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管楽器とコロナのこと③

久しぶりの生演奏

先日、高校の吹奏楽部の保護者説明会&ミニコンサートに行ってきました。2年間まともに人前で演奏ができていないことを思えば、若さに満ち満ちて、時おりコップの淵からこぼれそうになるのも已む無し、という感じで楽しませてもらいました。
当然、保護者側はマスク着用、生徒も演奏中は仕方のないものの曲中や司会で声を出す場面ではマスクをつける、会場は小さめの体育館ではあるものの窓は全開(ご近所の方のご理解ご協力に圧倒的感謝)…と現状で考えられる限りの対策をしていました。
もちろん、いわゆる"三密"の定義で言えばすべてをクリアしているわけではありませんでしたが、ある程度の落としどころではあると思います。(三密という言葉が一人歩きしているように感じていて、あまり好きでは無いのですが、それはまぁ置いておいて…)

三密
首相官邸HPより

ご存知の通り、この3ヶの条件って、1ヶだけでもクラスターが成立することはあり得るし、『3ヶよりは2ヶ、2ヶよりは1ヶ、できれば0が良いよね』という往年のアニソン(世代…)の逆をいく条件の様ですが、私はこれが社会全体にも当てはまるんじゃないかと思っています。

集団免疫的感染予防

子どもが今しかできないことの為に、1密にはなってしまうんであれば、周りの大人はその分リスクを下げるために0密を目指すべきなんじゃないでしょうか?
プロが安心してライブをする為に、観客はライブの前後は感染につながるような活動は慎んで、心からライブを楽しんだらよいのでは?(『イベントは直行直帰で』みたいなのもありましたね)
要は世の中のどこかに0密が無理で、1密、2密な場所があるのなら、その周囲を0密にしてやって、集団免疫の様に少しでも広げない努力をすればいいのにと思います。
残念ながら、世の中的には平等信仰というか『プロがやるんだった俺たちも』『中高生ができるなら一般だって』という、どちらかというと逆方向にベクトルがかかりがちなようです。
『大人が呑み会をやっているので、給食の黙食もそろそろ…』とかどこかの知事がのたまってましたが、むしろ『子供が守っていることを大人ができないなんて恥ずかしくないんですか?』と言うべきかと。
コンクールとかも、生演奏は中高、ギリギリ大学くらいまでにして、一般は録音審査にすればいいのに、何故か一律で解禁にしちゃうんですよね。

引く時は引け

あと、正常性バイアスとサンクコストが絡み合った結果、引くべき時にスパッと引けないのも大人としてどうなの?と思います。私が辞めた楽団はかなり初期に感染者を出して、複数の濃厚接触者をだしてしまったにもかかわらず(幸いにもクラスターにはなりませんでしたが)演奏会を強行することで『音楽はコロナなんかに負けない』とでも言いたげな、自己陶酔に陥ってしまっているような状況でした。
確かに一般の楽団だと1年に1回か2回の定期演奏会、そのためにかけた時間、費用、情熱…etc、またそれぞれの事情で『次の演奏会が最後のメンバーが…』という話もどこにでもある話で、実際に悔しい思いをしながらこの2年間を過ごしていた方もたくさんいらっしゃるかと思います。
そんな中で私が少々驚いたのがこちらの楽団。

2022.1.23、丁度、関東地方に最後の蔓延防止等重点措置がでた直後が演奏会という非常にタイミングの悪い、ただ、無理すれば何とか…と思っちゃいかねない時期ですが、なんと3日前に中止を決定、チケットの払い戻し等も行われたようです。
一般の楽団って通常、週末しか活動していないのに、なかなかできることではないと思い、誠実さと勇気に改めて心より敬意を表します。このような考え方がもっと広まれば良いのになぁと思います。

再開できる日を心待ちにもう少し

100人いれば100通りの今しかできないことや、今しか行けない場所があり、好きなことにそそぐ情熱、文字通り寝食を忘れて取り組んだり、仕事そっちのけで楽しめることを持つことは、とても素敵なことだと思います。
ただ残酷なことに、そのことと我々の趣味(演奏スタイル)がこの感染症に対して圧倒的に不利なことは、全く無関係です。
(個人的には弦やピアノの方はマスク着用で好きなだけ演奏すればいいと思うんですが、不思議なことにこれもマスク外しちゃう人が多いんですよね…)

そりゃあ、おそらくそう遠くない先にフルスペックで解禁する日が来ると思いますし、来て欲しい。でも、それはバイアスのかかった願望や、自分や他人の命を掛けて行うギャンブルではなく、科学的知見をコツコツと積重ね、優先順位を誠実に適用していった先にこそ、到達できる心から安心できる明るい未来だと思います。
それまでに別のものが蔓延しないことを祈るのみですが…

私はそれまでは、もうしばらくこの2年間やって来たことを続けていこうと思います。3回にわたって愚痴を書いて少し考えもまとまったようなので、次からはそんなことを書いていこうと思います。

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