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経済制裁が引き起こす思わぬ事態

”経済制裁は軍事力を用いないという点では、平和的な手段でしょう。しかし、経済的に追い詰めるほど、思わぬ事態を招くことがあるので注意深く行う必要があります” ー4月12日付朝日新聞オピニオン面 帝京大学教授の筒井清忠氏へのインタビュー記事から。

ロシアによるウクライナへの侵攻に対して、米欧や日本などがロシアへの経済制裁を強めている。筒井氏はロシアの置かれた立場について以下のように指摘している。

”経済制裁を科され、軍事的に想定外の展開になっているであろう現状は、かつての日本と重なる部分があるのも事実”

どういうことか。

”念頭にあるのは1941年の日米開戦です。鉄鋼、自動車の生産量など、様々な指標を比べると、日米の国力には圧倒的な差がありました。それにもかかわらず日本は開戦を選択した。その背景に経済制裁があります”

当時、日本は石油の約8割を米国からの輸入に頼っていたというが、日中戦争へと進んだ日本への経済制裁として米国は1941年に石油の対日輸出を禁止した。

”そこで日本は国力差があり、依存さえしていた米国との開戦に踏み切った。近年は行動経済学の観点からの研究があります。石油が止められてジリ貧の現状を打開するため、合理的な選択よりも、高リスクだがうまくいく可能性のある選択をした、という見方です”

日本を含めた主要7カ国(G7)の首脳は5月8日、ロシア産石油の輸入禁止に取り組む方針を示した。G7首脳は4月にロシア産石炭輸入の段階的廃止なども決めている。ロシアの主要な外貨収入手段であるエネルギー産業に圧力をかける。

米欧からの軍事支援を受けたウクライナ軍の奮闘もあり、戦闘は長期化すると見方も出ている。事態打開に向けてロシアのプーチン大統領は必要に迫られれば核兵器の使用も辞さない構えとも報じられている。

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