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【ポケカ】ワイルドフォース/サイバージャッジ 見どころ紹介


ケルディオ

水面の表現がすごすぎる

掟破りのカード。
ケルディオはこれまで、「『しんぴのつるぎ』または『かくごのつるぎ(GX)』を持っているときだけかくごのすがたで描かれ、そうでない時はいつものすがたで描かれる」という鉄の掟を守ってきました。

この掟は絶対であり、たとえ聖剣士が勢揃いしたデザイナーズコンボの中核であっても該当する技を持っていないためにイラストは いつものすがた であったりしました。

うおおフォーアズワン!!(覚悟は決まっていない)いやまあ聖剣士の映画でも大事なのはかくごのすがたになることではなく剣の重さを知ることだったが……。

ところが今回のケルディオは何の変哲もない技を2つ持っているだけなのにかくごのすがたで描かれており、明かにルールに反しています。何か急なテキストの変更があったのか、流石にこのルール無用の長物だろとなったのか、「アクアブレード」ってもう「しんぴのつるぎ」みたいなもんだしかくごのすがたでいいだろとなったのか、
それとも、

----(ここから長いので飛ばして大丈夫です)----

本編においてバージョン限定ポケモンのパラドックスが反対側のバージョンで出現することを反映して未来聖剣士に対応させる形で古代側のパックにケルディオを収録したもののゲーム上の問題でしんぴのつるぎやかくごのつるぎは持たせられなかったが、しかし聖剣士を思わせるカラーの入ったかくごのすがたをイラストにしたかった(じゃあサイバージャッジにはホウオウがいるべきでは?となるが、これに関してはポケカにおいてのホウオウのトリオマスター(ポケモンwikiでしか見ない用語)としての立場の薄さ、ホウオウというポケモンのカードの出しにくさ等を論じる必要があり、いちいち述べるには余白が狭すぎる)のでしょうか。

----(ここまで飛ばして大丈夫です)----

真実は闇の中です。これに関してはインターネットの皆さんの判断サイバージャッジに任せたいと思います。

リキキリンex/ウミトリオex

「テイルアーマー」の効果の元ネタは、本編において同じく先制技を防ぐ「ファストガード」でしょう。XYBREAKで登場してSMでも一回拾われた技です。

チョイスに謎の納得感がある

たねポケモンは早く技を撃ちやすいですし、確かに先制技と似た性質があります。本編との噛み合いもしっかりできています。納得感に溢れたカードですね。タイプ以外は。どういうことか説明します。

さて、「シャイニートレジャーex」までの不一致テラスタルにはある程度の法則がありました。復習しておきましょう。

  1. テラスタイプは元のタイプと相性の補完ができるようになっている(例外: なし)

  2. SV初出のポケモンは不一致テラスタルにならない(例外: ラウドボーン、クエスパトラ)

  3. 特性や技の名前にテラスタイプを思わせる言葉が入っている(例外: クエスパトラ)

  4. 色拘束がやたら濃い(無色要求を全くしないわけではなく、定量的な議論はめんどい。本記事では無視する)

うち1. はまさにポケカにおけるテラスタルの存在意義とでもいうべきルールです。2. とそれを破り最初のパルデア産不一致テラスタルとなったラウドボーンについては、馴染みのない新ポケモンのタイプを変更してしまうのは混乱を呼びそうで避けたいが、まあ御三家ならいいだろ、で鋼ラウドボーンが通った、と理解できます。2. と3. を両方破った虫クエスパトラも、ハイクラスパックということで羽目を外しつつ、流石に馴染みのある人が多くはないであろうクエスパトラの技名に虫タイプっぽいワードを無理に入れるとクエスパトラが誤解されかねないと危惧されたからだ、で筋は通ります。

問題はこいつらです。1. が破られています。ポケカにおけるテラスタルの存在意義が否定されました。
(2. はもうSVも2年目ということで消えたのでしょう。3. はかっちり守っています)
ではこいつらのテラスタイプはいかにして決められたのか?最もわかりやすい共通点は「元タイプの弱点を突ける」です。悪はエスパー・ゴースト出身の超の弱点を、雷は水出身の水の弱点を突けます。

仮説1: Hレギュにおいて、「元タイプの弱点を突ける」がテラスタイプの決定基準に追加されたorテラスタイプの決定基準がそう変更された。

サンプル数2なので何とも言えませんがね。

ここで気になるのがウミトリオの技、「トリコロポンプ」です。執拗に3という数字にこだわってきたウミトリオらしいテキストですが、技名はおそらくトリコロール+(ハイドロ?)ポンプであり、ウミトリオの体の赤色ザマゼンタ、要求エネ(と背景)の水色ザシアン、電気テラスの黄色ザイエローという色の三原色に対応しています(最もメジャーだと思われるフランス国旗やヒロイックなロボットの三色ではなく、色の三原色の方です)。ここでも3成分を補充していますね。3!(一二三数)

よくできてはいるのですが、よくでき過ぎています。むしろ逆なのでは?

つまり「ウミトリオは真っ赤な体の水タイプである」という点に目をつけ、「じゃあ電気テラスしたらカードが黄色になってトリコロールがトリオにかかって綺麗じゃん!」とテラスタイプが決められた可能性があるのではないでしょうか。

仮説2: Hレギュにおいて、「テラスタイプの色で遊べる」がテラスタイプの決定基準に追加されたorテラスタイプの決定基準がそう変更された。

この仮説が正しい場合、リキキリンexが悪タイプである理由はただ一つ。リキキリンの尻尾フードはダーティいからです。この記事大丈夫か?

とはいえ仮説2を補強するラインはちゃんとあります。Gレギュレーション屈指の推されカードである悪リザードンは、シャイニートレジャーexで色違いが収録されたことで一層リザードン☆δを思い起こさせるものとなりました。リザードン☆δはなぜ悪タイプなのか?色違いのリザードンは身体が黒いからです。もともとデルタ種には体色に合わせてタイプが決まるパターンが少なからずあり、特に☆はその傾向が強いです。デルタ種のように体色とタイプの色を合わせるだけでなく、要求エネは元のタイプのままだというテラスタルの特徴を活かした、ウミトリオexのようなカードがこれから1年出てくるのかもしれません。

「VMAXクライマックス」で復活・登場したCHR・CSR、「VSTARユニバース」で登場したAR・SARは翌年の商品へと受け継がれました。この流れをシャイニートレジャーexもまた継いでいるのだとしたら、それは「体色を考慮した不一致テラスタル」なのかもしれません。悪リザードンexは「相性補完でタイプが決まる」Gレギュの不一致テラスタルの先鋒でありながら、色違い収録によって「体色に合わせてタイプを決める」Hレギュの不一致テラスタルの予告へと変質したのです!これじゃ推されカードじゃなくて、オサレカードだよ〜!

はい。

まあ次の拡張とかにも不一致テラスタルは入ってくるでしょうし、Hレギュのテラスタルがどういうものかも自然と分かるでしょうね。

ゴビット・ゴルーグ

何が目的だ?この台詞誘拐犯以外に使うことあるんだ

「なんか知らんがSVで連綿と受け継がれている進化前と1エネの変化技を共有する1進化シリーズ」。SV2以降拡張パックのたびに登場しています。何?
一切の説明がないまま実例だけが積み上がっていて怖さすらあります。何なんでしょうね。

ヤミラミ

ヤミラミの背景、都合良く赤青緑の宝石が散らばっていがち

「ダメージコレクト」はダメカンをバトルポケモンに集める技です。同じ悪ゴーストであるミカルゲの「きずであそぶ」の廉価版といったところです。これで終わってもいいのですが、ここで紹介したいのがほぼ6年前のフワライドです。

「ダメージはこび」という技を持っていますが、フワライドにダメージをスワップするような図鑑説明はありません。フワライドはあくまで人やポケモンを運ぶポケモンなのですが、これを拡大解釈することでダメージを運んでいるかのような能力と技名が実現しているわけです。ちょっと能力バトルっぽいですね。能力の解釈を拡張することでできることを増やしがち。

ではヤミラミはどんなポケモンでしょうか?ご存知の通り宝石を食べるポケモンです。図鑑説明では「掘り出しては 食べる。」とありますが、ポケカでは集めた宝石を抱える姿が描かれています。つまりフワライドが「運ぶ」対象をダメージに拡大解釈されたように、ヤミラミも「集める」対象をダメージに拡大解釈された、といえるでしょう。

さて、ここからが本題です。ダメージとは物理的にはダメカンで、ダメージを集めるとはつまりダメカンを集めるということなのですが、このダメカン、何かに似ていませんか?

https://www.pokemoncenter-online.com/?p_cd=4521329346267

アクリルダメカンは半透明のキラキラした色とりどりの物体。
宝石は半透明のキラキラした色とりどりの物体。
つまりアクリルダメカン=宝石。

「ダメージコレクト」とは宝石たるダメカンをヤミラミが集める技であり、「ロストマイン失われた鉱山」とは鉱山から宝石=ダメカンを掘り出して相手にばら撒く技だったのです!!!!!

この記事大丈夫か??信じないか信じるかはあなた次第です。むしろ信じないでいてくれた方が気が楽まであります。

どうしてお茶を注ぐとダメカンがのるんですか?

恥をかきついでにもう一個似ている半メタ表現(らしきもの)を挙げておくと、ポットデスの「おちゃをそそぐ」です。もともとダメカンをのせる効果はゴーストの得意とするところですが、それはあくまで呪いなどゴーストチックな攻撃がノーマルタイプに通らないような、通常の理から外れているようなものであるからであって、ポットデスの(飲みすぎると死ぬらしいものの)美味しいお茶を注ぐ行為がどうしてダメカン5個になるのかは謎でした。しかしヤミラミというダメカンを使った半メタ表現の類例、不安定ながらも確かに存在する足場を得た私は一味違います(お茶だけに)。つまり、

紅茶を注ぐ: カップに紅茶(オレンジ色の半透明な液体)を入れる
おちゃをそそぐ: カードに50ダメカン(オレンジ色の半透明な固体)を載せる

この符合。いやまあ現時点では胡乱未満なのは理解しているのですが、世界で初めてであろう発見って、信憑性に関わらず気持ちいいいものですね。

アノホラグサ

「ざっそうだましい」が最高。確かに雑草に魂が宿ったポケモンであるけどアノホラグサに雑草魂などという概念はないでしょう。身を切って切り身にするが身を切る思いをしているわけではないミガルーサの「みをきるおもい」を思わせる秀逸なネーミングです。こういうものの始祖は猿だし知恵だが猿知恵ではないヤレユータンの「さるぢえ」でしょうか。

字面以外全部わざと間違えてるシリーズ

ジジーロン

げきこうほう と がんくつおう でやや韻が踏める。
そうですよね、仲間が全員傷ついていることを参照する技を命名するなら怒りのニュアンスを含ませるのが普通ですよね。なんで初出で「うーん……巌窟王!!!」ってなったんだよ。先走りすぎ。

古代と未来のメカニズム

ポケモン本編の世代は3年スパンで切り替わり、ポケカのシリーズもまた同様です。そしてシリーズ内の流れは各シリーズについて概ね同じです──1年目に新メカニズムが出て、2年目は陣営が出て、3年目には1年目に出たメカニズムの変形が出る。ポケカはSM以来、この流れを二度繰り返してきました。
そういうわけで、古代と未来について考えるとき、同じく
・拡張パック第4弾で登場して2年目で特集された、
・特有のメカニズム的テーマを持ち、
・本編においては準伝説相当の種族値を持ち、種族値の数値自体で遊び(素数/奇数/偶数)、パッケージ伝説を内包する、基本的にたねポケモンの集団で構成される
カテゴリであるウルトラビーストを補助線にするのは妥当なことでしょう。
さて、ウルトラビーストといえばサイドを参照する効果(初発表時のPVでも赤いウネウネがサイドへと侵食しています)、そしてカクテルの名前がついた技です。ウルトラビーストの技名の命名則について軽くまとめます。

  • ウルトラビーストは基本的にサイドを参照する効果の新技・新特性をちょうど1つ持っており、その技・特性にはカクテルの名前がつけられる。逆に、サイドを参照しないテキストにカクテルの名前がつけられることはない。

  • 例外として、ウルトラビーストのGXはGXワザでサイドを参照するが、GXとしての初登場でのGXワザの名前にはカクテルではなくそのUBのコードネームがつけられる。

  • 例外として、タッグチームにはカクテルの名前が使われない。

  • 例外として、ネクロズマ関連ではカクテルの名前が使われないことがある。

  • 例外として、カクテルの名前をもじることがある(ホワイトレディ→ホワイトレイ)。

さて、これをパラドックスにそれっぽく移すとこうなります。

  1. パラドックスポケモンは基本的に古代・未来の固有メカニズムを有する技・特性をちょうど1つ持っており、その技・特性には命名規則がある。逆に固有メカニズムと関係ないテキストはその命名規則から外れた名前になる。

  2. 複数の命名規則が共存している可能性がある。

  3. 命名規則は破られる・変形される場合がある。

規則1. はかなり大事で、これはつまり「古代のメカニズムを含む技にこの名前がついているということはこの名前は古代の命名規則に適ったものなんだ」「古代の命名規則に従っているということはこのテキストは古代のメカニズムなんだ」という推測が可能だということです。が、

……そんなことはないですね。トドロクツキexはイダイナキバexから継承した「反動ダメージ」「スタジアムトラッシュ」を持っており、明らかにその両方が古代のメカニズムを反映したテキストであり「固有メカニズムを有する技・特性をちょうど1つ持っている」は偽だと分かります。この辺りはウルトラビーストよりも一撃連撃に近いのでしょう。サイド関係という特殊なものならともかく、一撃連撃のように薄く広がったメカニズムの使用を制限する理由は乏しいですからね。

一方で「固有命名法則に従う新技・新特性をちょうど1つ持っている」はどうやら真なようです。古代の命名法則はおそらく、

「漢字2文字の熟語+漢字2文字の熟語」または「動詞+動詞の複合動詞」

です。該当するネーミングを列挙したツイートを載せておきます。

現在発表されている古代のポケモンの全てが、このルールに従った名前の新技・新特性をちょうど一つ持っています。これが古代の命名法則だと断定して良さそうです。(新技・新特性としたのは複合動詞の既出技である「ふみならす」「ひきさく」を候補から除外するため。)なお意見の分かれそうな「きょくらいごう」の漢字表記ですが、現在の自分は巨躯雷轟を推しています。

さて、問題は未来です(すごい文だ)。もともとポケカには横文字、特に英単語二つの命名が多いこともあり、未来の技・特性名から法則性を見出すのは困難です。

どっちも未来らしい名前、未来らしいテキスト。未来なのは上技?下技?さてどっち?

ただ少なくとも古代パラドックスには厳格な法則があるわけで、未来にも古代に似た何らかの命名法則があるはずだとして話を進めます。
ここで割と助かるのがシャイニートレジャーのテツノワダチexで、技が一個だけなので自動的に「クラッドローリング」はその未知の法則に従った名前ということになります。

また、既存の技を持っているポケモンはもう一方のテキストが新規の特性・技となっていて、この命名から「どんな法則があるのかは分からないが、とりあえずはその未知の法則に従っているらしい名前」を集めることができます。
アクセルピーク、ジェミニレーザー、オートマーシャル……

「しねんのやいば」はユクシーLv.Xが初登場の技。テツノブジンにこれを持ってくるセンスがすごいのか、むしろ今までエルレイドが持ったことないのが変なのか

そしてちょうごうきんハンド。は?

ショックウェーブは一応既存技

このテツノカイナさえいなければ「ごっつあんプリファイ」を「未来の命名規則に従っているのはアームプレスの方だ」と無視できたのですが……。とはいえアームもプレスもあまり未来感がない単語であるのに対して「アンプリファイ」は(ごっつぁんの未来じゃない感に目を瞑れば)未来っぽいですし、「ちょうごうきん」はカタカナでないものの確かに未来感があります。この未来っぽい単語というのが未来の命名法則のキーになっていそうです。
ひとまずのまとめとして、未来ネーミングと思われる技・特性名をリストアップしておきます。

〈技が一つ、または他方が既存技や単語一つの技で、ほぼ確実に未来ネーミングなもの〉

  • サーマルリアクター

  • ちょうごうきんハンド

  • ジェミニレーザー

  • アクセルピーク

  • オートマーシャル

  • マジェスティソード

  • デスタプレッサー

  • クラッドローリング

〈未来っぽい技・特性名が二つあるが、私の主観でより未来っぽいもの〉

  • ごっつあんプリファイ(アームプレスよりは未来っぽい)

  • タキオンビット(レーザーブレードは響きがやや平凡か?)

  • ハイパーブロアー(れいきゃくジェットは少し卑近?)

  • デュアルコア(パスホイールはドンファンでもギリあり得るライン)

  • ラピッドバーニア(プリズムエッジが未来かというと微妙)

  • コバルトコマンド(ショウもテルも古代ショーテルに未来要素はない)

  • リパルサーアックス(パワースタンプはテラキオンも使いそう)

〈同じぐらい未来っぽい技・特性名が二つあるもの〉

  • ホーミングヘッド・バリオンビーム(未来ど真ん中の小粒な複数狙撃とブーストエナジー直接参照というダブル未来テキスト(ジェミニ未来テキスト・デュアル未来テキストと呼ぶべきか)両方に未来っぽい名前が付いている。どちらも未来という他ないが、「ハドロンエンジン」「タキオンビット」といった凄そうな粒子の名前で箔を付けるオーカルチャー的発想のネーミングに連なるのはバリオンビームの方だろう。ちなみにバリオンとは3つのクォークからなる粒子の総称であり、我々に馴染み深い陽子や中性子を含む非常に広い範囲の粒子を指す。条件を満たすと3エネになることも併せて、サザンドラやウミトリオと同じく3へのこだわりが感じられる。っていうかSVシリーズ、3への執着が異常じゃないか?開発チームに世界のナベアツか一二三数が加入したと思われる)

SVの3に対する執拗なまでのこだわりを見ると、オートマーシャルのダメカン3個なんかも3つの頭を表している…?と深読みしてしまいます
  • リジェクトボルト・サイバードライブ(テキスト的に未来なのは普通に考えたらリジェクトボルトだけなのだが、サイバードライブが未来でないというのも変な話)

というわけで確認できた未来の命名法則は、「ひらがな・カタカナを問わず未来っぽい単語の組み合わせの命名が未来のメカニズムに即した技・特性に与えられているが、古代と異なりこの命名法則に従った技を2つ持っているとしか思えない例があり、法則性を見出すことはできても厳密なルールは見つけられない」でした!いかがでしたか?

……一応有益(かも)な情報も補足しておくと、もう一つの未来の命名法則のヒントかもしれないと睨んでいるのがテツノドクガの「ねっせん」とテツノブジンの「えんざん」です。この二つはどちらかといえば未来っぽい単語で、古代にはないネーミングです。もう一方の命名・効果が十分未来っぽいので命名法則と関係があるかは謎ですが、今後未来パラドックスにシンプルな単語の技や特性が出てきたら要注意かもしれません。

パックコンセプト

最後に、このパックのコンセプトについて考えてみましょう。
コンセプトが設定された(151ほど前面には出ていない)SVの拡張パックといえばスノーハザード・クレイバーストで、自分がnoteで主張したユキノオー&ミカルゲ封印合わせ説がクリーチャーズの井上さんによって裏付けられ大盛り上がりした事件が思い出深いです。

シリーズ2年目の最初の拡張パックとしてはやはりSVシリーズがなぞっていると思われるSMシリーズのウルトラサン・ウルトラムーンが大いに参考になるでしょう。SM2年目のBレギュレーションでは各拡張パックにおいてシンオウ・カロス・ホウエン・ジョウト地方が濃いめに特集されており、「『ウルトラサン』『ウルトラムーン』というパック名なのにシンオウをテーマにしておりDP初出のポケモンがめちゃめちゃ出てくる」という奇妙な事態を引き起こしていました。

ならば同じくシリーズ5番目の拡張パックであるワイルドフォース・サイバージャッジにおいても何らかのコンセプトが設定されていそうですが、これがまあ見事に何も見つからないのです。そもそもSVシリーズの開幕以来、拡張パックでは常にSV本編の各所をイメージした背景が登場していたのですが、それも今回パタリと無くなっています。端的に言えば、普通のシリーズの拡張パック第1弾に相当するコンセプトの無さを持つパックが、第5弾拡張として世に出ているのです。
ではこのパックの全てが無作為か?というと、そうでもありません。

ドダイトスex・ガオガエンex・オーダイルの三者は明らかにサイクルを形成しています。この過去世代の御三家ごちゃ混ぜ感は藍の円盤での御三家勢揃いを意識したものでしょう。PVやCMでも世代がシャッフルされた形で御三家が登場していましたね。オーダイルだけ非exですが、次ターン技使用不可と反動ダメージという、特に非exでは過大評価されがちなデメリットを重ねがけすることで280打点を実現した、カードパワーを上げる意志が透けて見えるようなカードです。存在の格としては他のexに勝るとも劣らないでしょう。

そして微妙にうっすら嗅ぐことのできるコンセプトが他に存在します。順を追ってカードを解説していきます。

フルメタルラボは明確にフルメタルウォールを意識したカードです。ポケカは革新性と数値インフレの抑制を犠牲にして永遠の命を手に入れようとしているカードゲームですので過去のテキストが名前を変えて出てくるのはよくあることですが、命名により過去のカードをはっきりと思い起こさせるような仕掛けは、特に最近では稀です。

シキジカ・メブキジカは草エネ=葉をトラッシュに落とす「らくようタックル」にしばしば天気や季節として扱われるスタジアムをサーチする「しきのうつろい」と凝ったテキストを持ち、これまで欠けていた秋の姿のメブキジカの登場を祝福するかのようです。四季の移ろい……時間の経過を表現したARも素敵ですよね。

マメパトはテキストによって、未来のケンホロウex(!?)の登場を予告しています。こういうのは古びたひみつのコハクで一回やっているんですが、テキスト本文に入り込んでいるとなるとまた趣が違います。

ジーランスは「きおくにもぐる」で進化前の技を使えるようにします。化石ポケモンの並びに列されることもあるジーランスらしい、過去の記憶を呼び起こす特性です。

そして言わずもがな、古くも新しいACESPECに古代と未来のカードたち……というわけで、ワイルドフォース・サイバージャッジにパックコンセプトがあるとしたら、それは「時間」だと思います。ただこれはあるとしたらの話で、フラットに考えれば今弾は「複雑さを上げていく一年の幕開けとして、古代未来を薄めに扱ったスタンダードなパック」という評価になります。何とも煮え切りませんが、まあ商品はズバッとコンセプトを言い表されるために発売されているわけではありませんからね。

と、オーカルチャー方面を突き詰めたところで今回の記事は以上です。お疲れさまでした。


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