見出し画像

特別な何かを感じている時点で同じような事かもしれないけど

私は運命とか、宿命と言った考え方が余り好きではない。何が好きではないかと言うと、「予め決まっていた」という考え方が好かない。

悲しい事が起きた時に「これが運命だったと思って諦めるしかない」という言い方をする人がたまに居る。(たまに居るっていうか、私の父)
それはある意味では起きた事を受け入れるしかないという現実的で合理的な捉え方だし、或いは誰のせいでもないという遠回しな優しさでもあるかもしれない。
しかし私は何事も予め決められていたなんて思いたくはない。全ての事は偶然の積み重ねであって、数多枝分かれした阿弥陀くじ(それも絶えず枝が書き足されたり突然きえたりしている)の先に辿り着いた結果だからこそ尊いと思うのだ。

何だか大層な事を言っているようだけど、今回は何の話かと言えば、ただ好きなバンドと芸人さんにハマった時の話。

(…何か痛そうだな〜長そうだな〜と思った方は、全くその通りなので嫌だったらそっと戻る事を推奨)

ツイッターで交流してくださっている方はご存知かと思うのだが、私はラルクが大好きである。
好きになったのは高校1年の時。それまで私はバンドに興味がなかった(ギターとベースの区別も付いてなかった)し、何なら好きな歌手も特にいなかった。

ある時私は風邪で学校を休んだ。
熱を出して寝込んでいた私は唐突に思い出した。
そう言えば小学生の頃、花葬とかHONEYとかすごい流行ってたなぁと。(これ言っちゃうと凡その年代がバレるね…)
何故急に思い出したかは分からないが、母に「買い物行くけど何か欲しい物ある?」と訊かれた私は「ラルクのCD借りてきて!」と言った。
そこは普通食べたい物とかだと思うのだが、私は思い出した曲名を紙に書いて、「これが入ってるアルバム借りてきて」と頼んだ。
母は面倒くさがりもせず借りて来てくれた。私はそれを直ぐにCDコンポに入れて聴いた。

その当時ラルクは活動休止中だったので私は過去のアルバムを片っ端から集め始めた。そうしている内に折良く活動が再開され、私はあっと言う間にファンになった。大学進学で東京に出たのでライブにも行けるようになった。

それから更に数年。
私は結婚して東京に住んでいた。
ある時風邪をひいて仕事を休み家で寝込んでいた。
平日で旦那は仕事に行って居ないし、ずっと寝ているのは退屈だが寝ていないと風邪は治らない。それに退屈とは言っても本を読んだりテレビを観たりするのは余りにエネルギーを使う。

そこで私はふと、ラジオなら、と思った。

ラジオなら、寝たままで目を瞑っていても、耳だけ働かせていれば楽しめる。体を休めながら退屈も凌げる、と。
それまでラジオを聴く習慣など全く無かったのに、急にそう思ったのだ。(それまで私にとってラジオと言えば父の運転する車中で流れているもの、というイメージしかなかった)

そこで聴いたのが、三四郎のラジオだった。
(昼間の話である時点でリアルタイムではない事は明白なので、どう聴いたかは余り大きな声では言えないけれども…)
ちなみにこの時は全然お笑い番組も観ていなかったので、三四郎の事も殆ど知らなかった。小宮さんの眼鏡と青いスーツを見た事があるようなないような…という程度の認識だった。
つまり三四郎のラジオを聴くのが初めてなら、芸人さんのラジオを聴くのも初めてだった。

熱っぽい体を布団に埋めて聴くラジオは、めちゃくちゃ面白かった。
小宮さんのふわふわした声と相田さんのよく通る声はどちらも耳心地が良く眠気も誘ったが、寝落ちて目覚めては巻き戻して聴き直した。
小宮さんのフリートークは変わったタクシー運転手のおじさんの話で、エピソードの面白さは勿論、何だかおじさんへの優しい眼差しも感じて物凄く引き込まれた。

それをきっかけに何時しかラジオを毎週聴くようになりテレビ出演も追うようになり、ドキドキしながらライブにも足を運び、あっと言う間にファンになっていった。

それこそただの偶然だしかなり自分に都合の良い解釈をしているような気もするけど、この「風邪をひいて寝ていた時に急に思い立ってそこからハマり出す」という似たようなパターンに、私は凄く特別な何かを感じている。
人智を超えた何かに予め定められている、という考えは好かない癖に、この2つの出来事には何か啓示のようなものを自分の中で感じている。他にも一時好きだったアーティストなどはいるけれど、好きになって長く続いているのは今のところラルクと三四郎だけなのだ。

勿論偶然、ただの偶然なのだ。
けれど私はこのかけがえの無い2つの偶然があった事を時々噛み締めて、ああ本当に良かったなぁ、と思う。
啓示めいていると言ったけど実態の無い何かに感謝する訳ではない。

ただ、あの時急に思い立った自分、グッジョブ、と思うだけ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?