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火花 ーTheri

鑑賞日 20210416
於 アップリンク渋谷
主演 ヴィジャイ

今回のIDEで一等楽しみにしていたThalapathy Vijayさんの2016年の作品。意外と最近だね、いつまで経っても若いから年齢がわからない。10年以上前の作品かと思っていた。

ケララ州でパン屋さんを営むジョセフは愛娘二ヴィと二人暮らし、お互いにベイビー、ベイビーと呼び合う相思相愛っぷり。いつも学校に送ってくれるパパなんだけど朝は弱いし、安全第一で歩くよりも遅いバイクだからどうしても遅刻してしまう、そんなパパを毎日叱咤する可愛い娘。ところでママはどこ?美人の先生も心配してるの💓

なんてふわふわ可愛い展開からまさかの過去の因縁が復活し、ジョセフが隠していた本当の姿がとうとう露わに…。自分の仕事が原因で幸せの絶頂から地獄のどん底に突き落とされた過去、その辛い過去を自身も見るまいとして名前も仕事も全て変え、縁もゆかりないケララの地へ親子で移り住んできていたのでした。ジョセフはつきまとう過去を振り切れるのか。


★ここから本気のネタバレand感想領域★
インド映画で主人公の過去を語るとき、どこまで不幸にできるのかが勝負!のように感じることがありますが、これもそう。ジョセフ、実の名をヴィジャイ・クマールと言い、とある町で警察官として町の治安を守っていました。町では嫌われ者の警察ですが、ヴィジャイは自分の仕事に仕事にとても誇りを持っていました。しかし恋人の父親は警察を信用していないので結婚をOKしてくれません。なので二人は親の反対を押し切って結婚します。やがては子供も生まれ親とも和解し、まさに幸せを絵に描いたような日々を送っていました。幸せの絶頂、美しい新居で妻と幸せをかみしめたその晩に逆恨みした悪漢たちに襲われ、親、妻、子は殺害、そして自身も動けないほどに痛めつけられその家とともに燃やされその存在が葬りさられる…というわけだけども。直前のハッピーシーンから地獄のどん底に落とす、十八番の展開ですがわかっていても辛いもんは辛い。ついでに赤ん坊はホントに死んでしまってニヴィは実は赤の他人、彼女の両親も同じ悪漢に殺されていた…とかにすればもっと悲劇度上がるのに〜とココロが汚れた自分が呟きました。ニヴィは実の娘です、赤ちゃん生きててよかった。

また警察官ヴィジャイ・クマールは理想の警察官として描かれています。インド映画の警察官はなにかと賄賂で買収されたり不必要な暴力で弱いものをいじめたりしていて、やはりこの映画でも嫌われ者です。多分インドでは警察は嫌われ役なのでしょうね。もちろん凄腕警察官のヴィジャイも警察官としての腕を振るいます。大事なのはどんなに権限をもっていても、どんなに腕っ節が強くても暴力では解決しないというところ。酒を飲んで小学校を占拠しているチンピラ達をやっつけるときは拳ではなく小学生でもわかる簡単な質問をチンピラどもに浴びせてまくってコテンパンにします。とてもユーモアがあって最初はビクビクしつつも気がついたらニッコリの場面です。暴力では問題は解決しない、話し合いとなにより教育が大事というVijayxアトリ監督の変わらぬテーマですね。

とは言いつつやっぱり警察は頼りなく、最後はジョセフもしくはヴィジャイ・クマールの腕力で解決するのです。そして世界の正義のために殺しのライセンスを手に入れたのでした!っていう話。

この作品のポイントはこういった隠された過去(悪いジジイがさらに悪く、かつより渋イケメンになって再登場)や正義とはなんだ、警察とはなんだというテーマだと思うのだけど、もうひとつ大事なわたし的ポイントはやはり娘Niviの生意気カワイイところ。娘の尻に敷かれるVijayパパは必見です。

Vijayさんの映画は本当にどれも楽しいなぁ!!

楽しい度 ★★★★★
悲劇度 ★★★★★
Vijay度 ★★★★★★★★★★★♾


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