俺の青春マジ芥かよ

「彼女が欲しいよお」
Aは本当に心底彼女が欲しかった。一度も彼女というものができたことのない彼にとって"彼女がいるという状況"そのものが神聖化しつつあり、またそれが彼の”彼女がいるという状況”に対する好奇心を一層掻き立てていた。
それでいて恋愛はしたことがあるのでそれをひそかに自分の自負にしている。すぐ彼女ができる奴はきっと大した恋愛はしていないだろうという勝手な偏見もあってそれなりにひねくれた根性を持っていた。
Cは少しその話題に飽きを感じているのか、その話題を続けるAををなじったがAはといえばもう青春の情熱を彼女という未知の存在への愛情として傾けたいという気持ちでいたので、
 「恋愛以外に青春の情熱を傾ける先があるか?」
そう切り返すとCは部活やら勉強やら繰り出してくるわけだが一向にAは乗り気でない。
 「おれ帰宅部だし、勉強は絶対向いてない」
 「友達と遊ぶ」
 「何して?」
 「カラオケとか、ゲーセンとか、、、知らんけど」
 「俺たちって全然遊ばないじゃん、あいつは金ないっていうしお前は時間ないっていうし」
Bは家が貧乏なのかAは彼の事情をよく知らなかったがとにかくAやCの遊びの誘いを金がないということでよく断っていた。
そういえばCはなにを忙しくしているのだろうか、そう思って聞いてみると、
 「勉強」
 「ずいぶんまじめだね」
 「それくらいしかする事無いってのはある」
  「勉強かあ、向いてないんだよなあ。続かない」
 「進学どうすんの、就職?」
 「専門」
実のところAは大学に行くことも考えていたが後で恥をかくのが嫌なのでとりあえず進学先を聞かれれば専門学校に行くと答えていた。
 「現実的かも、お前にとっては」
 「俺ぁ現実主義者だからな」
 「夢とか希望とか、、、俺にも無いか、。」
 「俺はロマンチストでもあるぞ、
 いつか起業して世の中もっと面白くしてやる」
 「ご立派ご立派」
ふとBが遅いことをいぶかしんだがCは取り合わない
 「そんなもんでしょ」
 「ひーま、マジで」
とうとうAも話すことがなくなってツイッターをつらつら見はじめた。
するとBのつぶやきを見つけた。
 「あいつ、なんか呟いてるぞ」
 「どれ、、、。ふへっ、しょーもな」
 「(笑)多用しすぎだろ、おっさんか」
おりしも、やおらAの腹が鳴った。
 「飯、食うべ」
 「おう」
二人してようよう飯を食べ始めるとBが相変わらず寒い寒いとぼやきながら片手にさっきは持っていなかった大きなコンビニ袋を下げて帰ってきた。
 「よう、今帰った」
 「何買ってきたのさ、そんなに大きい袋」
 「景品あてた」

続く、、、

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