鉄鋼関連銘柄は歴史の長い銘柄が多く、配当利回りもかなり高い水準になっている点も大きいです。

関連指標

鉄鋼材の在庫推移や生産量推移は経済産業省統計や鉄鋼新聞等のサイトで確認できるため、数字を追っても良いかもしれません。

一方で今回のテーマは業績連動の側面もありますが、そもそものPER水準の見直し、バリュー株投資という面も大きいです。よって業績は上がっていてもテーマ相場としては終わりを迎える可能性は十分あると思います。

直近のイベント

テーマ全体に影響するイベントはありませんが、国内鉄鋼関連銘柄の時価総額トップの5401日本製鉄の決算は業界全体のトレンドを左右するので要注目です。

◆関連銘柄

関連銘柄リスト

鉄鋼関連銘柄は多数存在します。全体的にPERが低く配当利回りも高めになっています。

◆注目銘柄紹介

5401日本製鉄

  • 鉄鋼銘柄代表格で今回のテーマの主役。時価総額は既に巨大だがPERは平均より低く、ROEはかなり高い

  • 高品質、高級な鋼板に強みを持ち、中国で量産されるコストの安い鉄鋼材料とは差別化になる

  • 少し前の船舶ブームと今回の鉄鋼ブームが類似しているがその際の船舶ブームの牽引役も日本郵船、商船三井、川崎汽船のトップ3銘柄であったため、今回も日本製鉄がブームを牽引するかも

5471大同特殊鋼

  • 自動車が中心で減産の影響あるものの、今期の好業績が維持されている

  • 航空機などの生産が活発化しているため、ここにも拡大していければなお伸びしろ余地あり

  • 特殊鋼自体は売上あるものの利益小さく、機能性材料、磁性材料セグメントが利益貢献大きい点は注意

5423東京製鐵

  • 鉄鋼銘柄の中で比較的高い売上CAGR(平均成長率)とEPS CAGRを誇る

  • 主力は建材向けのため、需要環境変動は要確認

  • 車載向け電炉鋼材がトヨタに採用されるなど勢いある


◆最後に

鉄鋼ブームに関しては少し息の長くなるテーマかもしれません。船舶ブームの時のように牽引役の銘柄が好業績、増配などあればさらにブームは続くでしょう。
特に配当権利落日などは波乱がありそうですが、長期で持つ場合は良い選択肢になりそうだと思います。

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