なるほど納得政経塾 第一回「経済学はむずかしくない」

多くの人にとって、経済学は難解だというイメージが強い。それは経済現象が複雑で変化が激しく、なんらかの経済政策が功を奏したのか否か、あるいはどのような現象がどこまで経済政策の結果なのか、見方によって幾通りもの説明が可能であることに由来しているのかもしれない。しかしこれは経済現象が複雑なのであって、経済学が複雑なわけではない。経済学理論ではよく数学が使われ、専門の文献などで数理モデルがたくさん出てくることも、経済学をむずかしいものとイメージさせる原因の一つであろう。

 しかし意外にも、経済学の基本構造は非常に単純なもので、初回を飾るこのコラムではその基本構造について説明しておくことにしたい。ここで述べる経済学とは、現代経済学あるいは近代経済学と呼ばれるもので、マルクス経済学とは異なる経済学分野である。
 現代経済学の構成要素は、次の4つしかない。第一に家計、第二に企業、第三に政府、第四に外国である。つまり、膨大な経済ドラマも、このたった四人の役者によって繰り広げられていると言うわけだ。これらを順次説明してゆこう。

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