ディズニーCEOが実践する10の法則

1. 緒言(この本から学べること)

 ディズニーCEOのロバート・アイガー氏の著書で、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんや世界的に有名なスティーブン・スピルバーグ氏も絶賛している。
 アイガー氏は決してエリート街道をずっと走ってきたわけではない。出身は田舎で、一流大学と呼ばれる『スタンフォード大学』や『ハーバード大学』出身ではないにも関わらず、持ち前の人並み外れたハングリー精神でディズニーCEOまで上り詰めた。
 アイガー氏の生き様が鮮明に記載されおり、私は感銘を受けたと共に、【ビジネスの成功法則】や成功に必要な【人格形成】を学ぶことができた。
 本書を簡単ではあるが、まとめとして投稿する。
 また、オリエンタルラジオの中田敦彦氏によるYouTube大学でも途中までではあるが取り上げられているので、そちらの方がより抽象的にイメージしやすく、理解しやすいだろう。
 【ディズニー①】テレビ局の雑用係からディズニーCEOへ奇跡の実話  https://www.youtube.com/watch?v=Nohmh9QRieY

2. 【第1章】下っ端時代

 アイガー氏は子供の頃から早起きで、高校生になる頃には父親が本の定期購読を契約していたことで、フィッツジェラルド・ヘミングウェイ・フォークナーなどの本を読み漁っていた。
 中学2年生からアルバイトを始め、15歳の夏休みには学校の用務員のバイトもしたそうだ。全ての教室にある暖房機を全て掃除し、全ての机の下に貼りついたガムを取り除く作業で、このバイトがロバート氏の根性を養ったと記載されている。
 ロバート氏はニューヨークのイサカにある小さなケーブルテレビ局でお天気キャスターと特集ニュースのレポーターを務めていたが、ずっと状況が好転することはなかったそうだ。
 そんな時、母の兄のボブが目の手術のために病院に入院することになり、その時にボブと同室になった一人がネットワークテレビ局ABCの社員だった。しかも、その社員は役職者ではなかったが見栄を張っていたらしく、そのおかげでアイガー氏がABCの面接を受けられるように手配してくれた。そこから、アイガー氏はABCに入社を果たす。
 1974年の秋、アイガー氏にとって大きな仕事が舞い込んでくる。それは、「フランク・シナトラ・コンサート」だ。その時に担当していたのが、『ルーン・アーリッジ』であった。この、ルーンとの出会いがアイガー氏の未来を大きく変える。
 ルーンが常に意識していたのは、【完璧への飽くなき追求】【イノベーションを起こす事】である。これらはルーンを形成する原理原則であり、アイガー氏もこの事を学んだことでこの先に待ち受ける困難も乗り越えることができた。もちろん、「フランク・シナトラ・コンサート」は大成功に終わった。
 アイガー氏が『ワールド・ワイド・スポーツ』を担当し始めてすぐに事件が起こる。世界記録が出た時の放送ができていなかったのだ。この重大なミスにスタッフで知らないものがいるはずもなく、ルーンが戦犯を探したが、誰も名乗りを上げるものをいなかった。そんな時、部屋の隅にいたアイガー氏は「今回のミスは自分の責任です。」と名乗り出た。アイガー氏は、【失敗をしたら、他人に責任をなすりつけるのではなく、自分自身で責任を取るべき】と考えている。
 皆さんもミスをしてしまった際に、他人や環境のせいにしていないだろうか。それは絶対にやるべきではないし、成功している人は必ず他人や環境のせいには絶対にしない。なので、これを読んでくれている皆さんも今後は心に刻んでおいてほしい。もちろん、私も気を付けなければならない。

3. 【第2章】大抜擢

 1985年、ABCがキャピタル・シティーズという小規模な会社に買収されてしまう。キャピタル・シティーズを牽引していたのは、『ダン・バーク』『トム・マーフィー』という人物で、あの世界一の投資家『ウォーレン・バフェット』が見込んだ経営者であった。
 ダンとトムのやり方が合わない人たちはABCを辞めていってしまい、その穴を埋めるようにダンとトムは外から実績のある人々を雇い入れた。その中の一人が『デニス・スワンソン』という人物で、有名ではないながらも小さい5つか6つの地方局を経営していた。アイガー氏もABCを辞めて、ICMで一緒に働かないかと誘われたため退職を決め、上司となったデニスに退職を伝えに行く。そこで、デニスから「編成の責任者になってくれないか?」と聞かれ、退職を考えていたものの、デニスからの言葉を1日考え、これを引き受けることにした。これが、アイガー氏にとっての一つのターニングポイントになった。その後、冬季オリンピックの放送も任され、視聴率も過去最高を記録し、大成功を収める。
 ある日、ダンとトムに呼び出され「エグゼクティブ・バイスプレジデントになってくれ」と言われる。ナンバー2の地位に当たり、大躍進を果たす。

4. 【第3章】首位奪還

 『ツイン・ピークス』という女子高生殺害事件を描いたドラマの放送を決める。順調に制作は進んでいき、いよいよ放送を迎えた。放送前からアイガー氏や周りからの反響も良く、絶対にヒットすると確信しており、放送が始まってからも爆発的な人気を博した。しかし、半年もするうちに視聴者が何を求めているかという論争が絶えず続き、それに影響されるように人気もがた落ちしてしまう。そして、ついにはツイン・ピークスの打ち切りが決定してしまう。
 ここで、アイガー氏は『意見や批評を求められたら制作に携わっている人たちの情熱や想いを気に掛ける』ことを学んだ。相手を理解することが、大きな成功やシナジーを生み出すことは『7つの習慣』にも記載されている。
 そして、『NYPDブルー』というR指定のドラマの制作をする。クリエイターと密に話し合い、どこまでなら「PG-13」に引っかからずに放送できるかを探り、ギリギリの範疇での最高のクオリティを追求した。当初の予定からは1年も遅れてしまったものの、プライムタイムの人気番組として不動の地位を10年以上も守り、20ものエミー賞を受賞するなどツイン・ピークスの汚名返上を果たした。
 実績も十分についたところで、ダンとトムからABCの社長になってくれと頼まれ、社長に就任した1年後にキャピタル・シティーズ/ABCのCOO(最高業務責任者)に就任するというスピード昇任を果たした。それだけアイガー氏はダンとトムから厚い信頼を得ていたのだ。
 ちょうどその時、ウォルト・ディズニー・カンパニーCEO『マイケル・アイズナー』がキャピタル・シティーズ/ABCの買収に可能性を探るために、接触してきた。

5. 【第4章】ディズニー入社

 アイガー氏は悩んだものの、今のキャピタル・シティーズ/ABCのビジネス像を一新して、ディズニー流のやり方を取り入れて新たなビジネスプランを描いていくことを決め、買収に合意した。それは、アイガー氏が社員全員を思っての決断であった。
 合併したばかりのディズニーには多くの問題が山積みになっていた。大作アニメの失敗の連続や会社のナンバーツーがおらず、マイケル・アイズナーの独占的な経営方針、ピクサーとの確執など様々だ。
 社長として就任した『マイケル・オービッツ』もアイズナーと馬が合わず、就任してすぐに解雇させられてしまう。そんなガタガタのディズニーが果たしてどうなってしまうのか、アイガー氏もABCの社員も不安でしかなかった。

6. 【第5章】ナンバーツー

 そのまま3年間も、アイズナーはディズニーにナンバー2をおくことなく経営をし続けた。
 一方で、Aアイガー氏が統括していたABCは若干の経営不振に陥りそうであった。かつて、大ヒットを起こした『NYPDブルー』も視聴率トップ20には入っていたものの、全体的に退屈な番組となっていた。そんな時、放送をした『クイズ・ミリオネア』が爆発的な人気を博した。しかし、それでもまだ大きな問題全てを覆い隠すことはできなかった。
 2000年を祝う番組の制作にあたり、ニュース・エンターテインメント・スポーツの上層部を集めて、アイガー氏が思い描く番組の構想を語った。そこには、この記念すべき節目を「ABCが独占したい」という強い想いがあり、それを実現させるためには、かつて、アイガー氏の上司として『フランク・シナトラ・コンサート』を成功させたルーンの協力が必要不可欠であった。制作した番組は、アイガー氏にとってもルーンにとっても長く語り継がれるような素晴らしいものとなった。そして、それがルーンにとって彼が制作する最後の大イベントとなった。それから2年後、ルーンは帰らぬ人となった。
 ディズニーではナンバー2を指名しないことがディズニー全体に悪影響を及ぼしていた。ナンバー2の座が空席になっていたばかりに、様々な重役が隙間を埋めようと画策し、それが目先の利益しか考えていないものであったため、社員の士気を大きく下げてしまうぐらい壊滅的な打撃を与えていた。
 そんなある日、アイズナーから「経営を助けてほしい」と言われ、ずっとちぐはぐな態度を取られてきたアイガー氏はアイズナーが何を考えているのか聞いた。アイズナーがナンバー2を指名しなかったのは、彼のライバルが現れてしまうからということを心配していた。そして、アイガー氏はディズニーの社長兼COOの肩書を提示される。

7. 【第6章】内紛

 ほとんどの伝統的なメディアが頑なに古いモデルを守りながら世界に居場所を求めようとしていた。しかし、アイガー氏はそれでは常に変化する環境の中で生き延びられないことをわかっていた。
 世界の変化を体現していたのが、アップルの経営者でありながら、ピクサーのCEOを務めた『スティーブ・ジョブズ』だ。『トイ・ストーリー』や『バグズ・ライフ』、『モンスターズ・インク』など大ヒットアニメーションを作り上げ、世界の興行収入は10億ドルにまでのぼった。
 ピクサーはディズニーの下にいたが、それが世界の変化で立場が逆転してきていた。アイズナーとスティーブによる確執でピクサーとのごたごただけでも大変であったのに加え、『ロイ・E・ディズニー』の扱いや『コムキャストによる買収』などアイガー氏にとって最大の山場が訪れる。

8. 【第7章】後継者選び

 アイズナーの後継者として、取締役会と複数回の面接を通して役人の中から1人だけが選ばれる。アイガー氏の描いたビジョンは、【1. 良質なコンテンツを創り出すこと】, 【2. テクノロジーを最大限に活用すること】, 【3. 真のグローバル企業になること】この3つが、アイガー氏のビジョンであった。
 複数回に渡る面接は明らかにアイガー氏の体に大きな負担を与えていた。世間の目やマスコミからの注目、至る所で変な注目を毎日のように浴びたせいで、一度だけアイガー氏がパニック障害を発症してしまう。息子とバスケの試合を観戦しに行ったが、胸が苦しくなり、息切れも起こしてしまった。息子を説得し、途中で帰宅し、その後でかかりつけ医に診断してもらったところ、パニック障害と診断された。中学生時代のアルバイトで身に付けたあのアイガー氏のタフネスさでもここまで悪化してしまうのでは相当な負担が掛かっていたことがわかる。
 それに加え、15回の面接で最後だけ取締役会の前で我を忘れてしまう。ディズニーの半年間の先の見えない状況置かれていたこと、アイズナーにまつわるごたごたそれらだけでも相当なストレスであったのに、長期にわたっての面接は精神も寿命もすり減らしていたのではないかと感じた。
 そして、長期に渡る面接の結果、無事にアイガー氏がディズニーCEOとして選出された。彼はすぐにスティーブ・ジョブズに自身がディズニーの時期CEOになったことを連絡した。その時のスティーブの対応は非常に明らかにアイズナーとの確執を気にしていて、アイガー氏であってもそっけない対応をされてしまう。ここからどのようにしてピクサーと手を組むことができたかが見所である。

9. 【第8章】最初の100日

 アイガー氏が次期CEOに任命されてから、アイズナーがディズニーを引退するまでに半年の期間があった。アイガー氏はかつてからのディズニーの課題であった【ロイ・E・ディズニーとのいざこざを解決すること】, 【ピクサーのスティーブ・ジョブズとの関係を解決すること】この2つの解決に尽力する。
 ロイとのいざこざを解決するにあたり、アイガー氏は次の提案を持ちかけた。「ロイに名誉取締役の肩書を与え、映画のプレミアやテーマパークの開園式や特別イベントに招く。少額のコンサルティング料を支払い、社内にオフィスを設け、ロイが会社に自由に出入りできるようにする。」代わりの条件として、訴訟を起こさないことを提示したがこれにあっさり承諾。まずは一つの問題を解決した。ここで、アイガー氏は「敬意を払う」という当たり前にも思えることが、どんなデータにも負けず劣らずの成果をもたらすという教訓を学んだ。
 次に、スティーブとの和解を実現させるために、相手が興味を持ちそうな話題を提供することをアイデアに行動した。アイガー氏は大の音楽好きで、iPodに好きな曲を全てダウンロードしていつも聴いており、培ったテレビの魅力とiPodのような素晴らしいモバイル技術を組み合わせることができたら非常に魅力ある価値を生み出すことができ、スティーブとの協力も仰げると考えた。そして、そのアイデアを早速スティーブに売り込んだ。すると、「まさしく同じことを考えていた」と共感を示し、誰にも見せるなよと新型のiPodを見せてくれた。ピクサー買収に追い風が吹いた。

10. 【第9章】ピクサー買収

 以前よりは買収に可能性が見えてきていたが、それでもまだスティーブは未だに協力に関してはピクサーが一方的に有利になるものばかりの条件であった。
 ディズニーは、様々な作品を出し、そこそこヒットした作品はあったものの大ヒットをした作品は1本もなかった。一方で、同時期にピクサーは大ヒット作品を連発していた。益々、ディズニーとピクサーの立場の逆転に拍車がかかる。
 アイガー氏は再度方向性を3つ考えた。【1. 経営陣を信じて、再建できるかどうか様子を見る】, 【2. 才能のある人物を見つけて、アニメーション部門を経営してもらう】,【3. ピクサーを買収すること】その中で、アイガー氏はピクサーの買収がディズニーの未来を救うことを説明した。しかし、周りにはスティーブがピクサーを手放すわけがないと理解をしめしてもらえなかった。
 後日、スティーブに電話を掛ける機会があり、要件の最後に「ディズニーがピクサーを買収するってのはどうだろう?」と切り込んだ。すると、以外にもスティーブの反応は「それならとんでもないってこともないな」と前向きな姿勢の返事がきた。
 ここでの教訓は【勝率を計算して、簡単に諦めないこと】である。これは9割以上の人にあてはまるできごとではないかと思うが、何でも「絶対に無理」と諦める前に一歩だけ勇気を出して前に進んでみることが大切であると教えてくれている。
 また、【大きな成功を成し遂げるには、大きなリスクを取らなければならない】ことも示している。
 ピクサーにエンジニアたちにも理解をしてもらい、無事にピクサーを買収し協力体制を取ることができた。その際、ピクサーの今まで築いてきたピクサーらしさはそのままにしたり、メールアドレスも今までのものを使用したりとピクサーの社員たちが仕事に集中できるように環境づくりにも尽力した。
 ディズニーの取締役会でも理解してもらい、11人の多数決で賛成9人、反対2人でピクサー買収が本格的に決定した瞬間であった。

11. 【第10章】マーベル買収

 次に、より大きな成長戦略として、買収候補のリストからマーブルの買収の検討を始めた。
 ピクサーを買収した時と同様に、マーベルの経営者『アイク・パルムッター』に敬意を払うために直接マンハッタンのオフィスに出向いた。
 マーベルの買収に関して、良い友達になっていたスティーブに相談する。スティーブは最初は反対していたものの、アイガー氏を信頼しており、最終的には賛成を示してくれた。そして、スティーブからアイクへ電話をかけ、これが決定打となり、ディズニーのマーベル買収が決定した。
 私はここで、『約束を守る』ということは自身の【信頼】につながり、それがスティーブ・ジョブズやアイク・パルムッターという【最高の経営者をも動かすことができる力】である事を学んだ。

12. 【第11章】スター・ウォーズ継承

 マーベルの他にもう1社買収を検討していたのが、『ルーカスフィルム』であった。経営者は誰もが知っている、スター・ウォーズの生みの親『ジョージ・ルーカス』だ。ジョージとはアイガー氏がABCに勤めていた時に、ツイン・ピークス関連で縁があった。
 ジョージに会い、実際に話を進めると売却を考えているとのことだった。ジョージの条件として、ピクサーと同様に「らしさ」を残すことを提案した。しかし、買収は難航した。それは、ジョージがわが子同然のように愛していたスター・ウォーズを手放すことを認めたくなかったからである。売却額やキャピタルゲイン税制の改正で何とか合意をへ、ルーカスフィルムの買収が決定した。
 ピクサー・マーベル・ルーカスフィルムの買収において共通していたことは、【一人の支配的な所有者との信頼関係を築けるかどうか】という点であったとアイガー氏は述べている。そこには必ず、「相手の考えを尊重する」という人間の原理原則に従った行動がこのような結果をもたらせたのだとか私は感じた。

13. 【第12章】イノベーションか、死か

 次に、消費者にコンテンツを届けるために、自社のテクノロジープラットフォームの構築であった。しかし、この時点では、それを可能にするテクノロジーが見つかっていなかった。
 そこで、ツイッター社に接触を試みた。しかし、アイガー氏にはブランドイメージの問題がどうしても気になって仕方がないという理由で、ツイッターCEOでディズニーの取締役であった『ジャック・ドーシー』に電話を掛け、買収の交渉を中止した。
 それでも何とかしてディズニーを更に大きく成長させるためにアイガー氏は奔走した。「企業の伝統」【イノベーションの成功の妨げになる】ことを明示し、古い体制がコンフォートゾーンになってしまっていて変化に踏み出せていないことを分析した。「イノベーションによってもたらされる結果は皆さんにかかっています。」と社員に【失敗を恐れずに挑戦すること】を示した。
 そして、良質なテクノロジーを有し、海外に展開できる『フォックス』の買収を視野に入れる。

14. 【第13章】正義の代償

 アイガー氏はディズニーが歴史を全て消し去って、今持っているもの全ての資産を使ってこの瞬間から新しい組織を築くとしたら、どんな構造になるかと、かつてスティーブ・ジョブズとピクサーとディズニーの合併についてメリットとデメリットを挙げたように、ホワイトボードに書き出した。これで、フォックスを買収した時の未来図を描くことが出来、あとは結果を待つだけだった。
 ある日、ABCの社長を務める『ベン・シャーウッド』からメールが届き、女優の『ロザンヌ・バー』『バレリー・ジャレット』を「ムスリム同胞団と猿の惑星の合いの子」と揶揄するツイートをしたとの報告を受ける。アイガー氏とロザンヌは親しい中であったが、【目先の商業的な損失に囚われずに、ディズニーで働く社員とプロダクトの品格と誠実さを大切にすること】を尊重し、ロザンヌの番組を打ち切ることを決意した。
 何事でもそうだが、目先の利益に目がくらんでしまっては絶対に成功はできないと多くの成功者が提示している。

15. 【第14章】未来への布石

 フォックスの買収に関して、競合していたコムキャストがディズニーが提示した買収価格「1株28ドル」という提示額に対して、「1株35ドル」というはるかに上回る買収価格を提示してきた。
 それにも怯まず、アイガー氏は現金と株式を半々の「1株38ドル」という額を提示した。この数字には多くの可能性を加味して決定した額であった。そして、コムキャストのブライアン・ロバーツがフォックス買収を諦めたというニュースが舞い込んでくる。アイガー氏の勝利だった。
 ディズニープラスを月額6ドル99セントで提供し、映画での興行収入でもアベンジャーズ/エンドゲームが史上最高額の興行収入を記録するなど成功の連続であった。
 最後に、アイガー氏は「世界中から権力者や重要人物だと祭り上げられたとしても、本当の自分を見失わないことこそが、リーダーの本質だ」と述べている。地位を得たことで驕ってしまっては、その先の未来に明るさは皆無であると。人は肩書に頼り始めた瞬間に自分という存在を見失ってしまうので、【人生のどの段階にいても自分自身の本質は変わらないという事を心に留めておいてほしい】と記載している。それは何よりも難しく、何よりも大切な教訓であると。

16. 最後に

 最初はYouTube大学でこの本の紹介を見て、アイガー氏の生き様が本当にかっこよく、胸を打たれた。
 今回、久しぶりに読み直して再度彼の生き様を胸に刻むことが出来た。この本を読むことで奇跡の追体験ができ、この先の未来にきっと影響を与えるだろうと感じた。

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