船釣り体験をしました!
ヤッチャの学校という夏休みの期間に宮崎県の日南市という地方で暮らして地方でのつながりを体験するプログラムに三期生として私は今参加しています。
天気は快晴、両手を広げても収まらないほどに大きなクーラーボックスを持ち私たちは港に向かいました。
初めての海釣り体験ということもあり気持ちも自信も十二分に高まって、気分は既にサイコッチョーでした。
いざ乗船。
船酔いをしてしまうのではないかという一抹の不安はありましたが、酔い止めを飲んでいたことが功を奏し全く酔う気配はなく気持ちを全て釣りに向けることができました。
私たちが今回体験したのは釣り糸の先にルアーと錘がついているリール付きの竿を使って底まで針が降りたら10メートルほど巻き上げてまた底まで針を下ろすという作業を魚が食いつくまで続けるという釣り方でした。
船長が「こーやってやるんだよー。」と実演してくれたのですが、針を下ろして10秒でアジがかかっていたので「めちゃくちゃ簡単じゃねぇか。」と思って乗船15分で既に今日の大勝利を確信していました。
いざ実践。
今回の釣りは私を含めて3人で行ったのですが、全員初めての海釣りということで釣竿を持って大自然と対峙していることに対して皆んな目をキラキラさせていました。
待つこと五分、早速連れの一人がアタリを感じてリールを巻き始めました。
巻き続けていくと海の中からキラキラしたモノが見えてきました。
開始早々彼女はアジを釣り上げたのです!
しかも2匹も!
幸先いいことこの上ない!
その後釣りのポイントを変えてまた始めるともう一人の連れがしれっと1匹釣り上げていたのです!
いやいつかかった魚なんだよ!
しかしこれでまだ魚を釣り上げられていないのは私だけになりました。
これでステージは整った。
まだ1匹も釣り上げられていない私が立派な真鯛を釣り上げてヒーローになっている姿が想像できました。
イメトレもバッチリです!
「ようし、ビッグな真鯛を釣り上げるぞ!!!」
4時間後、私は未だ1匹も釣り上げることができていません。
それどころかアタリすらもほとんどなく連れに至っては私が釣り上げたかった真鯛を釣り上げているではありませんか。
「やばいやばい、このままでは見せ場がないまま終わってしまう。どうにかせねばツラが持たないぞ。」
私は必死で針を上げ下げしていました。
1匹も釣り上げられないと今日の敗北を認めようとしたまさにその瞬間、竿が震えたのです!
「間違いない、これは真鯛だ!」
真鯛がかかった時の震え方を教えてもらっていたので、私は瞬間に確信しました。
そして今日の逆転勝利劇もすぐに確信しました。
「最後に笑うのはやっぱりおれだぁぁぁ!!!」
帰路につく男の表情は真鯛よりも感情のないものだった。
あの後私はすぐに逃げられてしまい、結局1匹も釣り上げることはできなかったのだ。
両手を広げても収まらないほどに大きなクーラーボックスには私以外が釣り上げた魚でいっぱいになっていた。
最後に笑っていたのは私ではなく1匹も釣り上げることのできなかった私を見た連れたちだった。
私は何も成し遂げることはできなかったのか?
否、私は確かに自力で魚は手に入れられなかったが他の人の笑顔も結局たくさんの魚も手に入れることができたではないか。
手に入れられなくとも手に入れるものが多かった1日に「ありがとう」と私は伝えたい。
そう言いながら男は人知れず袖を濡らすのであった。
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