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【中国軍事動向】チベットの軍用飛行場でUAVやMi-17ヘリが衛星写真に映り込む:拡張工事で対印作戦能力が拡充

   衛星画像ウォッチャー「d-atis☠️@detresfa_」は9日、Twitterでチベットのラサ郊外を飛行するMi(ミル)–17多目的ヘリやUAVなどが映り込んでいるとしてチベットのラサ市郊外の軍用飛行場の衛星写真を公開した。

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  この飛行場はチベット自治区のラサ市郊外、トゥールン・デチェン区に位置しており、チベット軍区傘下の陸軍航空兵部隊・第85陸軍航空兵旅団の基地である。陸軍であるから固定翼の戦闘機や輸送機の航空機というよりも、回転翼のヘリ部隊を運用する基地なのだ。

 この飛行場は昨年の前半に滑走路の延長や格納庫の増設などの改修が行われており、衝突の起きた6月にはすでに拡張工事が済んでいた模様だ。

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  Mi-17 ヘリ(NATOコード名「Hip-H」)は元はソ連が研究開発をしたミル17ヘリで主として輸送に使われるヘリである。チベットの各基地や駐屯地に物資を輸送する目的で運用されているとみられる。チベット軍区だけでなく、新疆軍区でも4000〜6000mの高原で運用されている。中国には現在、6つのバージョンのMi−17ヘリが運用されていると言われる。

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  中国は保利公司を通じて3回にわたり、90機近くを輸入したと言われている。機体を運用するのは陸軍航空兵のヘリ部隊であるが、特殊部隊隊員を載せて空挺作戦を行うこともあるようだ。

     チベット自治区と新疆ウイグル自治区はその特殊な地政学的な状況から軍内部でもその地位は突出しており、中国を地理的に東・西・南・北・中部の分けた5つの戦区には所属しておらず、陸軍司令部に直接所属し、副戦区級という戦略的に高い地位にある。つまり湖北省軍区や遼寧省軍区というような、省や自治区に置かれる省級軍区より格上なのだ。そのため戦区に置かれた機動部隊を指揮する集団軍と同じように傘下には数千人の兵士からなる旅団を有しているわけだ。

 話を戻すと、今回衛星写真でキャッチされた軍用飛行場は固定翼機ではなく、回転翼機であるヘリを運用する部隊の基地であるが、滑走路の延伸や格納庫の建設が何を意味するのか、正直よくわからないが、増設された格納庫はヘリ24機分とみられる。少なくともこうした飛行場の拡充はヘリやUAVの拡充で作戦能力が向上していると断定して良いだろう。

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 少なくとも今回の衛星写真が示すようにUAVの運用まで始まっており、戦争の最前線と位置付けられ、最先端の兵器装備のテストの場となっているようすもうかがえ、引き続き要注目である。

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