手っ取り早くうっとりしたいなら
こどもの頃からの夢を叶えて仕事にしている人を見ると、羨ましく思う時期があった。
どうして羨ましく思っていたのだろう。
たぶん、仕事している間も「夢叶えたんだー」と夢見心地で充実感満ち満ち状態なのが羨ましかったんだ。
実際そう満ち満ち状態なのかは人それぞれだし、なんともいえないけれど。
私、うっとりした気分に浸るのが好きなんだ。
今は私は夢を叶えているわけではないけれど、まるで夢を叶えたかのような、うっとりした気分に浸ることはできる。
うっとりするのはどんな時、と考えみた。
肌触りのいいタオルに頬を当てたとき。
いい香りがしたとき。
柔らかい笑顔の人を見たとき。
幻想的な世界に触れたとき。
そういえば、詩集を読むと、手っ取り早くうっとりできるなと思い出して、竹久夢二の詩集を取り出した。
手紙
赤いインクの手紙です
あたしへあてた手紙です
誰にも見せない手紙です
よんだらやぶく手紙です
でも
やぶきたくない手紙です
『少女の国』昭和二年七月号
繊細な男の人だよな、こんなチクチクする詩はなかなか書けないよ。
うっとりするつもりが、思いのほかキュッとしてしまった。
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