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「ポジションサイズ」 ③ 市場サイクルとポジションサイズ

市場サイクル

相場の方向性は、赤で表現される長期的なトレンド(secular)と青で表現される短期的なサイクル(cyclical)に分かれて推移している。secular bull cyclical bullは皆が幸せ、secular bear cyclical bearは悲惨である。

相場には、強気相場と弱気相場があります。強気相場はBull Marketとも呼ばれ、数ある銘柄の株価が上昇し、高値を更新していきます。一方弱気相場はBear Marketと呼ばれ、多くの銘柄が安値をどんどん更新していき、高値を更新することも困難です。この強気相場と弱気相場は、長期的なトレンド(secular)と周期的なサイクル(cyclical)にさらに分類することができます。これらは、強気相場(または弱気相場)で起きた株価上昇(下落)の程度と期間でおおまかに分類されます。2022〜2023年の弱気相場は、その最大下落率と期間から、長期的な強気トレンドの中の周期的な弱気相場(secular bull cyclical bear)と表現されています。

利益の見通し


横軸はリターンの程度、縦軸にそれがおきる確率で利益の見通しの散布図を作成している。

上の図は、月並みの状態での投資利益の確率の散布図です。リターンの程度を横軸に、確率を縦軸にあてたものですが、ローリターンのものは確率が高く、ハイリターンの確率は低くなっています。


強気相場での利益の見通しは、散布図がリターンの高い方に偏位する。この時は、何をやっても成功する可能性が高い。ハイリスクハイリターンでも成功する可能性は高くなる。

強気相場の時は確率分布は右に移動し、利益が増大する可能性が高くなり、減少する可能性が低くなります。つまりハイリスクハイリターンの投資も成功しやすくなります。2020〜2021年の$ARKK、ならびに仮想通貨が代表例です。“Easy money environment” は、数ある銘柄の80%が高値を更新し続けていく、強いbull環境のことです。そんな素晴らしい環境時は、積極的になるとパフォーマンスがあがります。Position sizeを最大まで高める、ハイリスクハイリターンの投資に手をだす、または信用取引でレバレッジをかけてもいいと思います。


弱気相場での利益の見通しは、散布図がリターンの低い方に偏位する。この時は、自分のポートフォリオのポジションを小さく保つ、またはローリスクローリターンのものを選ぶ必要がある。

弱気相場では、逆に確率分布が左に偏位し、大きな利益を得る可能性は低くなり、減少する可能性が高くなります。特にグロース株では、株価が50%〜80%も下落することは稀ではありません。実際、2022年は厳しい環境で、$ARKKを初めとするハイグロース株は軒並み大きくやられました。“Hard penny environment” とは、多くの銘柄がどんどん安値を更新していき、一部の銘柄の値動きが良くて株価が上昇しても、新高値を更新したかと思ったらすぐに下げて新高値更新が続かない環境で、“poke and squat” や “pop and drop” な環境とも言いますが、弱いbear環境のことです。そんな環境時は、positionを無〜低く保ち、新規買いは極力控え、買ったとしてもposition割合は少なめ、さらに利益を得ても小さい利益で満足し小さく利確していく必要があります。

参考:
Howard Marks「市場サイクルを極める」 
Jeffrey A Hirsch「アノマリー投資」
Youtube “Mark Minervini Market Analysis -11/19/2022” 

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