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【なるほど納得政経塾】 77 「増額防衛費の財源」   小山和伸(神奈川大学経済学部教授 経済学博士)

実質賃金の上昇が急務

 今後倍増する防衛費の、財源確保を如何にするか。景気回復による税収の自然増を図るのが王道である。税率の増大や、新税の設定は当面の税収は増加させるものの、全体的かつ中・長期的には国力を疲弊させ、税収を遂には減少させる邪道である。

 では、景気浮揚のためには何が必要か。GDPの50%超を占めているのが個人消費であり、中小零細企業は企業数の99.7%を占め、従業者数では約80%を占めている。ここにインフレ率を上回る賃上げを実現して、個人消費の活性化を図ることが望ましい。しかし、燃料をはじめとする様々な原材料費が、急騰している現状では、中小零細企業に賃上げの余力はない。商取引における交渉力の弱い中小規模企業は、原材料の上昇を価格転嫁しにくいので、物価高騰によって賃上げの原資を失っているからである。

 OECDの2021年の統計によれば、日本の平均賃金は、2014年に韓国に抜かれで以来、OECD主要国で最下位レベルの低さを維持している。例えば、日本の年額平均賃金4万ドルに対して、一位のアメリカは7.5万ドルであり、OECD加盟国の平均が約5.2万ドルである。このような低賃金下では、個人消費が増えるはずはなく、したがって景気は低迷し続けるに決まっている。

巨額の内部留保

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