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【徹底比較】AI論文検索ツールはPerplexity AI,Elicit,Consensus,ChatGPT(GPTs)どれを使うべき?

ChatGPTを提供するOpenAIの凄まじいAIビックウェーブに乗るかのように、現在AI機能が搭載された便利ツールがさまざま出てきています。
その中でも今回は「論文検索に特化したツール」について、徹底的に比較してみました。
代表的な4つのツール、Perplexity AIElicitConsensus、GPTsを比較しています。
「AIツール使ってみたいけど、たくさん種類があってよくわからない…」
「結局どれがおすすめなの?」
こんな方はぜひご覧いただき、参考にしていただければと思います!

そもそもAIは正しく論文検索できるのか?

このような記事を読んでいただいている皆さんは、こうしたことを聞いたことがあるのではないでしょうか?

”ChatGPTに聞くと、架空の論文を出してくる”
”AIで検索しても本当かどうかわからないし、嘘をついているかもしれない”

私も数ヶ月前まではこのように考えていました。
しかし残念ながらこれは事実です。
実際に無料アカウントでChatGPTを使うと、"GPT-3.5 turbo"というモデルが使用できるわけですが、ここで論文検索すると上記のような事態が発生します。
理由は、GPT3.5の学習に使用されたデータが2021年までであるといったことに加え、そもそもGPT3.5がWebを見に行く機能を有しておらず、「それらしい文章 ≒ 論文タイトルっぽい文章」で回答を作成してしまうからです。

論文検索に特化したAIツール

先ほどお伝えしたChatGPTでの失敗例は、そもそもWebから検索していないことが理由の一つでした。
そんな中で、論文を「Webから検索」するAIツールがいくつか出てきました。(朗報ですね)
検索データベースはさまざまですが、架空ではなく現実の論文を提示してくれます。

論文をピックアップしたいか、Questionに対するAnswerをおおまかに知りたいか

使用したいAIツールを選ぶときに重要な視点が1つあります。
それは、あなたが"論文だけ"に情報を求めるのか、Web上のデータ全体から"論文も交えた"情報が欲しいのか、といった視点です。
下記にも書きますが、Perplexity AIとElicit、Consensusでは、「検索をする」という手順は同じですが、目的が全く異なります。

そのため、AIツールを使って調べたいと思った後に、
①該当する論文をヒットさせたい
と思ったら「Elicit」か「Consensus」を
②エビデンスも踏まえた回答が欲しい
と思ったら「Perplexity AI」を
③検索結果から一つの論文に対して深掘りしていきたい
と思ったら「GPTs」を使用しましょう。
これだけでも把握しておけば、ツール選びに迷うことは無くなります。

代表的なAIツールの特徴と比較

それでは実際に一つずつツールの特徴を見ていきながら、各ツールが最も活躍できる場面などを考えていきます。
※あくまでも個人的な意見ですので、必ずしも用途がそうと決まっているわけではございません。また、アップデートにより機能が変わることがしばしばありますので、最新の情報を確認してください。(2024年1月現在)

Perplexity AI

Perplexity AI「エビデンスを踏まえた回答を生成するAI」で、論文の情報も交えながらQuestionに対する要約を答えてくれます。
アカウントを作成すれば誰でも無料で使用することができ、有料プラン(Pro plan)にするとGPT-4やClaude 2.1などAIモデルを最新にすることができます。
Perplexity AIの検索元は明記されていませんが、おそらくWeb上にあるデータから引用してきていると思われます。
そもそもPerplexity AIのコンセプトが、「広告が主となっている現在の検索から欲しい情報にフォーカスしやすくする」といったものですので納得です。
使用画面はこんな感じで、Googleの検索と同じように使用できます。

Perplexity AI画面①

Perplexity AIはどんな検索に特化するかを指定でき、その中で"Academic"を選択することで、論文に特化した検索ができます。

Perplexity AI画面②

日本語、英語ともに使用可能な点も嬉しいところです。
しかし注意すべき点としては、日本語で検索すると日本語の論文が、英語で検索すると英語の論文がヒットするので、英論を探したい時は英語での検索が必要になります。

検索結果はこのように、サマリー(要約)にして提示してくれます。

Perplexity AI 検索結果

引用元もワンクリックで飛べ、引用を元にAnswerを答えてくれます。
しかし、この引用元には論文だけでなくブログ記事も混ざっていることもあります。
そのため、個人的なPerplexity AIの使い所は、「ざっくりと概要を知りたい時」が良いかなと思います!

Elicit

Elicitはまさに「論文の検索に特化したAIツール」で、Semantic scholar という検索データベースから論文をピックアップしてくれます。
Open accessの論文だけでなく、データベースにある論文なら引用してくれます。
ピックアップだけでなく、Questionに対するサマリーも作成してくれます。
Elicitも先ほどと同様に無料でアカウント作成し使用することができます。
使い方としては、creditを消費しながら検索するという形式です。
creditを消費仕切ったら課金してcreditを補充する必要があります。
検索画面はこんな感じ。
ちなみに、論文検索は2 creditsを消費します。

Elicit 画面

検索結果はこのように表示され、下には引用元の論文リストが提示されます。

Elicit 検索結果①
Elicit 検索結果②

Perplexity AIと異なる点は、 引用元が”論文のみ”という点です。
そのため、Elicitは「知りたいことに近しい論文が欲しい」ときに非常に活躍してくれます!
また、下の論文リストでは、その論文から欲しい情報をどんどん列に追加することができます。
デフォルトではAbstract summaryのみです。(追加例:結果、アウトカムの種類、介入、限界、資金提供源などなど)
自分好みにカスタマイズすることで、先行研究レビューが効果的に進むこと間違いなしです。

Consensus

ConsensusはElicitと同様に、Semantic scholar を元に検索してくれるツールです。
特徴としては、「検索結果からConsensus(合意)を提示」します。
合意?と思われた方は、使い方を見ていただければよくわかります。
まずこのような検索窓にQuestionを入れるスタイルですので、これまでのツールと同様の使い方です。

Consensus 画面

ここに、Yes/Noで答えられる質問を英語で書いてみます。
今回は、「HFpEF患者に対する有酸素運動は、運動耐容能の改善に効果がある?」と質問してみます。
すると、このようなサマリーの横に、Yes/ Possibily/Noというメーターが出てきます。

Consensus 結果画面

今回の質問に対しては、「10編の論文をサマライズした結果、100%でYes(=有酸素運動は運動耐容能の改善に効果的)」との合意が得られました。
Elicitでは論文のサマライズとリストの提示を行ってくれましたが、Consensusでは論文の結果がPossitiveかNegativeかを判断した上でサマライズしてくれます。
これは個人的にかなり面白いと思います。(ただ結果の解釈にはご自身で責任を持ってくださいね)

GPTs (課金版ChatGPT)

最後にChatGPTの課金版、proプランで使用できるGPTsをご紹介します。
GPTsとは、自分好みにChatGPTをカスタマイズできる、オリジナルChatGPTを作れる機能のことです。
そのため、論文検索に特化したGPTsをご自身で作成することも大いに可能です。
ただやはり、すでにあるツールを使うのが安心ですよね。
個人的には、さきほどのConsensusを提供しているグループが公式で作成しているConsensus、またはScispaceという名前のGPTsがおすすめです。

一方で、GPT-4のBrowsing機能を使えばChatGPTでの論文検索も可能です。
ただ、いちいちプロンプト(指示文)で「論文を参照して合致するものをリスト化する」などの文章を入れなくてはならず、出力結果もばらつきがある場合が多いです。
そのためある程度型が決まった形で検索できるGPTsがおすすめになります。

GPTsを検索以上にうまく使う方法としては、Chat機能を活かすという点です。
さっきまでのツールと同じように論文を求めた後に、「もっと詳細に教えて」と問いかけてみます。
すると、このようにChat形式ならではの深掘りができちゃいます。

GPTs対話場面

論文検索から情報収集までかなりスムーズに進められますので、上級者の皆様はぜひGPTsを活用してみてください!

【結論】何をしたいかで使うべきツールが決まる

いかがでしたでしょうか?
さまざまな論文検索のAIツールがあり、一長一短といった特徴を持っています。
これらの特徴を把握しておくと、使いたいときに最適なツールを選択することができます。
「このAIツールが一番良い!」
ということは現状ないと私は思います。
しかしこれらの良いところがまとまったツールが出てくるのも時間の問題かもしれません…
常にアンテナを張っておきながら、良さそうなものはどんどん使ってみてまたこちらでレビューしてみたいと思います。

長くなりましたが、最後までご覧いただいてありがとうございました!

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