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無職の大卒 -Velaiyilla Pattathari atクラハ[20211017]

※clubhouseでの発表用メモを加筆修正したモノです。音声の文字起こしではありません。

製作 2014年 タミル映画
監督 ヴェールラージ
出演 ダヌシュ サムドラカニ アマラー・ポール

インドでは大学を卒業しても職がない若者がたくさんいるそんな若い彼ら、きみらこそ国の未来だ!というメッセージであり、また世襲やコネへの痛烈な批判の作品でもあります。

★前半あらすじ(ネタバレちょいあり)

 ラグヴァランことラグは大学の工学部を卒業したが就職できず、4年間ずっと家で冷や飯食いをしている。弟はすでに就職しており給料も家に入れている。父からは嫌味を言われる毎日で母はラグにはやさしいが、やはり肩身の狭い思いをしていた。

 ラグたちの隣家に3人家族が引っ越してきた。娘は女優のように美人だと聞き、興味を持ったラグはなんとかして顔を見てやろうと隣を尋ねると娘は不在、母親にきくと娘は医者で月に20万ルピーも稼ぐ、父より多いと自慢される。またもや天に見放されたとますます落ちこむ。

 友達の誕生日会に集まったときも2000ルピーが用意できず200ルピーを母に借りてなんとか用立てる。友達は「就職してないんだから今はいいよ、とっておけ」と言ってくれるが肩身が狭いのはかわらない。しかもその200ルピーも帰り道に警官に難癖をつけられてワイロとして渡してしまうことに。この時に集まった友達も親の仕事の手伝いや映画監督の助手など、希望通りの仕事をしている友人はいなかった。

 この誕生会の帰り道にバイクに乗っていたラグは乗用車にぶつかり転倒。運転手に付き添われて自宅まで帰ってくる。すっかり酔っぱらっていたラグは運転手を話し相手に自分の不運のあれこれや、自分より恵まれた弟の話、最近隣の家に引っ越してきた家族の娘がとても美人とのウワサ、だが顔がみれないので覗いてやろうと望遠鏡をつくったなどなど何でもかんでも話していた。翌朝、二日酔いで昨晩のことはほとんど覚えていなかったが母から
・自分が交通事故を起こして送られてきたこと
・その相手の運転手とは隣の家の美人の娘だったこと
を聞かされる。

 隣家の娘シャーリニは、ラグのことを最初は ただの職なしの酔っ払い かと思っていた。だが、自分の母からときどきうちに来て手伝いをしてくれていて実は仲良しになっていたことや彼は大学の工学部卒で目標に向かって毎日就職活動をしている、などラグの本当の姿を聞かされ、彼を見直す。

★ここから本気のネタバレand感想領域

・とても”いい”家族像
父はとても厳しくて理不尽、ただ父と母の会話のときには父としての愛が垣間見える、そして弟はちょっと弱虫で兄を頼りにしている。何より母は一番の理解者であるけど、溺愛しているわけでもなく、ダメなものはダメと叱りつける。いわゆる「優しくて誰もが理解しあっている素敵な理想の家族像」というより家族内での父とのいさかい、弟への嫉妬、自分自身へのふがいなさなどリアリティを感じます。

・ところでなぜ弟は就職できたのか?というところですが、経済状況と教育格差がさりげなく盛り込まれています。ラグが生まれた時は家に余裕がなく公立の学校しかいけませんでしたが、弟の時は家庭にすこし余裕があり英語教育もしっかりした私立の学校に行けた。その結果が就職にまで影響してきた。家族内の愚痴という形で表現をしていますが、こんなに違ってくるのかとちょっと驚きます。これが理由でラグは「生まれてくるんじゃなかった」と両親には言ってはいけないことを言ってしまうんですね。この自立できていない子供っぽさもひねくれてしまったラグの状況を際立たせます。

・前半だけだと無職の男もたとえ仕事がなくても幸せになれる、という話っぽく展開するかと思いきや、後半には彼は就職し家族の話から職場・社会への話と展開します。「仕事だけが人間の価値じゃない!人間は中身だ!」というような話ではなく、仕事ひいては社会を通じて
  夢をもとう
  誠実であろう
  誰にでもチャンスはあるべき
  若い世代こそ未来への希望だ
  社会をつくるのは自分たちだ
というメッセージを送ります。仕事がある/ない、というのはそもそものステージに立てていないとう辛さがあると思います。このあたり、日本の就職氷河期の世代も共感できる話ではないかなぁ、と思っています(ただ彼が就職できた経緯はそれだけで一つのドラマになるほど。反則じゃないの?ってくらいいろいろ驚いた。これも”インドにとっての母”ってやつですね。)。

・この映画、全体的に絵面は地味だとおもっています。例えば歌って踊るシーンもでも衣装替えやステージ変更はありません。工事現場での暴動シーンでは報道のカメラがそこにあってこの絵を撮った、といったような写実的は映像です。そのあたりは派手さより、リアルさを追求しています。これも作品に沿った演出であり、地道に誠実に生きていく目線だと思いました。また後半に出てくる悪者(ライバル大手企業の2代目の若造)も意地悪だけど、その行いの単純バカさで親からも呆れられてしまうというあたり、コネや世襲だけしかない人間の馬鹿さ加減というのをさりげなく見せているかと。さりげなさがこの作品らしくてとてもよいです。

・もちろん、私の大好きなキレキレダヌシュは健在でキレキレアクションとキレキレダンスをみせてくれます!この映画で「これはインドのブルース・リーだ!」って思いましたね(^^)b

★発表後

ダヌシュのおすすめ映画をご紹介いただきました!
Pudhupettai (2006) 
ギャング抗争もの、のし上がりストーリーで、狂気的なダヌシュの演技がよい、とのこと!そして若いときのVSPもチラッと出ているそうです(^^)。これは見ないと~(note.を書きながらチラチラ見ているところなう)
akiさん、takakoさんほかご参加いただいた皆様ありがとうございました♡

そうそう、この時akiさんからMirchiの紹介もしていただいんたんです♪
ミルチ見てください、ミルチ。Darlingプラバース主演のミルチ🌶。アヌシュカ、サティヤラージ、スッバラージュとバーフバリ勢がたくさん出ています。JAIHOで配信中ですよ~(^o^)

こちらがakiさんのミルチの記事です。


★Songs

これこれ!ダヌシュほっそ~って思ったやつwww


いい歌なのにたしかよっぱらって覚えてなかったんじゃ??酒に弱いラグ


上記では省いたけど、インド映画はお母さんの存在というのがヤバイ。

いくつか抜粋、これ以外にもあります!
是非ともダヌシュのキレキレダンスを見てね♪

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