なぜあなたは体を大事にしないのか

妹が妊娠した。

その後家族で集まる機会があって、ワクチン接種の話になった。受けるのも怖いし、受けないのも怖い。さてどうしようかという話になった。

しめっぽくなるのもアレなので、私が「なかなか悩むなあ…もう私も自分だけの体じゃないんでね」とちょけてみると、妹はウケていた。

妊娠でもすれば変わるのだろうが私はけっこう刹那的に生きていて、車の運転とかを割と乱暴にしちゃう。運転とは別だが、先日凍ったリアワイパーを適当に触ったら途中から折れてしまった。

折れたと言っても接続部が取れただけなので再接続可能なのだが、適当に戻して発進してから落っこちてしまっても困る。だから外れたリアワイパーを助手席に乗せてガソリンスタンドへ走り出した。

到着した。こんなことを頼んでもいいのか不安になったが、近くにカーディーラーもカーコンビニもないので、しかたなく店員に声を掛けた。不機嫌に振る舞われるのを覚悟していたが、店員はとても愛想がよかった。私は安堵し、感動さえした。

店員が不愉快な様子も見せずワイパーを直してくれるのを見ながら、私は、こういう瞬間が人生のなかでかなり大きなウェイトを占める、と思っていた。基本的にいやな人ばかり、いやなことばかりの中で、こういう親切かつ押しつけがましくない人がいるという事実が、大袈裟に聞こえるかもしれないが、ほんとうに救いになる。

謝礼金も断られ、私は車に乗り込んで家路についた。もう私だけの車ではないのだから大事に乗ろうと思った。試みにリアワイパーを動かしてみれば、とてもきれいに、視界が晴れる。

ハワイが危機になったらハワイキキなんですかね?