【インタビュー】THE POLICEアンディ・サマーズ 2014年
2014年3月7日、新バンドCIRCA ZEROで再始動したアンディ・サマーズとのインタビューです。
当時CDジャーナル誌にCIRCA ZEROに関する部分が掲載されましたが、それ以外の部分を含めたロング・ヴァージョンを公開します。THE POLICEやロバート・フリップ、エリック・クラプトン、『2010年』、日本のヤクザとのことなど、レアな話題を含め語ってくれています。
ちなみにCIRCA ZEROはそのまま消滅して、ロブ・ジャイルズはソロでやっている様子。アンディはソロ活動を行うかたわら、2017年にブラジル人ミュージシャン達とポリスの音楽をプレイするバンド、コール・ザ・ポリスを結成して、2023年にもライヴを行っているそうです。
●サーカ・ゼロはどのように始まったのですか?
ポリスのワールド・ツアー(2007〜2008年)が終わって、ホーム・スタジオでいろんな曲を書き始めたんだ。1年ぐらい一人でやっていたけど、久しぶりにロックの魅力を再確認したこともあって、ロック・テイストのある曲が多いことに気付いた。そんな時たまたま、友人がマネージャーをしているレスキューズのライヴを見に来ないかと誘われたんだ。ロサンゼルスのクラブ“トルバドール”に見に行ったよ。4人のヴォーカル・ハーモニーや、それぞれが曲ごとに担当楽器を取り替えたりするのがユニークで、素晴らしいと思った。それから1年ぐらいして、レスキューズは女性メンバーが妊娠したりして、活動していなかった。そんなときロブ(ジャイルズ、ヴォーカル)とたまたまLAのクラブで会って、いろいろ話すうちに意気投合したんだ。その時期、私はかなりの曲を書きためていたけど、自分で歌うことには躊躇があった。そうしてロブとスタジオで一緒にやってみたことで、パズルのすべてのピースがピッタリはまったんだ。声、フレージング、タイミングなど、まさに自分が求めているすべてが備わっていた。
●2008年、ポリスのワールド・ツアーが終わってから、何をしていたのですか?
アンドリュー・ヨークの『Centerpeace』(2010)、フェルナンダ・タカイとのラテン/フュージョン/ボサノヴァ・アルバム『Fundamental』(2012)などを作った。アンドリューとはもう1枚アルバムを作っているんだ。決してコマーシャルではないけどゴージャスなギター・アルバムだよ。彼との共同作業は楽しかった。ロブとの作業と並行して、ホーム・スタジオでブラジル音楽系の曲も書いていたんだ。自分自身に限界を設けることなく、いろんな音楽をやるのは楽しいね。
●『サーカス・ヒーロー』はポリス以来、久しぶりにロック路線に向かった作品ですが、どんな方向性を志しましたか?
ロックをやるという以外、方向は定めないことにしたんだ。作為的になることは避けたかった。ロック・アルバムだという点でポリスと共通しているし、自己模倣する気はなかったけど、避けて通ろうともしなかった。私がギターを弾いているんだから、ある程度似てしまうのは仕方ないだろう?「サマー・ライズ」のギター・サウンドは若干ポリス的だし、クリーンなジャズ・テイストもある。
●「セイ・グッドナイト」「アンダーウォーター」のレゲエ風カッティングなども、ポリスを思わせるものがありますね。
そうだね。ただ、サーカ・ゼロの方が、よりロックしていると思う。エッジのある、ドライヴ感があるよ。まあもちろん、フー・ファイターズやクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジみたいなヘヴィな音楽をやるつもりはなかったけどね。それに『サーカス・ヒーロー』はポリスが作ったどのアルバムにもひけを取らない内容だ。まったく捨て曲がなく、最初から最後までエキサイティングな作品だし、2014年という時代において、かなり強力な部類に入るロック・アルバムだ。
●ロブ・ジャイルズとの共演はどんなものでしたか?
ロブはポリスを聴いて育ったし、最初は少し緊張していたみたいだけど、すぐ打ち解けたよ。声質、フレーズ、タイミング、すべてが私のスタイルとぴったり合った。彼とは最高のパートナーシップを築けると思う。もう一度世界を獲るには少しばかり歳をとっているかも知れないけど、ポリスを結成したときだって「30代のおっさんが若者ぶっても成功するわけがない」って言われたんだ。今回も出来ない理由はないだろ(笑)?
●1960年代、あなたが弾いているのを見て、エリック・クラプトンもギブソン・レスポールを弾くようになったのは有名なエピソードですが、『サーカス・ヒーロー』ではかなりレスポールを弾いていますね。
うん、アルバムで主に弾いたのはフェンダー・ストラトキャスターとギブソン・レスポールだった。ストラトは3本弾いていて、レッドとタイガー・ストライプのものがメインだった。エリックとレスポールについて話したときのことはよく覚えているよ。私がレスポールを弾いているのを見たエリックが羨ましがったんで、「俺が買った楽器店にもう1本あったよ」と教えてあげたんだ。そうして彼が弾いたことで、レスポールはブリティッシュ・ブルースを象徴するギターになった。その後、エリックがクリームを結成した頃に彼のレスポールが盗まれてしまったんで、私のを売って欲しいと言ってきたんだ。けっこうな値段を提示されたんで売ってしまったけど、今じゃヴィンテージ物のギターは凄い値段だから、ちょっと後悔しているよ!レスポールはいつだってフェイヴァリットだよ。ホーム・スタジオにはいつも10本ぐらいギターを立てかけてあって、だいたい2、3本はレスポールだ。それ以外にギブソンES-335も弾いているし、ギターは全部で50本ぐらい持っているよ。
●1970年代後半から80年代前半、ポリスではレスポールは弾いていましたか?
いや、弾いていない。初期はテレキャスター、後期は赤のストラトがメインだった。フェンダーの乾いた音の方が、ポリスのサウンドに合うと思ったんだ。「ネクスト・トゥ・ユー」ではレスポールJrでスライドを弾いたりもしたけどね。ただ、ホーム・スタジオには常に1、2本レスポールがあるし、素晴らしいギターだと思うよ。『サーカス・ヒーロー』では3本のレスポールを弾いているんだ。
●『サーカス・ヒーロー』では多くの曲中でギター・ソロがフィーチュアされていますが、ソロについてこだわりはありますか?
サーカ・ゼロはロック・バンドで、私は裏方でいるつもりはなかったからね。ギター・ソロをたくさん弾いているよ。「ナイト・タイム」「ガンマ・レイ」「ノー・ハイウェイ」などで弾いている。ライヴでもソロを弾くとお客さんみんなが盛り上がるし、私自身も楽しんでいるよ。
●インスト「ホット・キャメル」でも随所でペンタトニックのリードを聴くことが出来ます。
うん、ペンタトニックは指先に染み込んでいるんだ。でも、それだけでは退屈だし、ひとつのスケールの枠内に留まらないようにしている。自分のヴォキャブラリを増やしたいからね。
●ポリス時代には意図的にギター・ソロは控えていましたか?
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yamazaki666 blurbs & bollocks
音楽ライター山﨑智之の期間限定マガジン。新作記事・未発表記事・幻の発掘記事・てきとうな殴り書きなどを公開していきます。
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