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「私は父が、大人の男が声を立てて泣くのを初めて見た」 

”終戦の年。東京でもいよいよ空襲が激しくなった。まだ字も書けない幼い娘を、父親は学童疎開に出す。あらかじめ宛先を書いたはがきの束を渡し、「元気な日はマルを書いて、毎日一枚ずつポストに入れなさい」。向田邦子さんが妹のことをふり返った随筆である”

”初めは、紙からはみ出すほど大きな赤マルが届いた。ところがマルは急に小さくなり、バツに。じきにそれさえ来なくなった。3カ月たってようやく妹が帰ってきたとき「私は父が、大人の男が声を立てて泣くのを初めて見た」”

”送り出される子はつらい。だが送り出す親も、さぞつらかろう。”

能登半島地震で大きな被害を受け、学校再開のめどが立っていない石川県輪島市の中学生401人のうち保護者が同意した約250人が17日、約100キロ南にある同県白山市の体験学習施設に集団避難した。市は避難期間を最大2カ月と見込んでいる。

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