見出し画像

痴漢について

痴漢等に関して、女だけに自衛を求めるな、男にも言え、という意見がある。
なぜ被害者が更に犠牲を払わねばならん、という怒りはもっともである。
しかし、女性は全員被害者になりうるのに対し男性で加害する人はせいぜい1%とかであるので、「無関係な人の損害を最小限にする」という観点からは中々浸透しないだろうなと思う。

人間、当事者意識がないと動けないものだ。「あなたが被害に遭う可能性があるから気をつけてね」というのと、「あなた自身は違うけど、あなたと同じ属性の人が加害することが多いからあなたも色々我慢してね」というのでは、前者の方が圧倒的にモチベーションとして強い。後者は「知らんがな、なんで俺が」という感じだ。割を食わされてる感がすごいので、余程の聖人でない限り多少はむっとするだろう。

こう書くと、「そもそも女性であるだけで被害者になるという不均衡を是正すべきで〜」という反論が予想される。まぁそれはその通りなのだが、かといって大多数の普通の男性に理不尽を強いても解決は遠のくばかりである。

だから結局、被害者側に働きかけようとなる。その方が自然だしめんどくさいことにならないから。残念だけど仕方ない。
ノットオールメン云々言っている人は、さすがに感情を軽視しすぎていると思う。

もし声を上げるなら、全員で同じ方向を目指せる内容がいいのではないか。
女性に向けた「痴漢に気をつけて」はほぼ意味がなく(よく言われる服装等は“痴漢神話”であり関係ないことが多数の研究から明らかになっている)、また男性に向けた「痴漢するな」も、ごく少数の該当者には響かない一方で、まともな男性にとっては悪者扱いされるようで薄らヘイトが溜まり良いことがない。「痴漢は許さない、見つけたら皆で一緒に通報しよう」というベクトルが最も分断を産まず抑止力にもなるような気がする。

強硬な手段でもって進む改革もあるのかもしれないが、2000年代初頭に導入されてから未だにSNSで連日火種となっている女性専用車両を見るに、この問題は相当根深く、今のまま突き進んでも悪化する一方であろう。
一旦、銃を下ろして、落ち着いて、真の敵は誰なのか考えた方が良い。

(最初はつぶやきのつもりでしたが、思いの外筆が進んだので記事にしました。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?