『7つの習慣』まとめ3/4
初めに
第1の習慣から第3の習慣までが『私的成功』であり、公的成功の土台として内容をまとめてきた。今回は、『公的成功』の為の第4の習慣から第6の習慣をまとめていく。
公的成功での領域に入る前に、心に留めておいて欲しいことがあり、本当の意味での「自立」いう土台があって初めて効果的な「相互依存」が築ける。
1. 第4の習慣 「Win-Winを考える」
「信頼なくして友情はない。誠実さなくして信頼はない。-サミエル・ジョンソン」
① 相互依存のパラダイム
上記の初めに、に記載してある通り、私的成功とは公的成功の先に立つものであり、自分を律し、自制することが他社との良好な関係を築く土台になる。
人間関係を深めるには、どんな人間関係であっても、まずは自分の内面に土台を築かなければならない。
② 信頼口座
銀行の預金口座のように、人と人との関係で生まれる信頼を貯えておくことを「信頼口座」と呼ぶことにする。何か失敗しても、信頼口座に信頼残高が多ければ、そこから引き出して補うことが出来る。
しかし、人間関係において応急処置は効かない。ましてや、人間関係は築くにも、修復するにも時間がかかる。人間関係においては、どんなに積み立てていても自分自身の相手に対する態度で一気に取り崩すことにもなり得る。
③ 主な6つの預け入れ
信頼口座の残高を増やす6つの預け入れを紹介する。
(1) 相手を理解する
相手を本当に理解しようとする姿勢は、最も重要な預け入れである。自分はこう理解してほしいと思うように、相手を一人の人間として深く理解し、その理解に従って相手に接する。
(2) 小さなことを気遣う
ほんの少し思いやりが足りなかったり、礼儀を書いたりしただけで、大きな引き出しとなってしまう。人の内面は脆く傷つきやすい。外側はどんなに固い殻で覆われていても、内側には痛みを感じやすい柔らかい心があるからだ。
(3) 約束を守る
約束を守ることは大きな預け入れになり、約束を破ることは大きな引き出しとなる。
(4) 期待を明確にする
役割や目標に対して期待することが曖昧だったり、認識が食い違っていたりすると、たいていは人間関係に支障をきたすものである。何を期待するのかを明確にしておかないと、必ず誤解を生み、相手を失望させ、信頼を引き出してしまうことになる。
(5) 誠実さを示す
誠実な人は信頼される。誠実さは、様々な預け入れになる。
正直は誠実の一部であって、誠実であることは正直以上のものである。正直とは、現実に自分の言葉を合わせることであり、誠実さは自分の言葉を現実に合わせることである。
誠実な人間となるもっとも大切なことは、その場にいない人に対して忠実になることである。
(6) 引き出してしまったときには心から誤る
誠心誠意の謝罪は、大きな預け入れになる。謝罪とは、自分に自信がなく、内面が安定していない人にはとても出来ないことである。
間違いを認めないのは、間違いを犯すこと以上の問題である。心の間違いは簡単には許してもらえない。
④ 愛の法則と人生の法則
何の見返りも求めず本心から無条件で愛することによって、相手は安心感を得、心が安定する。自分自身の本質的な価値観、アイデンティティ、誠実さが肯定され、認められたと感じ、自然な成長が促され、人生の法則(協力・貢献・自制・誠実)に従って生き、自分の中にある大きな可能性を発見し、それを発揮できるようになる。
私たちがすべきことは、相談役になり、弁護し、相手を守り、期待値を明確にする。
⑤ Pの問題はPCを高める機会
相互依存関係に成り立っている社会にあっては、Pに何か問題があるといこそ、PCを高めるチャンスである。信頼口座の残高を増やし、相互依存関係の生産力を大きく伸ばすチャンスなのである。
⑥ 相互依存の習慣
信頼口座のパラダイムを理解すれば、人と人とが力を合わせて結果を出す「公的成功」の領域に入っていくことができる。
さらに、本当の意味で自立した人間でなければ、他者との効果的な相互依存関係は築けないことを、もっと深いレベルで理解できる。
⑦ 人間関係におけるリーダーシップの原則
自立から相互依存の領域に足を踏み入れた瞬間に、リーダーシップの役割を引き受けたことになる。効果的な人間関係におけるリーダーシップの習慣は、「Win-Winを考える」である。
⑧ 人間関係の6つのパラダイム
・Win-Win:自分も勝ち、相手も勝つ。
・Win-Lose :自分が勝ち、相手は負ける。
・Lose-Win:自分が負けて、相手が勝つ。
・Win:自分が勝つ。
・Win-Win or No Deal:自分も勝ち相手も勝つ、それが無理なら取引しないことに合意する。
Win-Win
すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方と姿勢である。
Win-Winは、第3の案の存在を信じることである。
Win-Lose
権威主義的なアプローチになる。この考え方の人は、自分の地位、権力、学歴、所有物あるいは個性の力を借りて、自分のやり方を押し通そうとする。
ほとんどの人は生まれた時からずっと、勝ち負けの脚本で育っているから、Win-Loseのメンタリティが深く染みついている。また、スポーツがその考え方を助長する。試合で「勝つ」ことは、相手を「負かす」ことである。その為、多くの若者は、人生には勝者と敗者しかしかいないという考えを内面に根付かせてしまう。
Lose-Win
この考え方の人は、相手に対して主張せず、何も期待せず、何の見通しも持たずに、ただ相手を喜ばせたり、なだめたりすることしか考えない。
一方で、別の考え方のタイプの人は、初めから弱気だから、自分が何を手にしたいのかも分からなくなる。
Lose-Lose
自分の目指すべき方向性が全く見えず、他者に極度に依存して生きている自分が惨めでならず、いっそのことみんな惨めになればいいと思ったりもする。
Win
他者は関係なく、ただ自分が勝つことだけを考えるパラダイムもある。自分の欲しいものを手に入れるだけが大切なのである。
⑨ どのパラダイムがベストか
一番効果的なパラダイムは、「ケース・バイ・ケース」である。状況次第でどのパラダイムも一番になり得るのであるため、肝心なのは、状況を正しく読みとって使い分けることである。しかしながら、Win-Winが一番実行可能な唯一の選択肢である。双方が満足できる解決策となる第3の案は、お互いに一人では考えつかない素晴らしい解決策になり得る。
⑩ Win-Win or No Deal
No Dealとは、双方にメリットのある解決策が見つからなければ、お互いの意見の違いを認めて、「合意しないことに合意する」ことである。
Win-Win or No Dealのアプローチが特に効果を発揮するのは、新しく事業を興したり、新しい取引先と契約を結んだりするときである。お互いに腹の探り合いをせずに、自由に最善の案を探すことが出来る。
⑪ Win-Winの5つの側面
「Win-Winを考えする」は、人間だけに授けられた4つの能力(自覚・想像・良心・意思)すべてを発揮して、お互いに学び合い、お互いに影響し合い、お互いに影響し合い、お互いに得るところのある人間関係を育てていくための習慣である。
Win-Winの原則は、あらゆる人間関係の成功を築くための基礎であり、互いに関連し合う5つの側面でできている。まず、人格があって、それによって人間関係が築かれ、そこで協定が出来る。合意に至るまでの流れを円滑に進めるためには、Win-Winに基づく構造とシステム、プロセスが必要となる。
・人格
Win-Winの土台である。Win-Winのパラダイムを身につけるには、人格の3つの特徴を育てなければならない。
(1) 誠実:自分の価値観を明確にし、その価値観に従って主体的に計画を実行するにつれて私たちは自覚を持って意義ある約束を決意し、守り続ける意思を育てていく事が出来る。
(2) 成熟:勇気と思いやりのバランスが取れていることである。Win-Winには、高いレベルの勇気と思いやりの両方が不可欠である。
(3) 豊かさマインド:この世にはすべての人にいきわたるだけのものがたっぷりとあるという考え方であり、内面の奥深くにある自尊心と心の安定から湧き出るものである。一方で欠乏マインドがあり、ほとんどの人が、物事はすべて限りがあると思ってしまう考え方に深く脚本づけられている。
欠乏マインドのままでは、手柄を独り占めし、名誉や評判、権力もしくは、利益をサポートしてくれた人とさえ分かち合おうとしない。
⑫ 人間関係
Win-Winの人間関係の本質は信頼である。信頼口座にたっぷり預け入れしてあれば、お互いに相手を信頼し、尊重しているから、相手がどんな人間かを探る必要もないし、相手の性格や立場にとらわれず、すぐに目の前の問題そのものに意識を向けることができる。
自分の誠意、主体性、Win-Winを目指す決意が強くなるほど、相手に与える影響力も大きくなる。
⑬ 協定
業務提携やパートナーシップとも呼ばれ、人間関係のパラダイムは、上下関係から対等な立場で成功を目指すパートナーシップの関係に変わる。
Win-Win実行協定では、次の5つの要素をはっきりと決めることが大切である。
・望む成果:いつまでに、何を達成するのか。(手段を決めるのではない)
・ガイドライン:望む結果を達成する時に守るべき基準(規則、方針など)
・リソース:望む結果を達成するために使える人員、資金、技術、組織のサポート
・アカウンタビリティ(報告義務):結果を評価する基準、評価する時期
・評価の結果:達成度合い、貢献度合い、評価の結果としてどうなるのか。
これらの基準を明確にし、関係者全員が了解して同意していれば、自分の仕事の結果が成功なのかどうなのかを一人ひとりが自分で判断できる。
⑭ Win-Winのマネジメント・トレーニング
責任感があり、主体的で、自己管理のできる人が自由裁量を与えられて仕事に取り組むとき、個人と組織にも驚くべき結果をもたらす。
⑮ Win-Win実行協定
まず、手段ではなく結果に目を向けなければならないという根本的なパラダイムシフトが求められる。
手段は本人に任せることで、個々人の大きな潜在能力が解き放たれ、シナジーを創り出せる。このようなプロセスを踏むことで、Pだけにとらわれず、PCを育てていく事もできる。
Win-Winのパラダイムでは、当事者全員で相談して決めておいた基準に従って、自己評価をする。基準を正しく設定すれば、自己評価も正確にできる。
Win-Win実行協定でコントロールできる結果に対する評価は、「金銭的な結果」、「心理的な結果」、「機会、責任」である。「金銭的な結果」は、昇給や手当、罰金などであり、「心理的な結果」は、評価、承認、尊重、信頼などを得る、あるいは失う。「機会に関わる結果」は、研修や特別トレーニングへの参加であり、「責任に関わる結果」は、職務範囲や権限が拡大するか、逆に縮小するかである。
⑯ システム
組織の中にWin-Winを支えるシステムがなければ、Win-Winの精神を定着させることはできない。いくらWin-Winと言っても、給与や報奨の仕組みがWin-Loseになっていたら、うまく機能しない。
社員教育、事業計画策定、コミュニケーション、予算、情報管理、給与体系ーすべてのシステムがWin-Winの原則に基づいていなければならない。
多くの場合、問題があるのは人ではなくシステムの方である。無意味な論争を排除して協力的な環境を育むことで、PとPCの両方を高めることが出来、大きな効果を組織全体に波及させることができる。
⑰ プロセス
Win-Winの本質は、そのプロセスと強い相関関係にある。Win-Winのプロセスを踏まなければ、Win-Winの結果に到達することはできない。
2. 第5の習慣 「まず理解に徹し、そして理解される」
「心には理性ではわからない理屈がある。-パスカル」
① 共感によるコミュニケーションの原則
これまでに人間関係について学んだもっとも重要な原則は、「まず理解に徹し、そして理解される」ことである。この原則が、効果的な人間関係におけるコミュニケーションの鍵なのである。
② 人格とコミュニケーション
コミュニケーションは人生においてもっとも重要なスキルである。
人と人とのコミュニケーションの習慣を本当の意味で身につけたいなら、相手が心を開き信頼してくれるような人格を土台にして、相手に共感して話を聴くスキルを積み上げていかなくてはならない。
③ 共感による傾聴
相手が話している時、私たちの「聞く」姿勢はたいてい次の4つのレベルのいずれかである。一番低いレベルは、相手が無視して話を全く聞かない。次のレベルは聞くふりをすること。3番目のレベルは選択的に聞く態度である。4番目のレベルは注意して聞く。一番上のレベルは相手の身になって聴く、共感による傾聴である。
共感による傾聴とは、まず相手を理解しようと聴くことであり、相手の身になって聴くことである。
共感と同情は異なる。同情は一種の同意であり、価値判断である。共感の本質は、誰かに同情することではなく、感情的にも知的にも、相手を深く理解することである。
人間は、満たされている欲求は動機づけにはならない。人間にとって肉体の生存の次に大きな欲求は、理解され、認められ、必要とされ、感謝される心理的な生存である。その為、共感して相手の話を聴くことで、心理的な生存の欲求を満たし、相手に影響を与え、問題の解決へと向かえるのである。
相手の内面にあるものを本当に理解できなければ、その人と相互依存の関係は築かれず、したがって、大きな成果も生まれない。そして相手が本当に理解されたと感じない限り、高い信頼残高という人間関係のPCを育てることは出来ないのである。
④ 処方する前に診断する
まず理解に徹すること、つまり処方する前に診断することは、難しく、リスクがある。しかし、これが正しい原則であることは人生のあらゆる場面で表れており、プロはこの原則を必ず守っている。
⑤ 4つの自叙伝的反応
私たちは、自分の過去の経験、いわば「自叙伝」を相手の話に重ね合わせてしまうため、人の話を聞く際に次の4つの反応をしがちだ。
・評価する:同意するか反対するか
・探る:自分の視点から質問する
・助言する:自分の経験から助言する
・解釈する:自分の動機や行動を基にして相手の動機や行動を説明する。
これらの反応は自然に出てくるものであり、ほとんどの人がこれらの反応に脚本づけされている。
何とか自分のことをわかってもらおうとしている人にとって、相手の自叙伝的な反応がどれだけコミュニケーションを妨げているだろうか。
相手と同じ視点に立って、相手が見ているのと同じ世界を見られるようになるには、人格を磨き、本当に理解したいという純粋な気持ちになり、相手との高い信頼残高、共感による傾聴のスキルを育てることが必要である。
このスキルには4段階ある。第一段階は、相手の言葉をそのまま繰り返すことである。オウム返しするだけでも、相手の言葉に注意を向けている姿勢は伝わるが、本当に理解しようとするなら、これでは不十分である。
第二段階は、相手の言葉を自分の言葉に置き換えることである。第一段階よりも少しは効果的になるが、まだ言葉だけのコミュニケーションの域を出ていない。
第三段階は、相手の気持ちを言葉にすることである。相手の気持ちに関心を向けている。
第四段階は、第二段階及び第三段階を組み合わせたものになる。相手の言葉を自分の言葉に置き換えると同時に、相手の気持ちを言葉にするのである。
相手が論理的に反応している間は、効果的に質問し、助言を与えることができるが、感情的な反応を見せたら、共感して聴く姿勢に戻らなければならない。
人は誰でも、自分の事をわかってもらいたいと思っている。だから、相手を理解することにどんなに長い時間を投資したとしても、必ず大きな成果となって戻ってくる。なぜなら、問題や課題が正しく理解されたと感じた時、人が深く理解されていると感じた時に増える信頼口座の残高があれば、解決に向かって進めるようになるからだ。
⑥ 理解と捉え方
人の話を深く聴けるようになると、とらえ方は人によって大きく異なることがわかってくる。そして、その違いこそが、相互依存の状態において他者と力を合わせて何かをするときにポジティブな効果を与えることもわかってくる。
⑦ そして理解される
まず理解に徹し、そして理解される。古代ギリシャの言葉に、エトス、パトス、ロゴスという3つの言葉のまとまりで表され得る哲学がある。
エトスは、個人の信頼性を意味する。パトスは、感情、気持ちのことである。ロゴスは、論理を意味する。
エトス、パトス、ロゴスの順番に注意すると、まず人格があり、次に人間関係があり、最後に自分の言いたいことを表現する。
第5の習慣が身につくと、自分の考えをより正確に誠実な態度で表現できるようになる。それはまわりの人たちにも伝わる。
⑧ 一対一
第5の習慣の効果が大きいのは、自分の「影響の輪」の中心に働きかけるからである。
資金や技術と同じくらい、それ以上に人を大切にする。
3. 第6の習慣「シナジーを創り出す」
「私は、聖人の願いを己の指針としたい。危機的な問題においては結束を。重要な問題においては多様性を。あらゆる問題においては寛容を。-大統領就任演説 ジョージ・H・W・ブッシュ」
① 創造的協力の原則
どんな困難に直面しても、人間だけに授けられた4つの能力(自覚・想像・良心・意思)、Win-Winの精神、共感の傾聴のスキル、これらを総動員すれば最高のシナジーを創り出すことが出来る。
ここまで学んできたすべての習慣は、シナジーの奇跡を創り出すための準備だったのである。
シナジーの本質は、お互いの違いを認め、尊重し、自分の強みを伸ばし、弱いところを補うことである。
② シナジーを創り出すコミュニケーション
他者とのコミュニケーションが相乗効果的に展開すると、頭と心が解放されて新しい可能性や選択肢を受け入れ、自分の方からも新しい自由な発想が出てくるようになる。
奇跡の様な体験を起こすには、内面がしっかりと安定し、心を開いて物事を受け入れ、冒険に心躍らせる必要がある。
創造的な活動のほとんどは、予測のつかない出来事がつきものである。こうした曖昧な状況に耐えることができる安定性、原則と内なる価値観による誠実さがなければ、創造的な活動に不安を感じるだけで、楽しくもないだろう。
③ 教室でのシナジー
誰もが自分の意見を安心して述べ、全員が他社の意見に耳を傾け、受け入れ、学び合う環境をつくることが大切だ。ここでは人の意見を「評価」したい気持ちを創造力と想像力、活発な意見交換によって抑える。新しい発想や考え方、方向性に教室全体が湧き立ち、興奮の渦と化すのだ。
大きな勇気と本当の愛情があれば、シナジーを生み出すことが出来る。
④ ビジネスでのシナジー
人は一度でも本物のシナジーを経験すると、それ以前の自分に戻ることが出来ない。
以前に経験したシナジーを再現しようとしても上手くいかない。しかし、創造的なことを成し遂げようという目的意識ならば、いつでも再現できる。過去のシナジー体験を真似るのではなく、それとは異なる目的、より高い目的を達成するための新しいシナジーを求めることができる。
⑤ シナジーとコミュニケーション
シナジーは大きな成果、意味のある進歩に繋がる。その為、リスクを負ってでもシナジーを起こす努力はする価値がある。
強い信頼関係から、生まれるシナジーによって、最初に示されていた案をはるかに上回る結果に到達できる。しかも、全員がそう実感でき、その創造的なプロセスを心から楽しめる。
⑥ 第3の案を出す
高い信頼口座の残高、Win-Winを考える姿勢、まず相手を理解しようとする努力、これらの要素があいまって、シナジーを創り出す理想的な環境ができあがる。仏教では、「中道」と言い表す。
向かい合って対立するのではなく、同じ側に立って問題を眺めてみる。お互いの希望を理解して、両方の希望を叶えられる第3の案を出す努力をする。
シナジーから生まれる解決策は、PとPCの両方を高めることが出来る。
⑦ ネガティブなシナジー
依存状態から抜け出せない人たちにとっては、自分の地位の力を借りて相手を負かそうとするWin-Lose、あるいは相手に好かれたいがために迎合するLose-Winの二つに一つしか選択肢がないのである。このような状況でシナジーが創り出される可能性はゼロである。
右脳、左脳を使いこなすことで、自分の頭の中で心理的なシナジーを創り出せる。
⑧ 違いを尊重する
違いを尊重することがシナジーの本質である。
本当の意味で効果的な人生を生きられる人は、自分のものの見方には限度があることを認めれる謙虚さを持ち、心と知性の交流によって得られる豊かな資源を大切にする。
二人の人間が違い意見を主張し、二人とも正しいということはあり得るだろうか。論理的にはあり得ないが、心理的にはあり得る。
人生は「あれかこれか」の二者択一で決められるわけではない。必ず第3の案があるはずだとは思えない限り、自分だけの解釈の限界を超えることはできないのである。
⑨ 力の場の分析
社会心理学者のクルト・レヴィンは、「力の場の分析」というモデルを構築した。それによると、現在の能力や状態は、上向きの推進力とそれを妨げようとする抑止力とつりあったレベルを表しているという。
一般的に推進力はポジティブな力であり、抑止力はネガティブな力である。推進力を強めれば、しばらくは結果が出るが、同時に抑止力も大きくなっていくので、結局は元の状態に戻ってしまう。
ここで諦めずにシナジーを創り出す。Win-Winを考える動機、まず相手を理解することに徹し、それから自分を理解してもらえるようにするためのスキル、他者と力を合わせてシナジーを創り出す相互作用、これらを総動員して抑止力にぶつける。抑止力となっている問題について、心を開いて話し合える雰囲気をつくる。するとがちがちに固まっていた抑止力が溶け始め、ほぐれていき、抑止力が一変するような新しい視野が開けてくる。
⑩ 自然界の全てはシナジーである
生態系という言葉は、基本的には自然界のシナジーを表している。すべてのものが他の全てのものと関係し合い、その中で創造の力は最大化する。
自分自身の分析的な側面の両方を意識して尊重し、その二つの側面の違いを活かせば、自分の内面で創造的なエネルギーが解き放たれる。
自分の考えと「間違った考え」の二つしか見えないときは、あなたの内面でシナジーを創り出して、第3の案を探すことが出来る。多くの場合、第3の案は見つかる。Win-Winの精神を発揮し、本気で相手を理解しようとすれば、当事者全員にとってより良い解決策が見つかるはずだ。
コーヒーブレイク
ここまでで、『私的成功』の第1, 第2, 第3の習慣と『公的成功』の第4, 第5, 第6の習慣を紹介してきた。
これらをベースにして人生を見つめることで、必ず個人事業でもビジネスでも充実した日々を送ることができるだろう。
最後に、これらを磨いていくための方法を『第7の習慣』で紹介する。残り1記事となったが、最後までぜひ読んでもらいたい。
やんまー
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