国道16号線は日本人である。
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国道16号線は日本人である。

ウィッチンケア、

という、とっても楽しい

雑誌があります。

小さな小さな雑誌で、yanaboのおともだちの

多田洋一さんが主宰しています。

ウィッチンケア、最新号がこの4月、発売になりました。

イケてる本屋さんに置いてあります。

アマゾンでも売ってます。

http://witchenkare.blogspot.jp

で、このウィッチンケアの最新号、

yanaboも文章を寄せております。

多田さんのご厚意で、その原稿をnoteで公開することにしました。

実験的に「有料」にしてみます。

タイトルは

「16号線は日本人である」。






16号線は日本人である  序論                
                            yanbo

 

 人間の「文明のかたち」を規定しているのは、「地形」である。

 『銃・病原菌・鉄』で看破したのは、生物学者にして人類学者のジャレド・ダイアモンドだった。 

 現世人類はアフリカで誕生した。

 およそ20万年前。

 アフリカを出て他の大陸へ進出を始めた。それが8万年前。

 つまり、現世人類が一番長く過ごした場所は、生誕の地であるアフリカ大陸なのである。
 けれども、その後、文明が発達し、現代に至る経済成長の中心となったのは、“わずか”数万年前に人類が移住したヨーロッパと東アジアであった。

 なぜ、アフリカでなく、ヨーロッパと東アジアで?

 この疑問に対しては、人種の優劣を問う話がずいぶんとあった。学者を含めて。

 が、ダイアモンドは、違う答えを導き出した。

 地形である。

 アフリカは「南北」に長い。南北に長いということは、地域が変わると気候がどんどん変わってしまう、ということである。地中海性気候、砂漠地帯、ステップ、サバンナ、熱帯雨林……。

 このため、アフリカでは、同じ穀類、同じ作物を大量生産するのが難しい。気候が違うのだから、適した作物も当然異なる。事実、アフリカではいまだに穀物の大量生産に成功している地域がほとんどない。

 一方、ヨーロッパと東アジアの地形は「東西」に長い。しかも大半が温帯である。このため麦やコメなどの穀類を大量生産するのに向いていた。

 巨大文明を構築するには食料の大量確保が必須である。人類発祥の地であるアフリカが文明の担い手となれなかったのは、ひとえに「地形」的「地理」的な条件が、巨大文明が発達するのに向いていなかったから、というのがダイアモンドの指摘だった。

 「地形」が「地理」が、その土地の人間の暮らしを移動を食を規定し、ひいては、文明の、文化の「かたち」を規定する。

 この視点を手に入れたとき、それでは、日本の文化文明を規定した「地形」は、はたしてどこにあるのだろうか?

 国道16号線である。

 東京の中心部からほぼ30キロ外側、東京湾をぐるりと回った環状線。

 三浦半島からはじまり、房総半島で終わる。最後の数キロは東京湾上を渡る。橋はない。代わりに、カーフェリーが三浦半島側の久里浜と房総半島側の金谷を結ぶ。

太平洋に道を開いた馬蹄形の半環状線。この国道16号線の「かたち」こそが、いまの日本の文明、文化のかたちを規定した。

 ほんとである。1万年ほど前、関東に最初の人類がやってきてからこっち、つまり、日本人ってやつができてからこっち、この16号線のかたちは、「このくにのかたち」でもあったのだ。

 そもそも16号線とは、何か。

 道路である。

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国道16号線は日本人である。

柳瀬 博一

300円

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東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授(メディア論)浜松出身。慶應大学経済学部卒。日経BP社で記者、書籍編集、広告Pを経て現職。NPO小網代野外活動調整会議理事。「ラジオNIKKEI」「渋谷のラジオ」出演。『国道16号線』(近刊)『混ぜる教育』『「奇跡の自然」の守りかた』など