「愛は勝つ」以外知らない私が、つい最近、KANの音楽を好きになった話
新年が明けた! と思ったら、もう5月も半ば。
無情に過ぎていく時間に恐怖を感じるのは、自分の人生にも終わりがあるのだ、と実感する年齢になったからでしょうか。
「愚か者よ。人生最大のムダは悩むことじゃ。元気になる音楽を聴いて、年齢という恐怖を吹き飛ばすのが一番じゃ」心の声が私をいさめます。
元気になる音楽? Mrs. GREEN APPLEとか、緑黄色社会とか?
若者の音楽もイイけれど「ムリしてる感」があるしなぁ、と自問自答していたら……見つけました。年齢や悩みを吹き飛ばすのに、ぴったりの音楽を!
J-POPを代表するアーティスト、KANの最後のアルバム「23歳」です。
どのように元気になるか、と言うと……
もしかしたら、あなたにも楽しい変化が起こるかもしれない、おすすめのアルバムです。
しかし「おすすめされても「愛は勝つ」以外、KANの曲は知らない」という方も多いかと。私もそのひとりでした。
ここから先は、私が「23歳」を聴いたきっかけと、KANのプロフィールと魅力を綴ってみました。お時間のある方は、よければ一緒に。
私が「23歳」を聴いたきっかけは、昨年末届いた友人からのメールでした。
心やさしい彼女が、国民的応援ソングを作ったKANのファンというのは納得。文面からは、急逝したKANへの思いが伝わってきます。
でも、KANの歌は「愛は勝つ」以外聴いたことないしなぁ……とためらいつつ、メールに添付されていた「よければ一緒に」を聴いてみることに。
「寄り添い系ソング」とでもいえばいいのでしょうか。
シンプルな歌詞と、やさしいメロディは、昨今の若者の歌を聴きとることができない中高年でもすぐに歌えそう。
歌いやすさも、全世代に寄り添っています。
さりげなくも思いやりあふれる歌詞は、KANの人柄そのものなのでしょう。
じわじわとKANに興味がわいてきました。他の歌も聴いてみたい。
若い頃のアルバムよりも、自分の年齢に近いアルバムの方が、共感できそうです。
KAN58歳、亡くなる3年前の最後のアルバム「23歳」を聴いてみることに。
「ビートルズ? それとも懐かしのグループサウンズ?」
1曲目の「る~る~る~」は、初めて聴くのに、妙に懐かしい音楽です。
2曲目以降も、1980年代に流行ったAOR(大人向けの都会的なロック)や、カントリー調やフォーク調、ボン・ジョヴィを思わせるハードロックに、テクノポップ、スイング・ジャズ、ディスコミュージックに、しっとりバラード……10曲入りのアルバムは、どの曲も、聴いたことがあるような、耳馴染み良く心地いい音楽。
しかし、J-POPのKANとハード・ロックのボン・ジョヴィとは、意外な組み合わせ。洋楽っぽいグルーブを感じる曲があるのも予想外でした。
J-POPに興味が薄く、どちらかと言えば洋楽派の私は、曲が終わるごとに、親近感が増してきます。
KANがどんな人で、どんな音楽を聴いてきたのか知りたくなり、プロフィールを、本やネットで調べてみることに。
KANの音楽のルーツは、1960年代~1990年代の洋楽だったのですね。
ファンのみなさんには周知のことでしょうが、私のようにKAN=J-POP≠洋楽と固定観念をもった人間からは「目からウロコ」なのでした。
でも、考えてみれば当然のこと。KANは私より5歳年上で、ほぼ同世代。
私たちの幼少期から青春期は、インターネットで世界が繋がっている今とは異なり、世界は広くて遠く、外国のモノや文化は、憧れの対象でした。
音楽も、邦楽より洋楽の方が断然カッコいいと思っていた若者も多かった。
田舎の女子中学生だった私も、ラジカセから流れる、歌詞もわからない洋楽を聴きつつ、広い世界に思いを馳せ、いつかは外国へ、と夢見ていました。
KANも同じように夢見ていたのでしょう。憧れのアーティストのような曲を作って、ロックミュージシャンになりたいという、若き頃の気持ちが現われている歌詞がありました。
「愛は勝つ」は、ビリー・ジョエルの「Uptown Girl」みたいな曲が作りたくて、作った曲とか。尊敬しているアーティストの音楽を、独自の感性でアレンジして、自分の音楽を生み出したKAN。
影響を受けた音楽がいっぱいに詰まった彼の音楽の泉は、いくつになっても、枯渇することなく、素晴らしい曲を作り続けていたのです。
KANの魅力は曲作り、だけではありません。
「愛と恋心とユニークさがいっぱいの、心にすーっと入る歌詞」は、聴く人の心を元気に、かつ愛でいっぱいにしてくれます。
恋する少年の如く、永遠の思春期のおじさんの歌は、思わずツッコミを入れたくなったり、クスッと笑ってしまったり。
一方では、客観的に俯瞰しつつ、自分の思いを肯定も否定もしない、ストレートな思いがこもった歌詞は、心に響きます。
自分の体験や思いを、誰もが共感できるやさしい言葉で表現した歌詞は、多くの人々の心を掴み、KANを人生の先輩・師とする熱烈なファンが、数多く存在することを知りました。また、後のJ-POPアーティストたちへも、多大な影響を与えています。
そして知られざる魅力は、ファンの心を鷲掴みにする「ファンも自分も楽しむ」エンターテイナーとしての才能。
音楽作りと同様、自分の理想を追求し、決して妥協せず、納得いくまでステージを作り上げ、共演アーティストにもコスプレやコントをやんわり強要。
私と同じく、亡くなった後にKANを知ってファンになる人も多いでしょう。急逝されたことが、とてもとても残念ですが、友人のメールのおかげで、KANの音楽を知ることができて感謝、です。
KANの音楽を時々、聴いたり、口ずさんだりして、くよくよ悩まずに、人生を楽しんで行こう、と思うのでした。
そのうち、友人親子と「よければ一緒に」をいっしょに歌ってみよう。
「よければ一緒に、その方が楽しい」ですよね!
♬ ♬ ♬
最後まで、おつきあいいただき、ありがとうございました。
また、お会いしましょう。やんそんさんでした。
♬ おまけ:アルバム「23歳」の私的ライナーノーツ
♬KAN自身が、アルバム「23歳」について語っているインタビュー記事。
♬参考書籍
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