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今日も僕は爪を塗る

他人の期待に生きてきた。
波風立てないように、道を外れないように、真面目に、きちんとしてきた。

上手くできていた方だと思う。

その努力は自分のためではなかったかもしれない。
期待してくれる他者に向けられた努力だった気がする。

それで成功してきたものだから、自分に向けた努力の仕方が分からない。
自分のためにどう頑張ればいいのかよく分からない。

いま僕は人生の岐路にいる。
組織に属する、独り立ちする、あらゆる可能性が目の前にある。
でもどれを選べば正解なのか分からない。選んだものを正解にする努力の仕方が分からない。

そもそも正解とは何なのだろうか。
それも他人に依存してきた気がする。

どうすればいいのだろう。どうすれば、自分の中の正解に向かって、自分のための努力ができるようになるのだろう。

この「自分に向けた努力」は、今の僕には爪を塗ることかもしれない。

キワまで綺麗に、ムラなく、先端から。
何度も失敗しながら、それでも最近は少し上達してきた。

爪を塗り始めたのは、些細なきっかけからだったと思う。
ちょうど認知行動療法を学んでいたときに出会ったストレスコーピングを言い訳にして、試してみたような気がする。

爪を塗るなんて、誰から期待されているものでもない。
上手く塗れたからといって褒められるものではない。

でも、上手く塗れたら自分が嬉しい。気持ちが晴れる気がする。それでいいのだと思う。
そうやって自分のための努力を少しずつ学んでいけばいいと思う。

そうすればそのうち、自分に向けて努力する生き方に成長するかもしれない。
爪先だったものが全身に広がっていけば、それで満点だろう。

だから今日も僕は爪を塗る。

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