映画好きになったきっかけって・・・
なんだっけ??
と考えてもはっきりこれと思い出せない。
しかし、なんとなくあれかも、というのは・・・ある。
21歳のとき、大学に通うため、田舎から出てきて都内で寮生活をはじめた。
そこで3つ上の先輩と仲良くなり、勧められた映画があった。
「ピンク・フラミンゴ」だ。
まだそれまで意識して映画を観るということをしたことがなかった。
ただロードショーでやっている映画を観る、その程度だ。
有名なハリウッド映画、ジブリ作品、それくらい。
田舎の映画館に何かを観たいから出かけるというようなことはしていなかった(今思えばこれはやっておきたかったと思う)。
そんな程度のやつに、いきなり「ピンク・フラミンゴ」を勧めたこの先輩は、相当な重罪だと思う(今思えば)。
ヘタすると、グレてしまった可能性だってある。
ジョン・ウォーターズという奇天烈な映画監督がいる。
先の「ピンク・フラミンゴ」という作品を撮った監督だ。
いわゆる「悪趣味映画」といわれる類なのだが、「誰が一番下品かを本気で争う」というまったくもってしょうもない内容の映画だ。
自身の「BEST GEHIN HUMAN」のタイトルを守るため、挑戦者の「GEHIN YAROU」たちと決闘をしていくのだ。
そして主役は、いまでは認知度があるが当時はほとんど知られていなかったであろうドラアグ・クイーンの「ディヴァイン」という人。
この人が本当にヤバイ。
内容もさることながら、この人のビジュアルに当時とてつもない衝撃を受けたことをよく覚えている。
このディヴァインと下品決定戦でグレなかったのは、自分にそれなりに耐性があったからなのかもしれない。
なぜなら、このあと、カルト映画やゾンビ、B級作品にのめり込んでいくからだ(映画の趣向的にはグレてしまったのかもしれないが)。
そして、昨年ジョン・ウォーターズ監督の日本初公開作品が上映された。
「ピンク・フラミンゴ」より以前に制作された、「ピンク・フラミンゴ」よりヤバい作品だ。
「マルチプル・マニアックス」(1970年)という作品なのだが、「ピンク・フラミンゴ」が2022年に公開50周年を迎えることを記念したもので、やはりディヴァインが主役だ。
まさか劇場のスクリーンでディヴァインを観れる日が来るなんて!
もうハチャメチャだった、意味が分からない、狂ってる・・・最高だ!
こんなものを20代で編み出すなんてとんでもない監督だ。
これまでいろいろな映画が自分に衝撃を、影響を与えてくれたが、やはり「ピンク・フラミンゴ」が発端になっていると考えて間違いないだろう。
あの時の先輩にはやはり感謝しないといけない。
そうでなければ、今でもハリウッド大作やメジャーなアニメ映画しか観ない人間になっていた可能性があるのだから。
これでいつ「お下品大戦争」が起きても驚かない、ぞ!
#映画にまつわる思い出