「マインドセット」やればできるの研究

1. 緒言

 本書は、あの世界的に有名なMicrosoftの『ビル・ゲイツ氏』も絶賛している一冊だ。彼は、「自分の能力をもっと高めたいと思っているビジネスパーソンにも、チャレンジ精神あふれる子供に育てたいと思っている親にもうってつけの本だ」と本書の帯に述べている。この本は非常に読みやすいうえに、非常に勉強になるのでぜひ読んで頂きたい。
 「マインドセット」この言葉を聞いたこととないのとでは普段から自己研鑽を行っているかどうかがわかってしまうと私は思う。その為、「マインドセット」という言葉は教養として知っておいた方が良いだろう。
 このマインドセットについて理解すれば相当な成長をすることが出来ると考えている。本書では、「硬直マインドセット(=fixed mindset)」「しなやかマインドセット(=growth mindset)」の2つが登場する。多くの人が硬直マインドセットであるが、しなやかマインドセットの考え方を知って、共に成長しよう!

2. 【第1章 マインドセットでここまで違う】

 先ず、硬直マインドセットとしなやかマインドセットのそれぞれの一般的な考え方を紹介しよう。
「硬直マインドセット」:自分が他人からどう評価されるかを気にする。
「しなやかマインドセット」:自分を向上させることに関心を向ける。

 次に、イメージしやすいように具体的な例を挙げて説明していこう。硬直マインドセットの人は、弱点をさらすことが嫌いである。例えば、【仕事で死敗ばかりで自分はもうダメだ】と考えたり、何をしても成長できないと【自分の可能性を無意識に自ら放棄】してしまう。一方で、しなやかマインドセットの人は、失敗してもそこから何が原因で失敗したかを分析し、次回以降同じ過ちを犯さないように自己成長につなげることができる。つまり、硬直マインドセットの人は、【短期的な成功】ばかりを求めてしまう。それに対し、しなやかマインドセットの人は、【成功(潜在能力の開花=成長)には時間がかかる】ことをわかっているところが異なる点である。
 硬直マインドセットの人が「成長」よりも「成功」を求めてしまうのは、【自分が特別であることを証明したい】からである。アブラハム・マズローの【人間の基本的欲求】を皆さんはご存じだろうか?知らない方の為に紹介しておこう。
Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E7%90%86%E8%AB%96
 ピラミッド型で考えられており、頂上に行くほど高次の欲求となる。上層から、
① 自己実現の欲求 (Self-actualization)
② 承認(尊重)の欲求(Esteem)
③ 社会的欲求/所属と愛の欲求(Social needs / Love and belonging)
④ 安全の欲求(Safety needs)
⑤ 生理的欲求(Physiological needs)

ここから、自己実現の欲求というのは人間の基本的欲求の最上位に位置していることがわかる。
 成長の為には結局何が必要か、それは『失敗を周りの人や環境のせいにせず、失敗を認めること』が必要である。伝説的なバスケットボールコーチの『ジョン・ウドゥン氏』がこれを述べている。

3. 【第2章 能力と実績のウソホント】

 とある中学生たちを対象に「硬直」「しなやか」の判定を下した生徒たちの学習能力を調査したところ、硬直と判断された生徒たちの能力は2年間で着実にゆっくりと低下し続けたのに対し、しなやかと判定された生徒たちの成績は2年間にわたってずっと上がっていったそうだ。
 更には、しなやかは自ら努力をするのに対し、「硬直は努力することが恥ずかしい」「頑張らないとついていけないことが恥ずかしい」という思考を持っている。
 「頭が良い」と能力を褒められたグループ(以下、能力グループ)と「頑張ったね」と努力を誉められたグループ(以下、努力グループ)では、褒め方でも能力に差が出たという研究がある。能力グループでは硬直マインドセットの行動を示すようになり、努力グループではしなやかマインドセットになっていった。その為、子供の能力や学力を伸ばしたいと考えている方は、子供の能力を褒めるのではなく、努力(過程)を褒めてあげよう。

4. 【第3章 スポーツ-チャンピオンのマインドセット】

 スポーツこそ素質だと言われることは多々あるだろう。しかし、マインドセットを用いることでスポーツでも成長していくことができる。
 『マネー・ボール』という作品をご存じだろうか。私はDVDをレンタルして観たことがある。メジャーリーグのオークランド・アスレチックスは2002年にシーズン103勝をあげてリーグ西地区優勝を果たした。そこには、『ビリー・ビーン』という監督がマインドセットを用いたことで、野球界で最下位から2番目の品だ球団が成功を果たしたという記録ある。
 ビリー・ビーンは典型的な天才スポーツマンで、高校生の時にバスケでは得点王に輝き、アメフトではクォーターバックを務め、高校野球リーグでは打率5割を記録するなど素質は素晴らしいものであった。しかし、野球界に入ると今までの輝かしい姿は影を潜め、思い通りにならないことがあれば物に八つ当たりをするなど硬直マインドセットであった。
 そのまま活躍することなく、彼の野球選手としての幕は閉じてしまう。その後、メジャーの球団幹部になったビーンは過去の失敗と、かつて隣同士のポジションを守っていた『レニー・ダイクストラ』からマインドセットの重要性を学び、スター選手を集めるよりも、打者が順々に自分の役割を果たしながら、次へとつなげていくやり方を徹底させる方がはるかに有効であることを見出し、それをアスレチックスの監督になった時に実行した。
 バスケの神様『マイケル・ジョーダン』もまたマインドセットを活用して、世界に名を轟かせた。彼は、高校時代はバスケの代表メンバーに選ばれず、NBAのドラフト指名権2位までのチームからの指名もなかった。その悔しさをバネに、彼は高校時代は毎朝6時前に始業前まで早朝トレーニングに励み、大学時代は弱点の克服に絶えず努めた。そして、その努力が実を結び、世界最強プレーヤーとして活躍する。
 彼の強みは天性の才能に加え、それに驕ることなく常に自分を成長させ続けた努力であり、その努力はそれに値する実績となってあらわれた。

5. 【第4章 ビジネスマインドセット】

 2001年、当時の寵児であり、未来の企業になりうるはずだったエネルギー企業エンロンが倒産した。エンロンの社員は、ほとんどが一流大学出身であったが、これが倒産の原因であると考えられている。優秀な人材を集めたがために、才能を妄信してしまい、硬直マインドセットに縛られてしまった。やはり、成功を求めているはずの硬直マインドセットが、失敗を繰り返していしまうのは、決して自分の欠点を認めないからだ。
 エンロン以外にも硬直マインドセットに縛られた有名経営者はほぼ必ずと言っても遜色ないぐらいに経営は失敗している。その一方で、しなやかマインドセットの経営者は成功している人が多い。
 ここまで述べただけでも、マインドセットをしなやかにするだけで様々な分野成功することができるのだ。

6. 【第5章 つきあい-対人関係のマインドセット】

 次に、マインドセットは対人関係にも効果を表すことを紹介しよう。
 硬直マインドセットの人は、相手に拒絶されると、自分を否定されたように感じる。更に、その相手に対し、「復讐」の念を抱き、相手に痛手を負わせることしか見えなくなってしまう。復讐を果たすことで救われると考えてしまう。
 一方で、しなやかマインドセットの人は、相手を理解して、許し、前向きに進もうとする。更には、傷ついたとしても、そこから何かを学ぼうと努力する姿が見られる。
 これらが顕著に現れるのが「恋愛」ではないかと考えられる。硬直マインドセットは自分中心の考えであるため、相手を理解することができず、関係が悪化してしまうことがほとんどであるが、しなやかマインドセットであれば、相手を理解することで、「自分の成長」, 「パートナーの成長」, 「お互いの関係の改善」が期待できる。
 人間関係とは非常に厄介なもので、「変わりたい」と願うだけではだめなのだ。変わりたいと願い、変わることを決心し、具体的な行動を起こさなければ人間関係は改善しない。つまり、人間関係においては、【育む努力をしなければ変わることは出来ない】のだ。

7. 【最終章 マインドセットをしなやかにしよう】

 しなやかマインドセットの根底にあるもの、それは「人は変われる」という信念である。
 マインドセットが硬直していると、失敗やミスをしてしまった時に内なる声は自分や他人の品定めにしか向かない。しかし、しなやかマインドセットの人は、内なる声を「ここから何が学べるか」「自分を成長させるためにはどうすれば良いか」と思考の時点から既に前を向いて進もうとしているのだ。
 人間は簡単には自分を変えることはできない。ましてや、外部からの力であれば尚更変わることは難しい。自分の意思で、自分の力で内側から変わることができた時、それは誰にも負けない唯一無二の力を発揮できる。
 マインドセットをしなやかにして、平凡な日常から抜け出そう。難しいことに挑戦して自分を成長させよう。成功をつかみ取ろう。松岡修造氏風に述べると、「あなたなら絶対できる!どんな困難でも乗り越えられる!」的な感じかなと(笑)
 ここまで読んでくださりありがとうございました。変われたらぜひご報告ください。楽しみにお待ちしております。

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