【6分・2人・声劇台本】先生が好きです

男1:女1

【演じる上で注意点】

注釈:以下は、読まないでください。
 () 描写(読まないでください)
 [] セリフ読み方
A 男性の名前を入れて読んでください
B 女性の名前を入れて読んでください

【あらすじ】

教育実習の先生の事が好きな女子高校生、相手にされない事を知りながらデートの約束をこぎつける。そして、2人はデートに行けないかった。その後、大学生になった女子高校生は…

【台本】

男「あれ?まだ、いらっしゃったんですか?」
女「あ!Aちゃんじゃん!」
男「そう呼ばないで、A先生と呼んでください。」
女「先生付ければなんでもいいの?」
男「せめて先生付ければ許してあげますよ」
女「なら、Aちゃん!」
男「それじゃ、変わっていません」
女「いいじゃん。私、Aちゃんの困る顔好きだよ」
男「困らせないで欲しいですけど」
女「てか、居残りなの?」
男「今日は施錠係なので」
女「セジョウってなに?」
男「学校の戸締りです」
女「え、それって警備員さんとかがやるんじゃないの?」
男「警備員さんは、学校自体を守る人で、各教室や職員室の戸締りは先生の仕事なんですよ」
女「知らなかったー。てか、なんで教育実習のAちゃんがやってるの?」
男「別に教育実習とかは関係ありませんよ」
女「でも、昨日は違う先生だったよ?」
男「昨日も残られてたんですか?それなら、しょうがないですね。今週は、佐藤先生の担当なのですが、今日はデートだから変わってくれと言われてしまって」
女「え、なにそれ。職務放棄じゃん」
男「いえいえ。助け合いというやつです」
女「てことは、頼むこともあるの?」
男「それは、もちろん。頼むこともありますよ」
女「え、彼女いたの?」
男「さぁ?どうでしょうね?」
女「えー!教えてよ。私、狙ってるんだから」
男「誰を?」
女「Aちゃんを」
男「言ってる意味がわかりませんね」
女「なんでよ!好きなの!Aちゃんが!」
男「私は先生で、あなたは生徒。それが僕らの関係です。」
女「そんなことないもん。てか!彼女いたの?」
男「まだ聞くんですか?」
女「それぐらい教えてくれてもいいじゃん」
男「いません」
女「よかったぁー。これでライバルはいない…」
男「ライバルがいないとは言ってませんよ?」
女「えっ!まじか…他のクラスでもモテるの?」
男「モテませんよ」
女「なら、大丈夫か」
男「学生ですね。さて、そろそろ帰る時間ですよ?」
女「待って!もう少しだけ話してたい…ダメ?」
男「んー、もう6時になりますからね。なら、あと1つだけ何か聞きたいことに答えましょう。それで今日は終わりです。」
女「聞きたいことかー、考えたことなかったなぁ。
あ!なら、デートしてよ!」
男「それはデートのお誘いという名の質問ですか?」
女「んー、お願い、かな?」
男「それは聞けないお願いですね。せめて、あなたが社会人になっていただかいないと。」
女「なら、待っててよ!」
男「無理ですね。私も、恋人欲しいですし」
女「え~…なんでよ~」
男「それなら、もし第1志望校受かったら、学校でお祝いしますか?」
女「なにそれ!楽しそう!」
男「私が、また施錠係の週にお菓子とジュースで乾杯しましょう。」
女「ほんとに!それ、嬉しい!」
男「いつ合格発表ですか?」
女「えっとね、2月かな」
男「ギリギリですね。私は、教育実習の期間があるので、もしその前に発表が出たら、やりましょうか。」
女「うん!絶対受かる!」
男「それなら、今日は帰って、家で勉強を続けましょう」
女「えー、やだ」
男「そう言われても…」
女「わかった。もう困らせないから、絶対に第1志望受かったら、お祝いデートしてね!」
男「デートではないですが」
女「いや!男女が2人きりで、教室という密室で、放課後の夜にご飯を食べる!これをデートと言わずして、何と言いますか!Aちゃん!」
男「ただのお祝いです」
女「もー、Aちゃんはモテないね」
男「余計なお世話です。そしたら、私は他の教室見にいくので、もう帰ってくださいね。もし、まだいたら、その「デート」とやらの約束は無しです。」
女「まじか!わかった、わかったから!(少し長めの沈黙)
[離れていく際に少し遠くから]
あっ!そうそう、Aちゃんには、言ってなかったけど!私、学校の先生になりたいのー!ばいばーい!」
男「[くすっと笑う] そうでしたか、さようなら」

N「それから彼女は第1志望を受けたが、うまくいかなかった。第2志望の滑り止めの大学が受かり、その発表期間に学校には行けず、Aとは会えなかった。
(少し沈黙)
時は流れて、彼女は大学生として教育実習の場に来ていた」

女「うわ、あの校長まだいたのかよ…」
男「どうも、B先生」
女「えっ!うわっっ!びっくりしたぁ…てか!Aちゃんじゃん!」
男「はい。朝はお疲れ様でした。登壇トウダンしてる姿、かっこよかったですよ」
女「Aちゃん、久しぶりじゃん!ここに来たんだ」
男「はい。今日からは、Aちゃんではなく、A先生でお願いします。今では、もうA先生で通っているので」
女「えー?もうAちゃんって呼ぶのに、なれちゃったしなぁ」
男「ダメです。」
女「あのさ、その、ごめんね?」
男「何がですか?」
女「ほら、私第1志望行けなかったから…一緒にパーティーできなかったじゃん?」
男「あー、確かにありましたね」
女「忘れてた?」
男「いいや、忘れてはいませんよ」
女「だよね」
男「はい。それでも、受験生を責める事は誰にもできません。特に私はあなたが頑張っているのを知っていたので」
女「Aちゃんっていつも優しいよね」
男「そうですか?」
女「いや、自覚してないの!驚きだわ」
男「それより、私には敬語でお願いしますよ」
女「え?あ、そうか。今は、先輩なのか」
男「はい。」
女「わかったよ。A先生?」
男「はい。それで、お願いします。」
女「じゃ、私、そろそろ行かないとだから」
男「そうですね。実習生は忙しいですからね。」
女「うん」
男「あ、それと…
もし、よかったら一緒にお祝いします?」
女「なんの?」
男「受験のお祝いです。私は、なにより受験のお祝いだけで十分だったんですよ。第1志望は、今となれば、実はどうでもいいことですから。」
女「ほんとに?」
男「はい。受験とは、誰かが定めた問題を解けたというだけです。実際に大切なのは、しっかりと未来を見て、生きていく。それだけです。」
女「うん」
男「私は、それを伝えたい教師です。今度、ご飯行くときにB先生の教師像を教えてください。」
女「てか、Aちゃんに、名前呼ばれるのって今日が初?」
男「そうかも、しれないですね。それより、A先生ですよ」
女「はい!じゃ、私行くから、あの約束忘れないでね!」
男「わかりました。…
行ってしまいましたね…。
本当は、ずっと呼びたかったですよ。Bちゃん」


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